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両片想いでラブコメで!~想い人一筋なのに、隣人の金髪碧眼美少女がやたらとちょっかいかけてくるんだが?~  作者: 金谷羽菜
第6章

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第3話 国吉、〝結太と桃花の水パシャ〟撮影に成功する

 イーリスに引っ張られ、海に入った結太と桃花は、最初のうちは互いに意識してしまい、顔を明後日の方に向け、手元でパシャパシャやる程度だったのだが。

 東雲と鵲も加わった水のかけあいになったとたん、様子は一変した。


 まずは東雲が、『こーなりゃヤケだ!』と誰彼構わず、勢い良く水をかけ始め、他の者達も『お返しだ』とばかりに応戦し……。

 気が付くと、〝水かけ祭り〟のようになってしまっていた。


 皆、〝自分以外は敵〟と定め、標的は一人に絞らない。

 そのため、国吉も動き回って撮る位置を変え、結太と桃花だけを写真に納めることに成功したようだ。



 数分ほど水のかけあいをしていた面々は、すっかり疲れて果て、荒い呼吸を繰り返していたが、


「皆さん、ありがとうございました。お陰で、良い写真が撮れましたよ。――それでは、次は〝男性が女性をお姫様抱っこしているところ〟ってのを、撮るとしましょうか」


 国吉のセリフが耳に入ると、皆は『えッ!?』と驚き、一斉に彼を振り返った。


「お、おっ……お姫様抱っこって、誰が――誰をっ!?」


 緊張と興奮のあまり、結太の声が裏返っている。

 国吉はメモをチラ見してから、


「それが、〝男性が女性を〟としか、書かれてないんですよね。誰でもいいってことだと思うんですが……どうします?」


 苦笑しながら訊ねられ、『どっ、どーしますって言われても――っ』と、結太は真っ赤になって絶句した。

 東雲は、腕を組みつつ首をかしげ、


「女性は伊吹様と藤島様、どちらかで決まりだけどよ。男は誰が、ってことになるよな?……結太、おまえどーだ? 伊吹様か藤島様を、お姫様抱っこ出来るか?」

「――えッ!?」


 心の準備が出来ていないと、結太はうろたえた。

 お姫様抱っこをしたことなど、当然、今までに一度もないが、出来るか出来ないかということなら――。


「出来る、とは思うけど……」


 赤面したまま答えると、東雲は『ふぅ~ん』と言いつつ、ニヤニヤと結太を見つめる。


「なっ、なんだよトラさん? 俺には出来ねーと思ってんのか?」


 ムッとして、軽く東雲を睨むが、彼はフッと笑って首を振った。


「いや。出来ねーとは思ってねーよ。ただ……違う意味での心配を、ちょっとな」

「はあ? なんだよそれ?」



(『違う意味での心配』……? 違う意味って……)



 しばし考え込み、あることに思い至ると、結太はハッと顔を上げ、東雲に目をやった。

 彼は『ようやく気付いたか』とでも言いたげな顔つきで結太を見返し、再びニヤニヤし始める。



(うぅ……。確かに、伊吹さんをお姫様抱っこするなんて、感情的にはハードル高過ぎるよな……。出来ることは出来ると思うけど、その後が問題だ……。しかも伊吹さん、水着姿だし……。このためだけに、わざわざ着替えてもらうってのも悪いし……)



 よくよく考え、やはり自分には無理だという結論に達しはしたが。

 そうすると、自分以外の男が、桃花をお姫様抱っこするということになってしまう。



(――ダメだ!! それだけはぜってー許せねーし、許さねーっ!! 許せるかってんだチックショオオオオオッ!!)



 心で絶叫し、思わず両拳を握る。


 しかし、桃花にはさせられないとなると、残るはイーリスしかいない。

 龍生と咲耶がいてくれたら、龍生に頼んで咲耶をお姫様抱っこしてもらうだけで済んだ(咲耶は恥ずかしがって『嫌だ!!』と言い張っていただろうが)はずだが、今は無理だし……。



 そうすると、やはりイーリスに頼むしかないのだが、彼女はOKしてくれるだろうか?


 東雲と鵲ならば、軽々と彼女を抱え上げられるに違いない。

 だが、海パン姿の男に、水着姿で抱きかかえられるというのは、恋人同士や、相手に好意でも抱いていない限り、かなり抵抗があるのでは……?



(あっ、そーか! こーするのが一番なんじゃね!?)



 結太はあることに気が付き、国吉に視線を移した。


「国吉さん! 撮影はオレか、トラさんかサギさんが担当すっから、国吉さんがイーリスをお姫様抱っこしてやってくれよ! それが一番いーと思うんだ!」


「えっ!?……ちょっ、ちょっと! いきなり何言い出すのよ結太っ!?」


 イーリスはたちまち真っ赤になり、困惑顔で結太を見つめる。

 結太はニカッと笑って、


「だってさ、イーリスも伊吹さんも、水着姿のまま、下に海パン穿()いただけの男に抱きかかえられるなんて、ぜってー嫌だろ? 今から着替えるってのも、時間掛かるしさ。その点、国吉さんは下は海パンだけだけど、上着羽織(はお)ってるから、(じか)に肌が触れるってことはねーしさ。長年一緒にいるボディガードでもあるワケだし。オレらに抱きかかえられるよりは、まだ抵抗ねーだろ?」


 『名案じゃん?』とでも言うように、一人でうんうんとうなずいている。

 これには東雲も鵲も、そして桃花も、一切異論はないようで、


「そーか! それもそーだな! 何も、国吉さんがカメラマンに徹しなきゃいけねーってことはねーんだ!……うん。俺もそれでいーと思うぜ。撮る方もやってみたかったし」


「うん、俺も賛成! 二人さえよければ、こんなにピッタリな人選はないよ! 美男美女だから絵になるし!」


「はい! わたしも大賛成ですっ!」


 次々に賛同の意を示し、結太同様うんうんとうなずく。

 イーリスは真っ赤になったまま、


「ちょ、ちょっと……。な……何を、勝手に……」


 彼女にしては珍しく、モゴモゴと消え入りそうな声で反論していたが。

 チラリと国吉を窺い、目が合ったとたん、


「ここまで言われちゃあ、やるしかないですかね?……お嬢はいかがです?」


 微笑を浮かべながら訊ねられ、これでもかというくらい、顔も首筋も赤く染め上げると。


「し……仕方ないわね。そこまで、みんなが言うなら……」


 やはり、彼女らしくない弱々しい口調で、国吉にお姫様抱っこされることを受け入れた。

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