表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
両片想いでラブコメで!~想い人一筋なのに、隣人の金髪碧眼美少女がやたらとちょっかいかけてくるんだが?~  作者: 咲来青
第5章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

93/156

第17話 結太ら、イーリスの気をそらそうと努める

「…………怪しい」


 龍生と咲耶のことを訊ねたとたん、様子がおかしくなった面々に、イーリスはじとっとした視線を向ける。

 結太らは、彼女と視線を合わせないようにしながら、


「あ……あー、腹減ったーーー! 早く食おーぜ。さっさと食っちまわねーと、この炎天下じゃ、腐っちまうかもしんねーし!……なっ? そーだろ、トラさんサギさんっ?」


「あ、ああ――。そっ、そーだぜ結太! 真夏の気温を甘く見ちゃいけねーんだぜっ? さっさと食っちまわねーと、食中毒になっちまうからなぁっ?」


「う、うん! 危ない! 危ないよ!……ほっ、ほらっ。結太さんの好きなツナマヨおにぎりとか、からあげとか、玉子焼きもあるよっ。ほらっ。ほらほらっ。さあ食べて! どんどん食べて!」


 そう言って紙皿を手にすると、鵲は、素早く結太の好物を盛り付け、彼に渡した。

 結太もためらうことなく受け取り、


「おっ。サンキューサギさん! ほんじゃ、いっただっきまーーーっす!」


 大口を開けておにぎりにかぶりつき、もぐもぐゴックンしてから、『うめえうめえ』と絶賛し始めた。

 桃花が彼らのスピードについて行けず、ボーっとしていると、


「伊吹様! 好きなものを言ってくだされば、取り分けますよ? ご遠慮なく、どんどん食ってくださいね!」


 東雲も紙皿を手に取り、ニカッと笑う。

 桃花はこくこくとうなずいて。


「あ、はいっ。……え、と、じゃあ……BLTサンドと、宝神さん特製の、パリパリサラダをお願いします」

「はいはいっ。BLTサンドとパリパリサラダですねっ。毎度ありぃーーーっ」


 東雲は消毒液入りウェットティッシュで両手を拭くと、紙皿にサンドウィッチとサラダを盛り付け、桃花に渡す。

 桃花は『ありがとうございます』と受け取った後、やはりウェットティッシュで両手を拭き、サンドウィッチに小さな口でかぶりついた。


 イーリスは、彼らの様子を探るような目つきで眺めていたが、


「お嬢。お嬢はどちらから行っときます? まずは、フルーツ辺りからですかね? モモとかお好きでしょう? 照り焼きチキンのサンドウィッチも、確かお好きでしたよね?」


 いつの間にか隣に座っていた国吉が、紙皿と箸を両手に持ち、ニッと笑って訊ねる。

 彼女は納得行かないように、むうっと口をとがらせていたが、空腹の前では、意地を張り続けることは難しかったのか、


「……じゃあ、モモからいただこうかしら」


 ボソッとつぶやき、ウェットティッシュに手を伸ばした。




 三十分後。

 結太は、降参するかのように、


「あーーーっ、食った食ったーーーっ! もう、何も入んねーーーっ。さすがに食い過ぎたーーーーっ」


 大声で言い放ち、レジャーシートの上に仰向けで寝転がった。



 咲耶の分を考えなくてもよかったはずが、やはり、作り過ぎたのだ。

 弁当は、彼女抜きで食べ切れるほどの量ではなかった。


 それでも、どうにかこうにか、全て平らげたため、結太の胃袋も、他の者達の胃袋も、同様に悲鳴を上げていた。



 イーリスはお腹を押さえながら、


「でも……ねえ? 全部残さず、食べ尽くす必要あったの? クーラーボックスに入れておけば、夕食くらいまでなら、腐る心配はしなかったんじゃない……?」


 げんなりした顔で、疑問を投げ掛ける。

 結太はう~んと(うな)りながら、体を横に向け、


「そりゃ、まあ……。そーなんだけど……。何故か、『全部キレーに平らげなきゃ』って気分に……なっちまったんだよ……な……」


 そう言って、ハハハと乾いた笑いを発した。

 ただ一人、その流れに加われなかった桃花は、


「あの……ごめんなさい。わたしが、あんまり食べられなかったから……。皆さんに、ほとんど協力出来なくて……」


 シュンとうつむき、消え入りそうな声で謝る。

 結太はガバッと起き上がり、ぶるぶるぶると、お風呂上がりの犬のように首を振った。


「いやっ! 勝手に『全部食わなきゃ』って気分になってたのは、俺らだから! 全部食べなきゃいけねーって決まりなんてねーんだし、伊吹さんは気にする必要まったくねーよ!」

「……楠木くん……」


 桃花にうるうるとした瞳で見つめられ、結太の心臓はドックンと跳ね上がり、たちまち全身が赤く染まった。

 イーリスはからかうように、


「あーらあら。結太ったら、桃花に見つめられただけで、真っ赤っかになっちゃって。相変わらず、わかりやすいわねー」


 片手でパタパタと自分を(あお)ぎ、フフンと笑う。


「な――っ、バ――……ッ!」


 絶句する結太と、『あー、熱い熱い』などと言って、自分を扇ぎ続けるイーリスを、桃花は『え?……え?』と、不思議そうに見比べている。

 結太はますます真っ赤になって、


「てっ、ててててめーっ、このっ、イーリスぅうううッ!! 勝手なこと言ってんじゃねーぞッ!?」


 握り締めた拳を震わせ、ギッと睨みつけるが、彼女はぷいっと横を向いて立ち上がると、


「別荘に戻って、ちょっと休んで来るわ。――国吉。しばらくアタシ抜きで撮影してて。どーせ、午後からメインで撮るのは、結太と桃花の二人なんでしょ?」


 それだけ言い置き、素早くビーチサンダルを履いて、足早に別荘方向へと歩いて行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ