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第170話 勝利の宴!そして次の現場へ

公爵は泥まみれの侯爵たちを冷ややかに見下ろした後、カイトに満足げな一瞥をくれ、王都へと馬を返していった。


侯爵たちが逃げ帰った後、勝利のセレモニーが行われた。

男たちが勝利の宴の準備で外を騒がしく駆け回る中、カイトは馬車の中で広げた周辺地域の羊皮紙地図を、小さな手でじっと見つめていた。


(……ふぉふぉふぉ。まずは第一段階クリアじゃ。これで王都への南街道との接続は果たせた)


カイトは、泥靴村から西へ伸び、そこから南へ直角に曲がって王都へと続く太い線を指でなぞる。そして、その『曲がり角』から、今度は上――北のハルバード領の穀倉地帯へ向けて、未開の湿地を縦断する線をなぞった。


(次はこの北ルートじゃな。ここを粗朶道でぶち抜けば、ハルバードから王都までの物流が二十キロは短縮される。間違いなく国家レベルの大動脈になるわい)


だが、カイトの思考はそこでは止まらない。


視線を、南街道との接続点――先ほど特大の罠を仕掛けた『落とし穴』へと移す。


(ヴァロワのジジイは「危険な道」とぬかしたが……皮肉なことに、あいつの言う通りかもしれんな)


もし、北の街道とも直結させた後、王都を狙う強大な外敵がこの道を通ってきたら?

特大の罠を発動させれば、道は落ち、敵は王都へ進軍できなくなる。だが、泥沼の前で行き場を失い、完全に退路を断たれた何万という狂乱の軍勢は、一体どこへ向かうのか。


カイトの指が、地図の上にある『泥靴村』の地点をトントンと叩いた。


(……当然、手前にあるこの村を蹂躙しに来るわな)


今、村の入り口には門や塀を立てているが、粗朶道を使って内側から侵攻されたら、正規軍の猛攻を凌ぎ切れるほどの防衛力は皆無だ。物流のハブとなるこの村は、同時に『王都防衛の最前線チョークポイント』となってしまった。


「……パパたちも、村のみんなも、ぼくがぜったいに守るんだから」

誰もいない馬車の中で、カイトは幼児の舌足らずな声でそう呟くと、再びニヤリと笑って図面に次々と新たな防衛設備や砦のアイデアを書き込み始めた。


(カッカッカッ! 泣き言を言ってる暇はないわい。道も作らなきゃならんし、要塞も組まなきゃならん。それに、道が繋がれば王都からの旅行者も増えるだろうしのぅ)


カイトは、小さな体を大きく伸ばし、窓の外に広がる夕焼けの湿地を見つめた。


カイトは図面をパタンと閉じると、よいしょと立ち上がった。


馬車を降りると、夕焼け空の下、接続地点の前では未だにお祭り騒ぎを続ける男たちの歓声が響き渡っている。


カイトは小さな足で道を進み、その熱狂の輪の中へと歩いていった。そして、両手を口元に当てて元気いっぱいに叫ぶ。


「みんなー! 明日は、おやすみにするよー! でも、おやすみが終わったら、つぎの工事だよー!」


満面の笑みで放たれた五歳児の無茶振りに、泥だらけの男たちは文句を言うどころか、手に持ったジョッキを天に突き上げて、腹の底から笑い合った。


「「「おうっ!!」」」


夕暮れの湿地に響き渡る、世界一頼もしい泥靴を履いた男たちの雄叫び。


辺境の泥沼から始まったフェルメール家の波乱万丈な大工事は、こうして次なる現場へと続いていくのだった。


【第一部・完 / 次の現場へつづく!】


カイトも無事に六歳になるので、次なる現場のタイトルは『物理で殴る児童転生』になるのか、はたまた『物理で殴る幼児転生(児童編)』になるのか。または、公爵に見つかってしまったカイトが全国区に躍り出るのか……。今は、次なる工事の構想を膨らませている最中です!


ここまでカイトと泥靴の男たちを応援してくださった皆様、本当にありがとうございました!


もしよろしければ、第一部完結の「祝儀ボーナス」として、ページ下部より【☆☆☆☆☆】の評価を押していただけると、カイトと職人たちの次なる現場への大きな励みになります!


次の現場の図面が引けるまで、少々お待ちください!

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