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ドトウ(怒涛)
・そして現・第一公家当主、その名はドトウ(dotou)。今年で齢68になる。公家当主の中で最高齢でもある。
しかしその外観からはまだまだ老いは漂わない。日焼けした肌に白髪。切りそろえられたあごひげ。鍛え上げられた体躯。その双脚は重戦車を思い起こさせる。
そしてその眼光は刃物。
睨まれた物はその場で心臓を鷲づかみされるかのような錯覚を覚える。
・ドトウの声は深く、重く。地鳴りのようにも聞こえる。
・ドトウが言う〝責任〟とは、死罰。
・「戯け者ッ!!!」
・「このような仕事も満足にできぬのか、小娘」
・あれは使える。(フズ)
・「『黄泉騎士団』は……『黒国』第一公家・ドトウ直轄の飛行部隊ですよ」
・「……『黒国』は80年前王政が廃止になった。以後は、先王の血族である12の分家によって政治が成されているんだ。中でも最も先王に近い血筋を持ち、一番の権力を有しているのが第一公家。その現在の当主がドトウ。事実上、『黒』の頂点にいる男だ」
・「はい。『黒』空軍の中でもエリートクラスの者が集まっていると聞きます