異世界の未来
「火山が噴火して、逃げ回ったっていうんだ?」
「そうですね、がんばって復興しているところで」
「ああ、それじゃだめなんだ、ひどい状況を回避することが目的だから」
「まだ未来は変えられるんですか?」
「もちろん、そのための光魔法だ」
ケント師匠は災難の回避をしているらしい。
「ぎりぎりのところで最悪を回避できなきゃ意味がない」
「すごい」
「そうだろう、やっとわかったか」
ほんとうにすごいのは、起こる予定の災難を、一番被害が出ないように終わらせることなんだって。
「誰も犠牲にならない、怪我をしないために、ほんの少し位置をずらすとか、風向きを変えるとか、見つけてほしい物質や考えをわかりやすいところに出すとか」
全然小さなことじゃない、すごいことを魔法でやっている。
「直接手を出さないだけで、異世界の小さな物を使ってできることならなんでもやりたい、風や土や光、水や火も、見えないように小さく動かして、一番安全な形を作るんだ」
「魔法の力ってすごいんですね」
「だからこれからも一緒にやろう」
あれ、ここで返事をしたら学院に行けないの?
「感動していたのに、なんで返事がないの?」
でも、一度学院で勉強したいです。
N国の魔術科で勉強できるなんて外国からみたら夢のようですよ、簡単に卒業したからわからないのかな。
その日の夜もシャラナは来なくて、ケント師匠の夢をみた。
ケント師匠はもっと大人で、ユーリ宰相補佐くらいの年齢になっていた。
(いつもありがとう、ケント、もうこの星は安全になった、無理しないで)
(無理はしていないから大丈夫だ、光魔法をわかってくれてありがとう、こんなに遠いのに受けとってくれる人がいるなんて、信じられないよ)
(この世界はよほど荒れていて、いろいろな世界から心配されているらしい、多くの光が届いている、君だけじゃないんだ)
(他にも誰かが光を送っているの?すごいな)
わあ、そんなことがあるなんて。
(会いたいね、何年もお世話になったのに、時間も空間も超えて光が届くのに、お互いのいる場所は決して交わらないだろうね)
(そうだな、そういうふうにできているようだ……)
ケント師匠が誰かの名前をいうところで、何もきこえなくなった。
わたしにはここまでしかきかせられないみたい、でも、異世界活動はその世界の人に受け入れられるようだ。
重なったさまざまな世界から汚染された世界に光が届くような、目にはみえない映像が浮かんだ。
「きれい、この光の先にはケント師匠みたいに期待されてきた人がいて、今日も光を送っているのかな」
汚染されたその星には、どこからともなく発生する光があふれていて、暗い色を明るく変化させている。
会うこともできないほど遠くに住む、優しい人たちに守られている。




