表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空-ku_u-【用語集】  作者: 葵れい
登場人物 【湊関連】
31/89

   原田 兵庫(harada_hyougo)<4部>

 ・「兵庫、海月さんの手伝いをしてあげたらどうだ?」

  「は? 厨房? 俺でいいなら?」

  「ダメ。あんたはくるな。店の評判が落ちると困る」

 ・だが瑛己も兵庫の料理の腕前は理解している。やめた方がいいだろうと思った。

 ・その頃には兵庫は完全に酔いつぶれ、寝入ってしまっていた。

  「もう、弱いのに飲みすぎるから……」

  呆れ半分で叩き起こそうとしたが、「瑛己君、こいつはこっちで何とかするから」と海月が苦笑した。

  「こいつ、空軍時代からこうやって飲みすぎては酔い潰れて……まったく、いい歳して」

  「はぁ」

  「そこいくとハルは全然つぶれないのよねー。つまんないくらい」

 ・「……ムニャムニャ、海月ぃー、酒ー……」



 ・「あいつ、酒、昔から強くなかったもん。なのに昨日は白河が気を使ってジャンジャン注いでたから。あいつもそれに合わせてジャンジャン飲んでたし。死ぬんじゃないかと思ってた」

  「……止めてあげなよ」

  「いやそりゃもう、自己責任だろ。それに必死に飲む姿が見てて面白かったし」

  ヒドイ元副隊長である。

 ・「ダメダメ。最終チェックは自分でしないと。いざって時に頼りになるのは自分だぞ? 飛空艇の全性能を知り尽くしてこそ、その力を本当に発揮する事ができる。あっちの国の飛空艇と、機械、気象についても調べておいた方がいい。操縦に関してもだ」

 ・兵庫は料理そっちのけで、ポケットから葉巻を取り出した。

 ・「瑛己」

  「ん?」

  「もしも本当に、上島にまた会う事ができたなら。……伝えてくれないか?」

  「え?」

   言っておきながら、兵庫はパタパタと手を振って笑った。「万が一機会があったら、でいいよ」

  「正直あいつに近づかない方がいいとも思う」

  「……」

  「でももしそんな機会があったなら―――お前の女神が微笑んで、そんな状況に立たされたら」

  「……何?」

   ガタガタと、隣の席に客が座る。

   今日も店内は賑わしい。

   その中で兵庫はボソリとその言葉を口にした。

  「……わかった。覚えておく」

  「ん」

   兵庫は2本目に火を点けた。

   瞼を伏せたその顔には笑みが浮かんでいた。

   瑛己は空が眺めたくなった。

   眩しいほどの蒼空を、無性に、眺めたくなった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ