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両片想いでラブコメで!~想い人一筋なのに、隣人の金髪碧眼美少女がやたらとちょっかいかけてくるんだが?~  作者: 咲来青
第6章

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第2話 国吉、戻って来た三名に余計な一言を掛ける

「おっ。――ずいぶんと長いトイレ休憩でしたね? お三方揃って、便秘か何かですか?」


 海辺に着いたとたん、デジタルカメラを構えた国吉が、ニヤニヤと笑いながら発した言葉に、


「な――っ! だっ、誰が便秘よっ!? レディに向かって失礼ねっ! デリカシーのない結太の真似なんかしてないで、さっさと次のポーズだか何だか指示して、撮影始めなさいよッ!!」


 イーリスは、目を三角にして言い返す。


 結太は『〝デリカシーのない結太の真似〟っ!?』と、内心ショックを受けていたが、思い返してみれば、似たようなセリフを言ってしまったことがあったっけと、むぐぐと詰まり、反論の言葉をのみ込んだ。


 国吉はハハハと笑いつつ、


「それでは、撮影を再開しましょうか。――楠木様、伊吹様。〝高校生くらいの男女が見つめ合うところ〟ってのを撮らなきゃいけませんので、見つめ合ってみてくださいませんか?」


 最初に撮るものを決めておいたのか、結太と桃花に声を掛ける。

 二人は『ええっ!?』と驚き、真っ赤になって顔を見合わせた。


「うん、いいですね。顔が赤くなってるとこなんか、初々(ういうい)しさが強調されていて最高だ。――ああっ、目を逸らさないでください! 〝見つめ合う〟ところを撮らなきゃいけないんですから。――ほらほらっ。もっと互いの目を見つめて!――そう! そうそう、そうです! そのまま三十秒キープして!」


 ファインダーを覗き込みながら、国吉は二人に指示を送る。

 午前に撮りまくったことで、彼もすっかり、カメラマン役が(さま)になって来ていた。


「――はい、このくらいでいいでしょう。次は……っと、そうそう。〝スク水少女と海パンの少年がパシャパシャ水をかけあうところ〟ってやつですね。楠木様、伊吹様! 海に入って、海水かけあっちゃってください!」


「ええっ!?」

「そ、そんな……っ」



 見つめ合うだけでも、充分恥ずかしかったというのに。

 海で〝パシャパシャ水をかけあう〟なんて、ハードルが高過ぎる!



 結太は国吉に向かい、


「そっ、そんなの、べつに、オレと伊吹さんじゃなくってもいーだろっ? イーリスとトラさんとか、イーリスとサギさんとかでもいーじゃんかっ! 何でオレらばっかり――っ」


 真っ赤になって訴えるが、国吉は涼しい顔で、イーリスから受け取ったメモを指し示しつつ。


「申し訳ありませんが、ここに〝スク水少女と海パンの少年が〟って、ちゃんと指定してあるんですよ。その条件に合うのは、お二人以外にいらっしゃいませんし」


「でっ、ででででもっ、そんなん、後で漫画家さんに、脳内で補完してもらえばいーだけの話だろっ? 漫画家さんだったら、構図が合ってりゃ、そんくれー出来るはずだっ! だからほらっ、トラさんサギさんっ、海で水かけあってくれ! 頼むっ!」



 桃花と水のかけあいっこを、したくないわけではなかった。

 むしろ、してみたいことではある。


 だがそれは、〝付き合えたらしたいこと〟のうちのひとつのようなもので、決して、今現在(しかも、強制されて)したいことではないのだ。



 結太に頼まれてしまった東雲と鵲は、当然のことながら、


「はああっ!? ジョーダンだろ結太!? 何が悲しくて、〝浮かれた恋人どーしのキャッキャウフフ〟を、男の俺とサギでやんなきゃなんねーんだよッ!? 第一、そんなん地獄絵図過ぎんだろッ!?」


「そーだよ結太さんッ!! いくら結太さんの頼みって言っても、出来ることと出来ないことがあるんだ!! それだけは勘弁してほしいよッ!!」


 即、拒否する二人だったが、結太も負けじと言い返す。


「〝大人の男同士〟だって思うからいけねーんだよ! 二人は幼馴染なんだからさ、小さい頃なら、海やプールで水のかけあいなんて、やってみたことあんじゃねーのっ!? 昔に帰ったと思って、やってみりゃいーじゃん!!――なっ? なっ、なっ!?」


「そんなガキの頃のことなんざ、いちいち覚えてねーよッ!! もし覚えてたとしても、やっぱ無理あんだろ!? 大の大人が――しかも男同士が、キャッキャウフフ出来っかってんだ!!」


「そーだよッ!! そんなの許されるのは、せいぜい二十歳前後までだよ!! オジサンになりつつある俺達じゃあ絶対無理あるし、絵的に辛いって!!」


「そーだそーだッ!! オッサン予備軍みてーな俺らじゃー、既に無理無理ッ!! ここはやっぱ、若いもんどーしに頑張ってもらわねーとっ!!」


 東雲も鵲も、よほど〝海でのキャッキャウフフ〟が嫌なのだろう。

 普段であれば、(特に東雲は)オジサン呼ばわりされるのを嫌うクセに、こういう時だけ、やたらとオジサンを強調して来る。



 結太と桃花でやるか、東雲と鵲でやるか。

 今のところ、結太VS東雲&鵲だ。多数決にゆだねれば、完全に負ける。



 焦る結太だったが、そこに割って入って来た人間がいた。――イーリスだ。

 彼女は両手を腰に当て、呆れ顔でため息をつくと、


「まったく。いつまでバカらしい言い合いしてるのよ? だいたい、一対一でやろうとするから、恥ずかしーって気持ちが先に立っちゃうんでしょ? こーゆー時は、みんなでやればいーのよ」


 堂々と胸を張り、〝多数での水のかけあい〟を主張して来た。


「えっ。……でも、一対一の構図が欲しいって……」

「そんなの、国吉が良いアングルとかポジション見つけて、撮ればいいってだけでしょ?――国吉、出来るわよね?」


 国吉に顔を向けて訊ねると、彼はフッと笑ってうなずいた。


「ええ、まあ。……出来ないとは言いませんが」


 イーリスはニヤリと笑い、


「それじゃあ決まりね! ほらっ! みんなで海でかけあいっこよーーーーーッ!!」


 結太と桃花の手を引いて号令を掛けると、海へと突進して行った。

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