異世界の彼女
「お、お前は誰だ!いや、見えないぞ、いないいない、ははは、何もない」
「ああ、やっと安定してきた、いますよ」
「わあああ、やっぱりいるのかあ、認めない」
「いや、いますって、これをいつまで続けるんですか」
お互い夢の中にいるみたいだから、交信できることを説明して少し落ち着いてもらって、異世界の汚染の状況をきいてみた。
「相変わらず水も空気も汚染されているけど、どこの家にも浄水器や空気清浄機があるから、外に出なければ大丈夫かな、外に出ると病気になりやすいから気をつけている」
「大変ですね、ジョディさん」
彼女はジョディさんという学生だった、十五歳くらいかな、大柄で大人っぽい。
「少しずつ研究が進んでいて、汚染物質が付かない服とか、空気清浄装置がついた帽子とか買う人もいるし、どんな環境でも育つ野菜や果物とか、汚染を浄化する植物ができるみたい、まだできてないけど」
ケント師匠、もう少し頑張らないと、ってことかな。
「以前より良くしようと考える人が多くなったかな、避難するしかないくらい多くの山が噴火して、どこにも逃げられない状況からやっと生活できるようになって、回復してきているよ」
「汚染は火山の噴火の影響が大きいんですね」
「元々公害はあったけど、ほとんどの火山が噴火した影響は大きいかな」
「火山の噴火の話はきいていましたけど、そんなにひどいものだなんて」
「直接の被害もあったし、ありえない光景で心理的にこの世の終わりを感じた人が多いよ、生きのびるには、個人の財産が多くてもだめだってわかったからかな、みんなで新しい情報を集めて、慎重に助け合って行動するしかなかったから」
「そんなに大変な思いをして」
「時代が変わったんだ、みんなで生きのびる手段を考える時代なんだよ、どんなに小さな事でも情報を共有して、進歩していくしかないんだ」
少し回復したっていうけど、ひどい世界なんだね、でもかわいそうと声をかけるのはちょっと違う気がした。彼女は年齢より大人で、生きるためにがんばっていて、みえない生きる力が身体からあふれている。
「また来ます、わたしはナディーヤという魔法使いです」
「魔法使いだからガラスに映っているの?ちょっと怖いんだけど」
「じゃあなるべく来ないようにします、さようなら」
わあ、なんてことに、それは怖すぎるでしょう、話ができるなんてすごい、わたしならできないな。
ジョディさんはこくこくとうなずいて、手を振ってくれた。




