第39話 最後の平穏
「と言うわけで、私はハイレス王国に行くことになった。イリアを連れて行くけど構わないか?」
「なんで俺に許可を取るんだよ。全然良いぞ。俺はついていけないけどな」
「わかってる。交渉が済み次第ここに戻ってくるからそれまで待っててくれ」
「わかった。問題が発生したらアリエルに通信魔法を飛ばしてくれ。駆けつけるから」
「そっか、レイスは通信魔法が使えないんだったな」
エスカと模擬戦をしてから一時間後にアルカが俺の部屋に来て事情を説明してくれた。
まあ、俺がついていくことは不可能だが元々ハイレス王国はハイスカイ王国をほとんど丸々吸収した国だ。
そして、ハイスカイ王国をグランド帝国から奪還したのはテラソルス王国という事になっている。
だから、国を奪還することには協力してくれるとは思うけどどうなるかはわからないからこのことは言わないでおこう。
「そうだよ。雷魔法以外専門外なんだよ。だからよろしくな」
「わかった。まあ、何も無いとは思うけどな」
「俺もそうだと思う。ま、頑張れよ交渉」
「ありがとなレイス」
アルカは満足そうに微笑んで隠れ家を後にしようとする。
同行しているエスカに目配せしてアルカの事を頼むと伝えておく。
エスカはグッと頷いてくれるので安心して二人を任せられるな。
「さて、俺はどうしようかね」
「暇になったのなら久しぶりに一緒にお茶でもしませんか?」
「アリエルか。いつの間に」
「エスカたちが出て行ってからなのでちょうど今です。どうです? たまには昔みたいに」
アリエルの誘いは非常に嬉しい物だった。
俺が騎士としてアリエルに仕えていた時は暇な時間とか、空き時間があったら一緒にお茶をしていたものだ。
毎回アリエルの愚痴を聞いていた気がするけど、あれはあれでいい思い出だ。
「いいなそれ。隠れ家に茶葉ってあったっけか?」
「ありますよ。生活必需品は定期的にエスカやその部下が持ってきてくれているので」
「なら、ゆっくりお茶でもして落ち着くか」
これから先はまともにゆっくりできる時間が無いかもしれない。
それどころか生きて帰られる確証すらないのだ。
こうして、できることがあっるのならできるうちにやっておくのが吉だろうな。
「はい。私が入れるのでレイスは座って待っててくださいね」
「わかってるよ。三年経ってもお茶を淹れる技術は身に着けて無いからな」
俺はアリエルがお茶を楽しそうに淹れているのを見ながら奪還戦に関して考えを巡らせる。
どうすれば最も早く、最も安全に奪還できるのか。
考えることは多かった。




