白河 元康(sirakawa_motoyasu)<3部>
・「雨峰総監は単純に好意でお前達を呼んだ。信頼に足ると私は思っている。何か万が一の事があれば自分が全て責任を取るとも言ってくれた」
・「それにしても……大きな格納庫ですね。『湊』の倍以上かな」
「これが見たとこ何個もあったよな? その上第2、第3駐艇場って……どんだけやねん」
「『湊』もこれくらいの作ればいいのに」
「予算の問題だろ。誰が資金出す?」
「そら、白河総監のポケットマネーで」
「あの人がそんな金持ちに見えるか?」
「確かに。白河さんのとこって年上の奥さんでしたよね? しっかり給料握られてそう。お小遣いあんまりもらってなさそうですよね」
・「白河君はお元気かしら?」
「はい。息災です」
「白河君は昔から自分1人で抱え込むタイプだから。いつも心配してるの」
白河総監か……ふと瑛己は思った。総監も、あの事件以来少し変わった気がする1人だ。
何と言ったらいいかわからないが、いい意味で「吹っ切れた」そんな感じがする。
(兵庫おじさんとの事かな)
・「雨峰総監には敵いません」
・「飛ッッ!!!! 瑛己さんッッ!!!!」
担架に運ばれる飛と瑛己を。
秀一は滅茶苦茶になって追いかけた。
「相楽君!!」
「総監!! 離してッッ!!」
「落ち着け!!」
・「どうした」
「……いえ」
「ん?」
書類を見ながら、白河は優しい口調で問いかけた。
磐木はそんな白河を一瞥だけして、また、床の模様を見た。
その表情は、隊長・磐木 徹志として隊の者に見せた事のないものだった。
「須賀君の事か?」
・「最初も言ってたな。覚えてるか?」
「……」
「何度も何度も。俺がお前に隊を持たせようとするたびに、お前はそうやって断り続けた。自分には向いてません、と言ってな」
「……」
「でもな、磐木。俺はお前に隊を持たせたかった。そしてその選択を、間違っていたとは思ってないよ」
「……」
「誰でもつまづく」そう言って、白河はまた書類に目を落とした。「順風満帆に生涯、つまづく事なく走る事ができる人間なんかいやしない」
「……」
「そして越えられない試練を、神は与えはしない。乗り越えてさらに強くなる事を願うからこそ、神は人に試練を課す。俺はそう思う」
「……」
「須賀君なら越えるだろう。どんな高みでも、壁でも、ぶち壊して突破する。そういう奴だろう? そしてお前も」
「……総監」
「信じてやれ。そして俺はお前の事、信じてるよ」




