第16話 正念場で俺は戦います
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ヌロニハールからの膨大な戦闘データを統合分析し、最適解へと解析が完了を告げるメッセージが琉人の頭の中に響く。
眷属神の一斉に振り下ろされた刃を身に受け、苦痛に歪む表情とは裏腹に、琉人には心の余裕があった。
一気に散開した眷属神は次の一手を繰り出そうと身構える。
間合いを詰める眷属神。その一瞬の隙を見た琉人は、攻勢に転じる機を見逃さなかった。
「稼働限界、解除。ヌロニハール無双、発動ッ!!」
琉人が纏う白き聖闘神鎧が光に包まれ、忽然と姿を消した。
琉人を見失った眷属神は狼狽え周囲を見回し警戒する。
白き影が眷属神の背後から白き拳を叩きつけ、爆ぜるような一撃が、鎧ごと眷属神を弾き飛ばした。
ヌロニハールの戦闘が白き影となり琉人へ体現し、あたかもヌロニハールが戦闘を繰り広げているようであった。
「これは凄まじ過ぎるッ!ヌロニハールの速さに体がバラバラになりそうだッ!!」
疾風の如き速さで白き影となり眷属神を翻弄する琉人は、幾多の白き影の残像を出現させ、琉人の白き影の残像を斬った眷属神の刃が空振りし、空振りさせた眷属神のガラ空きになった急所へ、容赦なく渾身の打撃を叩きつけた。
姿見え無き白き影となったヌロニハール無双状態の琉人を止める眷属神は何処にも居なかった。
闇雲に剣を振り回し無暗に雷撃を数撃つ眷属神は、白き影となった琉人から弄ばれて、白き拳と白き脚で弾き飛ばされていった。
「このままザビグロニアを討つッ!」
白きパワードスーツである聖闘神鎧を身に纏いて拳を構えた琉人の視線は、ヌロニハールを斬り飛ばした万雷の主宰、ザビグロニアを真っ向から見据えていた
「ほお、その面妖な甲冑での戦い、なかなかやるではないか、琉人。いいぞ、来いッ!この万雷の主宰ザビグロニアが相手しようぞッ!眷属神らへ命ずるッ!我の後方で整列、待機せよッ!」
「ハッ!仰せのままにッ!!」
前方に展開していた眷属神は万雷の主宰ザビグロニアの後方へ下がり、整列し剣を鞘に納め、静かに腕を組み仁王立ちで待機した。
張り詰めた一対一で対峙する両者は、互いに間合いを取ろうと小さくすり足で移動する。
「万雷の主宰ザビグロニア神。一つ聞いてもいいか」
「いきなり急になんだッ!」
「なぜ胴に甲冑を付けないんだ?胸から腹にかけてガラ空きだぞ」
「ふんッ!そんな事かッ!この方が戦い易いからだッ!それだけだッ!無駄口もここで終わりだ琉人ッ!!」
万雷の主宰ザビグロニアから雷鳴鳴る大太刀が振り下ろされ、その衝撃波が電撃を纏い琉人を捉え勢いよく放った。
一歩も引かず電撃の衝撃波を身に受けた琉人のヌロニハール無双状態の前では、万雷の主宰ザビグロニアの一振り衝撃波もそよ風に等しく、パワードスーツ聖闘神鎧が意図も容易く衝撃波を弾き飛ばした。
「一刀雷撃波が効かぬだとッ!小癪なッ!!」
「万雷の主宰ザビグロニアッ!飛び道具でなく、白兵戦で行こうぜ」
「いいだろう」
万雷の主宰ザビグロニアは手にした大剣を後ろに投げ飛ばし、拳を構え間合いを取り琉人の出方を推し計った。
「いい心意気だぜ、ザビグロニア」
琉人が一歩踏み出し、まばたきすら許さぬ速さで、白き軌跡が万雷の主宰ザビグロニアの急所を幾度も穿った。
琉人の頭の中に聖闘神鎧からの警告メッセージが響いた。
(ヌロニハール無双。あと20秒で終了します。カウント20、19、18…)
「えっ!?終わりッ!?」
防戦一方だった万雷の主宰ザビグロニアは、一瞬動揺が走った琉人の隙を見逃さなかった。
一瞬の隙を突いて放たれた万雷の主宰ザビグロニアの拳の背が、琉人の聖闘神鎧で覆われた顔面を強打し、脇腹へ叩き込まれた鋭い蹴りが琉人の腕ごと骨を蝕み、激痛を走らせた。
「うぐぅ…ッ!やばい…これマジ折れてる」
激痛に走る左腕をだらりと垂らし、呼吸する度に戦意が削られていく。
琉人の頭の中にヌロニハール無双が終了し、稼働限界の解除も通常モードに移行したメッセージが無情に響き渡った。
万雷の主宰ザビグロニアは止めを刺すべく拳を構え、勝利を確信した表情で一歩踏み出した。
このままの状態で万雷の主宰ザビグロニアの一撃を防ぎきることができるだろうか。いや待て、俺の筋書通りの展開で迎えたこの山場をどう乗り越えようか。どう足掻こうと、あの一撃を喰らったら逝ってしまうな。終わったのか俺。でも何か忘れているような…。
万雷の主宰ザビグロニアの拳が顔面に迫りくる刹那、琉人は走馬灯のように思考をフル回転で巡らせた。
突如として次の瞬間、視界の端から黒き影が飛び込んできた。反応する間もなく、その黒き影は二人の間に割り込み、半ば強引に万雷の主宰ザビグロニアの拳を受け止め振り払い、琉人をその場から引き離した。
「お前らッ!遅いッ!!」
傷ついた琉人の窮地を救い、安全な場所へ座らせた茶髪ナチュラルボブのユナシアが、開口一番に平身低頭に謝った。
「ごめんなさいっ、マスターッ!」
琉人は遅くなった理由を聞こうとしたが止めた。それより万雷の主宰ザビグロニアとの戦いを優先とした。
「ユナシナ。遅れた理由は後で聞く。それより戦闘を優先し、目の前の敵に集中しろッ!」
「はいッ!!」
元気のいい返事を残しユナシナは、遅れてきた汚名を戦闘で挽回しようと駆け出した。
万雷の主宰ザビグロニアの拳を受け流した紫色髪のハーフアップが印象的なユキノヒメが、残像を置き去りにするほどの連蹴りを繰り出し、その一撃一撃が、鋼鉄の重みを持って万雷の主宰ザビグロニアの反撃の機会を奪っていた。
「俺様の蹴りでくたばれッ!」
「そんな蹴りでくたばる我ではないはッ!」
「じゃあ、僕の一撃を喰らっても」
「うんッ!?もう一人背後にいたかッ!」
ユキノヒメの背後から桃色髪のお団子ヘアがよく似合うモモカが、遠心力を乗せた凄絶な回し蹴りをザビグロニアの脇腹を捉え、大気を爆ぜさせながら炸裂し、勢いよく蹴り飛ばした。
吹き飛ばされた衝撃でザビグロニアが壁に激突し、轟音と伴って建物が揺らいだ。
「もう、僕、怖かったんだからねッ!ユキノヒメッ!!」
「大丈夫だ、俺様がいるッ!心配するなッ!!」
「二人ともマスター怒ってたよっ!」
そのユナシナの言葉を聞いたモモカとユキノヒメは、遠くで見守って見詰める琉人へ背筋を伸ばして顔を向けた。
「ごめんなさいマスター!だって怖かっただもんッ!!」
「言い訳は後で聞くッ!神々を蹴散らせッ!!」
「はぁいッ!マスターがんばるぅッ!!」
手を振って琉人に答えるユキノヒメとモモカに頭を抱えるユナシナは気を引き締めて神々へと立ち向かっていった。
「こんな蹴り一つでくたばる我ではないはッ!調子に乗るなッ!嬢ちゃん達ッ!!」
不意をついての万雷の主宰ザビグロニアの蹴りが、ユキノヒメとモモカ二人揃って背後から蹴り飛ばされ、後方で待機する眷属神の渦中へと投げ込まれた。
「モモカッ!ユキノヒメッ!!」
二人の名を叫び助け行こうとするユナシアの前に立ち塞がったのは、万雷の主宰ザビグロニアが大太刀を振るう猛攻だった。ユナシアは次第に逃げ場を失い彼女の背後に冷たい壁が迫っていた。
「もう…ダメ」
ユナシアが死を観念した表情を晒す。
そんなユナシアを眺める万雷の主宰ザビグロニアは優勢を誇った表情で言い放った。
「観念しろッ!嬢ちゃんッ!!」
万雷の主宰ザビグロニアの刃がユナシナの首元に迫った。
その時だった。大気が悲鳴を上げ、天が真っ赤に染まり、地獄の底から溢れ出したかのような悍ましいまでの紅蓮の炎が、万雷の主宰ザビグロニアとその眷属64柱へ向けて爆風を伴い放たれたのだった。
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