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両片想いでラブコメで!~想い人一筋なのに、隣人の金髪碧眼美少女がやたらとちょっかいかけてくるんだが?~  作者: 金谷羽菜
第2章

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第9話 面片会メンバー、ヘリから降りて別荘に向かう

 結太達が島に着いたのは、あと少しで、太陽が真上に来る時刻だった。


 ヘリから降りたとたん、強い日射(ひざ)しが全身を()り付ける。

 今までアイマスクをしていたので、余計に(まぶ)しく感じられたのだろう。皆は思わず目を細めた。


 白い砂浜からの反射光も強烈で、じわじわと汗が(にじ)む。

 イーリスは、『ヤダっ、日射し強過ぎ! 日焼け止めは念入りに塗って来たけど、早く塗り直さなきゃ、あっという間に焼けちゃうわ!』と、一人で大騒ぎし始めた。


 寝起きだったため、結太は特に考えもせず、


「しょーがねーだろ、夏なんだから。日射しが()ぇーのは当たりめーだ。ちっとばかし焼けたところで、どーってことねーだろ? いちいち騒ぎ立てんなよ」


 などと口にしてしまい、ハッと我に返る。

 焦ってイーリスに視線を移すと、案の定、思いきり不満そうな顔で、結太を睨みつけていた。


「何よ、その言い方!? 結太は、アタシの真っ白でスベスベな肌が、日焼けでボロボロになってもいいってゆーワケ!?……あったま来た!! そーゆー無神経なことゆー人には――っ」


 イーリスは大きなバッグを結太の胸元に押し付け、


(ばつ)として、アタシ達の荷物を半分運んでもらうわ!!――ほらっ、桃花も咲耶も早くっ! この失礼な男に、重い方の荷物を渡しなさいっ!!」


 何故か、桃花と咲耶にまで、命令口調で告げる。

 自分の荷物だけならまだわかるが、桃花と咲耶の分まで結太に持たせようとするイーリスに、桃花はギョッとし、咲耶は、


「必要ない。私の荷物は、このバッグだけだからな。これくらい一人で持てる」


 即座にキッパリと断った。

 イーリスはつまらなそうに顔をしかめたが、すぐに気を取り直し、今度は桃花だけに向かい、


「じゃあ、桃花は? 両手に()げてるバッグ、すごく重そうじゃない。片方、結太に持ってもらいなさいよ」


 などと訊いて来て、桃花は慌てて首を振った。


「う――っ、ううんっ、ダイジョーブ! これ、見た目ほど重くないし。わたしも、自分で持てるからっ」


 二人続けて断られ、バツが悪くなったイーリスは、『あっ、そう』と言い放つと、再び結太をギロリと睨む。

 それから、肩に掛けていた大きなバッグを下ろし、素早く彼の首に掛けると、


「みんな自分で持つそうだから、アタシの荷物を全部預けてあげるわ!! 光栄に思いなさい!!」


 高飛車(たかびしゃ)に言い捨て、呆然とする結太を残し、別荘のある方へと、さっさと一人で歩き出した。 




 数分後。

 ヘリから残りの荷物を下ろし、駆けつけて来た東雲と共に、結太達が別荘に向かって歩いていると、


「あら。秋月くん」


 前を歩いていたイーリスが、急に立ち止まった。

 イーリスと自分の荷物を抱え、ヨロヨロした足取りで、うつむきがちに歩いていた結太は、おもむろに顔を上げる。

 すると、確かに龍生が、反対側から歩いて来るのが目に入った。


 彼の後ろには、もう一人の専属ボディガードである(かささぎ)と、イーリスのボディガードである国吉までもが控えている。

 龍生は彼らと目が合うと、片手を()げて合図した。


「ようこそ、秋月家の別荘へ。今日は天気も良くて、風も穏やかだったから、快適なフライトだったろう?」


 龍生がニコリと笑って訊ねると、咲耶はむうっと口をとがらせ、


「そーだな。アイマスクなんてものを付けなくて済んでいたなら、快適だったかもしれないな。()()()()()()()()()()()()()()()()、なっ!」


 ふいっと顔を(そむ)け、内心では不愉快(ふゆかい)だったことを、態度で示してみせる。

 龍生はフッと微笑み、咲耶の頭に手をやると、数回優しく撫でてから、


「そんなに怒らないでくれ。家訓のことや、アイマスクのことを言い忘れていたことは、悪かったと思っている。謝るから……ほら、機嫌直して」


 最後の台詞は、耳元に口を寄せ、咲耶だけに聞こえるようにささやいた。

 彼女はたちまち真っ赤になって、龍生の手を素早く払いのけると、


「こっ、このバカッ!! おまえはまた、人前でこーゆーことを――っ。人のいるところではするなって、何度言ったらわかるんだおまえはっ!?」


 胸の前で両拳(りょうこぶし)を握り締め、照れ隠しで(しか)り付ける。

 それでも龍生は、余裕の笑みを浮かべたまま、


「はいはい。わかったわかった。以後、人前では(つつし)むことにするよ。こういうことは、二人きりの時にたっぷりと……ね。それならいいんだろう?」


 からかうように、顔を(のぞ)き込みながら訊ねた。

 咲耶は更に真っ赤になって、『ば…っ、バカバカバカバカッ!! そーゆーことも人前で言うなぁああああッ!!』と(わめ)きつつ、龍生の体をポカポカと(たた)く。



(……ああ……。またこいつらは、しょーこりもなく……)



 島に着いて早々、恋人同士の〝イチャイチャ〟を見せつけられ、結太やその他の者達は、ガックリと肩を落とした。

 この二人の甘々(あまあま)ぶりを見せつけられるのは、慣れて来てはいるのだが、(ひと)り身には、やはり辛い。


「おいっ! いつまでもイチャついてねーで、早く別荘に連れてけよ!――暑いんだよ!! 焼けるとうるせーヤツもいんだから、そいつが騒ぎ出さねーうちに、とっとと案内しろって!!」


 一同を代表し、結太は〝バカップル〟に向かって声を上げた。

 『誰がイチャついてるって!?』と反論しようとする咲耶をなだめ、


「ああ、すまない。見せつけるつもりはなかったんだが……。二日振りに咲耶の顔を見たら、愛しいという想いが(あふ)れて来てしまってね。一瞬、周りが目に入らなくなってしまった。本当に申し訳ない」


 龍生は相変わらず、さらりと恥ずかしいことを言ってのける。

 それに対し、『だからもうっ! そーゆーこと言うなってっ! 言うなって言ってるのにぃいいっ!!』と、再び咲耶がポカポカやり出すと、龍生がハハハと笑いながら、彼女の頭を撫で……。


 そこはもう、エンドレス〝イチャイチャ劇場〟と化すのだった。



(だから……もーいーって……。おまえらが幸せだってーのは、ジューブンわかったから……。頼むから、もー……やめてくれ……)



 そんな結太の願いも空しく、このバカップルは、数分ほどイチャイチャし続けた。

 その(かたわ)らでは、二人の(すき)(うかが)うようにして、恋人同士の仲睦(なかむつ)まじい(?)姿を、スマホカメラで撮り続ける、鵲と東雲の姿があり……。



(よしっ! 坊のお幸せそうなお顔、無事GETしたぞ! 今度こそバレないように、お二人のラブラブ写真を、龍之助様にお送りしないと――!)

(龍之助様だけじゃねえ! 龍臣(たつおみ)様と京花(きょうか)様にも、赤城さん介して『写真送れ』って命じられてんだ! ぜってー失敗出来ねーぞ!)



 従者二人は、大胆且(だいたんか)つ用心深く、完全に〝二人の世界〟に没入(ぼつにゅう)している龍生と咲耶の様子を、確実に写真に(おさ)めて行った。



 実はこの二人、かなり前から、二人のラブラブ写真を撮るべく、機会が訪れるたびに、盗撮を(こころ)みていたのだ。

 しかし、残念ながら、毎回龍生に発見され、その場で(そく)、写真を消去させられていた。


 それでも彼らは、決して(くじ)けない。


 彼らは龍之助からだけでなく、赤城からも、『龍臣様と京花様も、お二人のお写真をご所望(しょもう)です』と、再三(さいさん)にわたって催促(さいそく)されていた。そう簡単に、諦めるわけには行かないのだ。



 ここで一応説明しておくと、龍臣は龍生の父親で、京花は母親だ。

 二人共に、今は海外に住んでおり、息子に会える機会は、年に数回あるかないかだった。


 だからこそ、だろう。毎日家で会える龍之助以上に、写真を望む気持ちが強い。

 赤城も、事あるごとに〝写真入手〟をしつこく命じられ、ウンザリしている様子だった。



(そう! これはあくまで、なかなか愛息子(まなむすこ)にお会い出来ない、龍臣様と京花様の御為(おんため)!)

(決して、俺らの〝坊ちゃんのレア顔コレクション〟のためじゃねーんだ!)



 鵲も東雲も、そう己に言い聞かせ、主とその恋人に気付かれぬよう、こっそりスマホを向け続けた。

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