第63話 陛下にお願い
「いや、その作戦は成功を収めている。彼が動いたのは、二人を婚約させたからだろう。サイグルドは、神官で精霊を扱える者の中にエルドアリス様達を助けた者がいると探っていたのだろう。あの様子だと、そのままここに戻っていれば、エルドアリス様共々先ほどの作戦で殺されていたかもしれない。功績は大きい」
ウィドガが、マカリーを擁護した。
「ウィドガさん? 何を言い出します? そう言いつつ、こういう結果になる事を願っていたかもしれないのですよ?」
「孫のルナードさんは、聡明だ。責任感もある。彼女、いや彼に神官を続けさせてあげてくださらないでしょうか? そうすれば少しは、エルドアリス様の思いも報われる」
「そうですな! ウィドガさんの言う通りだ!」
ウィドガが言いたい事が分かったイグーレンが言った。
「なるほど。それもそうですな。私も、その意見に賛成です」
ミルアビも頷いて賛成する。
ルナードが、神官のままならばディアルディとの結婚はなしになり、戻ってくると王臣たちは考えた。
「ありがとうございます。その気持ちに応えられるよう精一杯務めさせて頂きます。陛下、どうかお願いします」
プロポーズの返事通りルナードは、陛下に神官を続けさせてほしいと願い出た。
「なんだよそれ! 俺の気持ちは? 俺の人生だって……俺は、ルナード以外とは結婚はしない! ルナードと結婚できなくてもここには戻らない!」
「ディアルディ様、子供の様な事を言わないで下さい。もしここに戻らないとして、あなたはどうやって暮らしていくつもりですか? 普通の者は、働いて稼いでいるのですよ? それがお出来になりますか?」
「そ、それは……」
ディアルディは、女性として過ごしていたし、口が聞けない事になっていたので、働いた事などない。ただ自給自足の様な事をしていたので、畑仕事は出来るが、今それを言えばまたあーだこーだと言われるのはわかっていたので、口にはしなかった。
「私からもルナードが神官のままでいられるように、お願いしたします」
「なんで!!」
お願いしたのは、マカリーだった。ディアルディは驚く。
「今さら女に戻った所で、結婚は出来ないだろう。第二婦人に行くしかない。それならば、ルナードが望む人生を送らせたい。それだけだ」
なんだよそれ! あの時言った事と違うだろう。結婚してもいいって言ったのに!
ディアルディは、信用していたマカリーに裏切られた気分だった。
「そうですね。親としては、複雑です。ですが、ルナードの幸せを考えれば、魔女に戻すよりいいでしょう。お願します」
フィタードも頭を下げた。
「「………」」
王臣達は、驚いていた。本当にこうなったのは、ただの結果だったのかと。




