表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
両片想いでラブコメで!~想い人一筋なのに、隣人の金髪碧眼美少女がやたらとちょっかいかけてくるんだが?~  作者: 咲来青
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/156

第3話 面片会美少女トリオによる水着売り場攻防戦・2

 自分の選んだ水着を〝恥知らず〟などと決めつけられ、イーリスも頭に来たようだ。咲耶と同じく顔を赤くしながら、早口でまくし立てる。


「はああっ!? 何言ってるのよこんなの普通でしょ!?――こっちの水着は〝三角ビキニ〟。〝トライアングル・ビキニ〟とも呼ばれてるわ。〝ビキニ〟って言ったら、このタイプを思い浮かべる人が、一番多いんじゃないかしら? こっちの水着は――っ、……まあ、確かに、三角ビキニより布地の面積が少ない、〝マイクロ・ビキニ〟と呼ばれるものに近いかもしれないけど。だから、そこら辺のプールや海に、これを着て行けって言われたら、恥ずかしがる気持ちもわからなくはないわ。でも、アタシ達が行くのは、秋月家所有の無人島なんでしょ? 水着姿を見せるのは、恋人である秋月くんだけ――っと、違うか。結太と、数人のお付きの人もいるんだったわね。でも、そのたった数人でしょ? 数人程度の視線なんて、無視すればいいのよ! せっかく、彼氏と海で遊ぶんだもの。これくらい大胆な水着を選んであげなきゃ! 秋月くんだって、咲耶がどんな水着を選ぶのか、楽しみにしてるに違いないんだから! いつもより、ちょっぴりセクシーなものを選んであげるのが、思いやりってものよ! 彼女としての(つと)めよ! 彼氏に対するサービスよ、サービス!」


「……お……思いやり?……務め?……サー……ビス……?」


 イーリスの、やたら長くて熱のこもった主張に、咲耶は一瞬鼻白(はなじろ)んだ。

 しかし、ハッとした後、長い髪が大きく跳ね上がるくらい、思いきり頭を振ると、


「なっ、何が『サービス』だッ!! 秋月は、そんなもの求めたりしないッ!! 私が露出の少ない水着で現れたとしたって、絶対に文句なんか言わないッ!! 言うわけないッ!! あいつは、そんな軽薄な男じゃないんだッ!! ここまで(きわ)どく肌の露出をしなきゃ満足しないような、そこら辺にいる男どもと一緒にするなぁああッ!!」


 店中に響き渡るほどの大声で、咲耶はイーリスに言い返す。

 初めのうちは、ポカンとしていたイーリスだったが、ふいに、ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべ、


「ふぅ~~~ん。……あっ、そう。そこまで言うんだったら、いーわよ? アタシの言ってることが正しいのか、咲耶の言ってることが正しいのか、勝負しましょう?」


 また何を思ったか、唐突に提案して来た。


「え――っ?……『勝負』?」


 不思議そうに目を(しばたた)かせる咲耶に、イーリスはこっくりとうなずいてみせる。


「そう、勝負よ!――別荘には、咲耶が好きだって言ってた、学校指定の水着を持って行けばいいわ。それを着た咲耶を見て、秋月くんが、少しもガッカリした表情を見せなかったら、咲耶の勝ち。見るからにガッカリした表情をしてみせたら、アタシの勝ち。……どう? この勝負、受けて立つ気はある?」


 不敵(ふてき)に笑うイーリスに、咲耶の目は(かす)かに揺らいだが、それも一瞬のことだった。

 咲耶は、(いど)むようにイーリスを見つめて言い切った。


「当たり前だ!! 受けて立ってやろうじゃないかッ!!」

「フフッ。それじゃあ――島での勝負、楽しみにしてるわ」


 イーリスは満足げにうなずくと、もう用はないと言うように咲耶に背を向け、今度は桃花に向き直った。


「――ってことで、咲耶の水着を選ぶ必要はなくなったから、次は、桃花の水着を選んであげるわね。桃花は、どんな水着が好き?」


 小首をかしげながら訊ねるイーリスに、桃花は驚いたように『えっ?』と声を上げ、目を見張った。

 それから、慌てて周囲をキョロキョロと見回すと、ある方向で目を留め、トテトテと近付いて行く。


「え……っと……。あっ、これ! こんな感じのが好きです」


 ハンガーラックから一着の水着を抜き出し、イーリスの方へかざしてみせる。

 彼女は素早く寄って来て、桃花から水着を受け取ると、納得したようにうなずいた。


「なるほどね。可愛らしい、ワンピースタイプの水着。桃花のイメージにピッタリね。でも……これじゃ、ちょっと幼過ぎるんじゃないかしら? ただでさえ、桃花は若く見られがちなんだから、もう少し頑張って、ウエストくらいは、肌見せした方がいいんじゃない?」


「ええっ?……は、肌見せって……。ウエストってことは、つまり……ビキニ、ってことですか?」


 たちまち顔を赤らめて、桃花は眉を八の字にし、うつむいてしまう。

 すかさず咲耶が寄って来て、桃花を背に(かば)うようにして立ち(ふさ)がると、


「やめろイーリスッ!! 私だけならまだともかく、桃花にまで、破廉恥な水着を着せようとしてるんじゃないだろうな!? だとしたら絶対に許さんぞッ!?」


 敵意丸出しで噛み付くが、イーリスは呆れたように目を細める。


「違うわよ。桃花に似合うタイプのビキニは、咲耶のために選んだビキニとは、全く違ったタイプ。――ほら。ここにある〝フレア・ビキニ〟とか、こっちの〝フリンジ・ビキニ〟とかよ。特にフレア・ビキニは、胸元やボトムに、ボリュームのあるフリルが付いていることで、細身寸胴(ほそみずんどう)タイプの人でも、ウエストがくびれているように錯覚(さっかく)させることが出来るの。ツルペタ幼児体型の桃花には、持って来いのデザインでしょう?」


「……『細身寸胴』……。『ツルペタ』……『幼児体型』……」


 躊躇(ちゅうちょ)なく発せられた、イーリスの容赦(ようしゃ)ない言葉にショックを受けつつも、桃花は消え入りそうな声で()り返す。

 その後、(たましい)が抜けてしまったかのように、真っ白な顔で固まってしまった桃花に、咲耶は焦り、イーリスを思いきり睨みつけた。


「貴…っ様ぁああッ!! よくも、桃花が普段から気にしていることを――っ!!」

「――え?……あら、ごめんなさい。桃花の体型をカバーして、美しく見せる水着を……って思ったら、つい――」


「何が『つい』だッ!! 確かに桃花は、小柄で華奢(きゃしゃ)で、たまに小学生に間違えられたりすることもなくはないが、胸は〝ツルペタ〟じゃない!! これでもカップは、ややB寄りのAだッ!! 〝ツルペタ〟でも〝まな板〟でもないッ!! 寄せて寄せて上げれば、谷間だって出来るんだぞッ!? 決して、決して――っ、小学校低学年並みの幼児体型ではないんだッ!!――わかったか!? わかったなら、訂正(ていせい)して謝罪しろぉおおおッ!!」


 店中に、桃花をフォローしているつもりで、かえって追い打ちをかけてしまっている、咲耶の怒りの声が響き渡る。


 桃花は無性に泣きたくなったが、咲耶の気持ちは、一応理解しているつもりなので、何も言うことは出来なかった。


 ただ、あちこちから聞こえて来る、クスクスと笑う声や、何を言っているかまではわからない、ヒソヒソ声に傷付き、視線を()けるかのように、両腕でそっと胸元を(おお)った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ