バカじゃん
【非合法なパン屋】
店内には、カニパンだけが陳列されており、
店に訪れる客は誰もカニパンなんぞ目もくれず、オーダーメイドのパンを買って行く。
そしてそれは、お世辞にも誉められたようなもんじゃない類のものである。
なぜ、この城にこんな場所があるのか……?
……考えるだけ無駄な気もしてくるが、
この場所があるのにはおそらく理由があるのだろう。
しかし考えても無駄なので、建成は思い切って店員に話しかけてみた。
「……モアーリセットに辿り着くための鍵が欲しい……」
すると店員は、黙って焼き場にいき、8インチはあるかという大きなカニパンを持ってきた。
「どうぞ」
そう言ってパンを手渡しし、店員は去っていった……。
【ガラスの水族館】
建成がパン屋から出てくる。言葉を失うほど呆気なく『それ』は手に入った。
いや……まだ『それ』なのかは分かってはいないのだが……
【国歌を永遠と聞かされる部屋】
「しゃ!」
ガラスの水族館を出ると、伝達要因の猫が建成を待ち受けていた。
とりあえず『鯨』の模型をささげた先にある場所から、『ここまで』戻ってこれてよかった。
一つ懸念点が解消された。
……このパンをどうすればいいのかがわからないが、『モアーリセットの鍵』と言って出てきたのがこのパンだ。
おそらくこれがモアーリセットに通ずる鍵の一つなのだろう。……パンが?
「なんじゃん? ソレ」
猫が怪訝そうな目で、訴えてくる。
「俺にもわからんのだ。だが、鍵を所望したらこれが出てきた」
「そんな理由で引き返してきたじゃん!! お前!! バカじゃん!!」
「そんなことを言われても俺にもわからん!!」
「お前、それでこの城で何回ミスしてるじゃん!! いいかげん学ぶじゃん!!」
「怒ることないだろう…… ……? お前、俺がこのに手を焼いていることをなぜ知っている?」
「しゃ……」
猫が固まると、猫の後ろから一旦もめんが近づいてきた。
腹を空かせているらしく、カニパンをムシャムシャ食べだした。
「あ」
その光景に建成が、今さっき猫に言われたことを思い出して凍りついた。
しかし……
パンから出てきたものは、『鍵』だった。
そんなことがあるか!? こんな簡単に手に入っていいのか!? あのパン屋はなんだったんだ!?
建成に七色の疑問符が湧いて出た。
何はともあれ、鍵の一つは手に入った。次はベーゼンドルファーに言われた『おばあちゃん』に会いに行くことだ。




