幕間 ゆめのなか
廃墟の屋上で、先生と私は寝転がって星を眺めています。
足元では、たき火がパチパチ、パチパチと音を立てています。
「先生は、どうして人助けをやってるんですか?」
「そりゃあ、お前、アレだよ、アレ。オレは、ほら、正義の味方だから」
先生と私は旅烏。
集落、村、町、都市。
人が生き残って集まっているところにずかずかと踏み込んでいっては人助けをしています。
「嘘をつくなよ」
「こら、伶。女の子がそんな乱暴な言葉を使うんじゃない」
「先生だって、女じゃないですか」
「オレはいいんだよ。自分で選んでやってるんだ」
先生は不思議な言葉遣いをします。
私に勉強を教えるときだけ、女の人らしい言葉遣いをします。
「人助けも?」
「もちろん。趣味みたいなものだし」
「私にもできますか?」
「さあね。普通の仕事じゃ駄目なのか?」
「私、先生みたいにすごい人になりたいです」
「なりたくてなれるものでもないからなあ」
「私はファンブルじゃないからですか?」
先生は、特別です。
どんな悪党も化物もすぐにやっつけます。
壊れた物を直して、新しい物を創ります。
「そうじゃない。何にせよなろうと思ってなれるような奴にはなるなよって話だ」
「先生がナントカッテハナシダって言うときは何も考えてないときです」
「そういう分析をするんじゃない」
「特別な人って素敵じゃないですか」
先生は私の憧れです。
先生みたいに人を助ける大人になれればいいな、と思います。
「――伶は、伶になればいいんだよ」
「さっきと言ってることが違うじゃないですか」
「後の方はちゃんと考えて言ってる」
「本当ですか?」
「ああ、本当だ。特別なんて、ロクなもんじゃない。溢れ者だよ」
そんなことはないです。そう叫ぼうとしましたが、声が出ません。
そのまま、私の意識は途絶えました。




