神代隆起編 ⑩
連続更新25日目!
大分遅れたわ!
すまんの!
案内役の鬼の後を着いて行った先には森が広がり更に広場が存在していた。
1つの焚き火を5〜6体の鬼が囲み酒らしい液体を浴びるように飲んでいる。
あの様子では私達が暴れても対処出来ないでしょう。
何なら対処をする気がないようにすら見えるがどういう事だろうか。
「…………」
「ふーーん強いね」
鬼の連中がどれだけ騒いでも中央にいる絶対にだけは迷惑を掛けないよう努めて騒ぐ存在。
2体の横には禍々しいオーラを纏う大太刀。
こちらを値踏みするように睨みながら酒を一口飲み脇に置く。
「今度は……雑魚じゃなさそうじゃ」
「前の奴は頑張ってはおったが儂らと戦いを成立させるにはまだ2回壁を破らねばならぬほど弱かった。
しかし正式な使者はどうやら私らと戦うに相応しい戦士だ……特に横の小さいの」
は?
これはもしや私の事を言っているのでしょうか?
身長は154㎝もあれば充分でしょう!!
栞様の175㎝が特別大きいだけです!!!!
………………主様は更に特別体が縦に大きいですが何か言えば怒りを買いそうなので口を慎みましょう。
まぁ、喧嘩となれば普通に勝ちますが
「……」
「おい、おい!何か言わぬかっ」
「酒呑もしや体を小さいと言った事に対して怒っておるやもしれん。
はははっ存外愛い存在だな」
「えーー私無視?」
よし、使者をしていなければ殺していた所だ。
ただでさえ影響しているのに私の計画にこれ以上遅れは出したくない。
冷静になれている私を自分で褒めたいです
「一応私と栞様が貴女方が望んだ人間の使者です」
「人間?」
「人間だと?……くっ、ふははははははは!面白い事をぬかすな小娘ぇ!その身が人間だとぉ?!儂の腹を引きちぎる気か!」
「酒呑?酒呑??落ち着こう酒呑???」
この2人の力関係が透けて見える。
だが今はそんな事どうでも良い……妾はこうも弄られるのは初めてじゃ
「ひーひー……ふぅ、これ以上弄れば戦争に発展しかねん。落ち着くとしよう。
儂の名前は酒呑童子、生きた歴史という文字に魔力が宿り本当のものとなった存在だ。
得物はこの大太刀一本、銘は息吹の鼓動私の中の記憶はこれで数百という人間を屠ったと覚えがある。
……所詮文字の記憶だがな」
「そして俺は茨木童子。絵物語ではそれなりに有名のはずじゃ」
「確かに有名だね。
色んなゲームに名前が引っ張りタコだよ」
「ほう?!様々な遊戯に儂らの名前を用いると!それほど儂らの名は広がっておるのか……!
くはは、これは少しだけ気恥ずかしいものだ」
酒呑童子が笑う。
どうやら微妙にダンジョンの外の情報を知っている感じがある。
この調子なら話は出来そうだ。
「本題に入ってよろしいでしょうか酒呑童子に茨木童子」
「猫を被りおって……だが許す。本題に入れ」
「なら俺がその要件を話そう」
茨木童子は酒呑童子に許可を得ると立ち上がり私達の目の前に立つ。
「我ら鬼の一味はこのダンジョンを任されダンジョンから戦力としてこの身体、武器、そして酒呑と俺が部下の鬼を生み出せる力を与えられ人間への僅かな殺意も埋め付けられた。
しかしその理由が外部からのダンジョンへの過干渉が原因」
「予め言っておくがお主達はんたーとやらの事ではない」
「外部からの干渉とはダンジョンのボスを食わんとする歪な怪異の存在だ。
結界を張ろうがダンジョンへの人の侵入を一切拒もうが必ず空間に現れる渦の中から出て来る」
「「?!」」
今の話で仮説が確定しましたね。
産み場から現れる新種のモンスターは『新種』へのカウンターだという仮説が!
カウンターとして呼ばれた童子2人と雪女の違いは言語能力の有無
そこだけが気がかりだが今は気にしない
「今の話とこの場所から何か考えつくか?小娘ぇ」
「酒呑」
「良いどうせ言う事は同じだ」
「回りくどく言う?」
「言わんでいい」
「ふぅーーー……」
山、森の中から木々を切り開かれたこの空間を見てまず思うのは
貧相
ただそれだけだった。
ボス格の威厳も何もない敗残兵がなるべく住み易い場所を作ったような空間。
『新種』が現れたという報告から察するに
「私達のいうダンジョン産っぽくない『新種』との抗争に負けたと見える」
「そう!正解だ!!儂らは奴との戦いに負けダンジョンのマスターも殺され完全に主導権を握られた。
抗争に負けたおかげで儂らの元を去った鬼共はダンジョンの外に溢れ人間達に屠られ儂らについて来た者達はこうしてダンジョンから出られない呪いをかけられた」
「大体貴女の言いたい事は分かった」
「はっ!察しの良い人間は好きじゃ!!会話に無駄がなくなる!」
「つまりここから出して欲しいと言う依頼を頼む為にワザと自分達を殺しに来た人間を見逃した。
圧倒的戦力差を見せつつ話の出来る存在を呼び出すために」
酒呑童子の口が大きく歪んだ。
「正解じゃ小娘。儂らはここに閉じ込められた。
しかし奴らはダンジョンを自由に出入り出来る!!補給物資の調達が出来ない儂らの未来は先細りじゃ!!
このような屈辱は未だかつて味わった事がない!
屈辱と!!儂らの部下を屠った報い!!!晴らさねば怒りで身が焦がれそうじゃあ!!!!
戦で死ぬのは良い!儂が下した命じゃ!じゃが奴らは戦とは到底呼ばぬ方法で儂が!茨木が生み出した眷属の命を弄んだ!
ふざけた事に代償を払わせる!それが儂らの願い!そしてこのダンジョンから出たい!
小娘共!儂らをここから出せ!!その対価はこの身体……戦力で釣り合わぬか?!」
怒り、屈辱、焦燥
様々な感情が渦巻き酒呑童子の口から発せられる。
比較的落ち着いた茨木童子でさえ酒呑童子の話の途中で怒りが目に見えていた。
彼らの中で戦とは思ったより神聖な扱いなのでしょうね。
「貴女の怒りは…………ダンジョンそのものの怒りに聞こえます」
「「ふはっ!!そりゃあそうじゃろお!」」
「儂らはダンジョンから生まれ!」
「ダンジョンの願いを叶える為に動いた!」
「儂らの怒りは正しくダンジョンの怒りそのもの!」
「先程小娘と言ったがお主は俺と同じくダンジョンの眷属……いや、マスター…………やっぱりそれ以上の存在である故本来は礼を尽くさねばならない所を失礼した」
「言い訳にならぬだろうが余裕があまり無かった。
そこだけは汲んで貰いたい」
酒呑童子と茨木童子が頭を下げた。
その姿を見て私は一言だけ告げる。
「私は主様に仕えています。勝手な判断は出来ませんが……元ダンジョンのマスターとして貴女を受け入れます」
「「……っ!」」
周りの周りの鬼含め全員が私と栞様に頭を下げる。
「なるべく交渉はします。益になると証明して下さいね」
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