第七話:国王(明黄視点)
えーそんなタメ口で話していい感じなのかな?
「で、そこのやつは誰なんじゃ?」
「あ、そういや紹介忘れてたわ。こいつが新しい勇者らしい」
「え、まじで!?」
「まじまじ大マジ」
いくらなんでもノリが軽すぎやしないだろうか。ただこんなタメ口で推定国王に話しかけるんだから、二人がかりで俺を騙してるとかでもない限り、ふたりとも本物だと思っていいだろう。
「そうか、勇者が新しく生まれよったか」
「そうそう」
「なんでお主はそんなことを知っとるんじゃ」
「うーん、鑑定の儀式で勇者が生まれたら通信して、情報が行くようになってるじゃん?」
「そうじゃな、一日か二日もすれば、わしのところに来るはずじゃ」
「その通信の方法を教えたのって俺だから、盗聴とか余裕ってわけ」
うーん。俺が勇者だって情報は盗聴されてたのか。言っていたことからして、このまま行けば今日ぐらいには、この王にも俺が勇者だという情報は行っていたのだろう。ただ、来るのが早すぎただけで。
「ちなみに名はなんというのじゃ」
「あーこいつの名前は確かな」
「お主に聞いておらん。こやつに聞いておるのじゃ」
王は俺の名前が知りたいらしい。俺はまだこの世界の礼儀作法とかは知らない。それも国王に対するものとか全く知らない。なんなら国王の顔も知らない。目の前の国王を見てこんな顔だったのかという感じだ。それよりも質問に答えなければ。さっきから早く言えよみたいな圧がかかってる。まで聞いてから1秒ぐらいしか立ってないじゃん。もう、答えるしかなさそうだ。できる限り丁寧にしよう。
「あ、えっと僕の名前はメディプテス・アンディティスって言います。みんなにはアンディって呼ばれてます」
「そうか、そうか。じゃあわしも、アンディと呼ばせてもらおうかの」
「よ、よろしくお願いします……」
「して、アンディよお主は【勇者】になった。それはよいな」
「はい」
「突然のことで驚くのも無理はない。こんなことをまだ、わしの十分の一も生きてない子供に言うのはあれじゃが。すまない。君にはこの世界を魔王の脅威から守ってもらわねばならん」
「それは、必ずですか?」
「ああ、必ずじゃ。それが【勇者】のスキルツリーを持つものの運命なのじゃ」
「さだめですか……」
「どうかこの世界を守ってほしい。すまない」
どうやら【勇者】のスキルツリーを持った以上この世界を守らなければいけないらしい。たぶん、逃げようと思えば逃げられると思う。だが、それをこの国がいや、世界が許すかと言われたら微妙な気がする。この世界には魔法もあるし魔法で操られて無理やり、魔王討伐の旅に出ろみたいなパティーンもあるかもしれない。
それに、国王のこの様子を見るにある程度は同情してるみたいだし。ただ、この世界を救うだけの覚悟があるかと思えば俺にはない。でも、この世界は俺が【勇者】として転生してきた世界なのだ。思う存分この世界を楽しまなければ損だ。
まぁ俺もまだ子供だし、早急にみたいな展開にはならないだろうからな。それだったら少しぐらいやってみてもいいかもしれない。それにこのまま国王に頭下げさせ続けるのは申し訳ない。てか、国王が頭下げてんだから隣で偉そうに立ってんじゃねぇよ、パスト・グローリー失望したよ俺は。
「んなことどうでもいいんだよ。こいつが【勇者】として生まれてきた事実は変わんないんだ。そもそも、こいつが拒否ったところで何も変わらない。こいつに強制させるかの違いしかないからな」
冷たすぎやしないだろうか。俺は悲しくなってきたよこの俺の扱いに。この世界にとって重要だけど、その中身は誰でもいいみたいな存在だよね。たまたま、生まれてきたのが俺だったっていう。
「まぁいい。国王への顔見せも済んだんだ、こいつは俺が連れて行く。異論は言わせないぞ」
「じゃが、しかし……」
「異論は言わせないといったはずだ」
黙ってしまった。てか俺連れてかれんの?扱いひどくない?てか、両親に挨拶ぐらいさせろや。誘拐やぞ。助けてくれぇー




