王立学院魔術科
ケント師匠との異世界活動は、それがなかったらどんなふうになるのかわかってしまっただけに、毎日がんばった。
数カ月だったけど、成長した感じがした。
「わあ、今日で終わり?困ったなあ、またいつでも来てよ」
それでも、魔術科で勉強したかった、あこがれがあった。
「白の塔は魔術科から近いですから、勉強が落ち着いたらまた来ます」
でも、もう来れないかな、N国の王立学院で勉強するなんて大変だろう。
「そう?待ってるよ」
ちょっとケント師匠がかわいそうになった。
そして、高価な制服を着て、入学式に参加して、いよいよ王立学院魔術科の授業が始まった。
このクラスは、大国①の王族や白の塔の研修生までいる特別クラスだった、白の塔の研修生ってわたし以外いないけど。
全員すごい魔法使いらしい、魔法学校とメンバーがほとんど同じでいいのか?
担当のカーク先生は、ケント師匠も教えていた。
「ああ、ケントの研修生ね、変なことしないように気をつけてね」
はい、わたしが変なことすると思っているのかな。
「それじゃあ、ナディーヤは手伝って、火の玉と水の玉をつくります」
え?バケツを持たされた、水を汲んでくる係のようだ。
「火の玉を出して」
バケツを運んでいる時に声がきこえた、わたしは?
「出来た人は消してから水の玉を出して」
まだ運んでますよ。
「それじゃあ、ナディーヤ、見本をみせてやって」
バケツを運び終わると、わたしの順番になった。
「はい」
ブワッと大きめの火の玉が出た、これでいいのかな?
「すばらしい、こんなふうに出せるようにして、出来ない人はもう一度やってみて」
火の玉がうまく出せない人を手伝っていると、水の玉を出す順番がきて、ぱっと出して、片付けて、授業が終わった。
「先生、これだけですか!」
「そうだけど、嫌なら白の塔に戻りなさい、なんで来たの?」
ええ?カーク先生、なんで来たかなんて……なんでだかわからなくなってきた。
「ここは白の塔に入るための勉強をするところだ、ナディーヤはなんで来たかったの?」
あこがれがあって、ルパニアにはなかったし、魔術の勉強をするならここが一番良かったから?
「用事が済んだら白の塔に戻りなさい」
「はい」
用事って、なんだっけ、カーク先生は戻ってほしいみたい。
「ユーリはなんでここに通うようにしたのか」
「ケント師匠との研修だけじゃなくて、ちゃんと学んだ方がいいって」
「元々闇魔法は使えるし、他の魔法も問題ない、ユーリはケントが師匠だから心配したんだろう」
そんな理由で?
「ナディーヤはそれでよかったの?もう白の塔の研修生になっているのに来たくなかったでしょう、かわいそうに」
白の塔の研修生って、魔術科に来たくない感じなの?歓迎されてない気がするけど。
「でも、せっかくなのでもう少しがんばります」
「ええ!何するの?」
そんなに嫌そうにしなくても。




