第27話 落ち込むイリア
「ごめん。待たせたか?」
「別にそんなに待ってない。それよりもイリアとはちゃんと話せたか?」
「できた。ちゃんと話したけど、まだ話したりない感はあるけどな」
「そうか。思う存分話してきてもいいんだぞ?」
ああいう問題はしっかりと話し合って解決しておくべきだ。
そうじゃないと、ここぞという重要な場面で足を引っ張ることになってしまう。
「いや、それはいい。とりあえずはご飯を食べて安全地帯まで移動しようと思う」
「わかった。準備するよ。ルルアも手伝ってくれるか?」
「もちろんなのだ!」
膝に頭をのせて気持ちよさそうにしていたルルアが勢いよく立ち上がって焚火の方に向かっていった。
そこにはルルアが捌いてくれた鹿肉が木の棒に突き刺さっており、後は焼くだけで食べることが出来そうだった。
「そう言えば、イリアはどうした?」
「少し、頭を冷やしてきたいって。すぐに戻ってくるって言ってたけど」
「そうか。まあ、あいつにも時間は必要か」
生まれ育った祖国を失ったのだ。
心の傷は計り知れない。
すぐに立ち直って歩き出すというのは難しい話だろう。
俺も、立ち直るのにかなりの時間を要した。
手紙を読まなければいまだに引きずっていてもおかしくはないだろう。
「アルカたちはこれからどうするつもりだ?」
俺の知る隠れ家に行ってからこいつらはどうするつもりなのだろうか。
国を取り戻すために動くのか。
それとも、名前を変えて平穏に生きていくのか。
選択肢は多数存在している。
「まだ、考えてない。これからゆっくり考えて行こうと思っている」
「それがいいかもな。俺もできる限り協力するから何かあったら相談してくれ」
できることはきっとそこまで多くはない。
だけど、何もできないという事もないはずだ。
「二人とも~肉が焼けたぞ~」
「アルカは先に食べててくれ。イリアを呼んでくる」
「わかった。イリアのことをよろしく頼む」
「あいよ」
アルカにフラフラと手を振って森の方に歩いて行く。
感覚を研ぎ澄ませてイリアの魔力を探る。
すぐに彼女の魔力は見つかりその方向に向かう。
「肉が焼けたらしいから食いに行くぞ」
「……レイスですか」
「俺だとなんだか悪いのかよ」
「いえ、さっき急に攻撃してしまったので。ごめんなさい。冷静じゃありませんでした」
イリアはそれなりの大きさの岩に腰かけていて俯きながら声をかけてきた。
声はいつもよりも暗く陰鬱としたものだった。
「気にしなくていいそれよりも行こうぜ」
「わかりました」
彼女は素直に立ち上がってついてくる。
相当追い込んでいるようだ。
アルカとどんな話をしたのかは知らないけど。
ちゃんと話すことはできたみたいだ。
俺はイリアを連れてみんなの元に戻り、そのまま四人でルルアが焼いてくれた肉を食べた。
調味料がない事もあって少し味気なかったけど贅沢は言っていられない。




