一緒に踊る
「野菜の妖精と一緒に踊るって?悪くないかもしれないぞ、わたしが踊ると何が起こるかわからないから、ナディーヤが野菜の気持ちになって踊ってごらん」
踊るって?
「星の回転に合わせて舞うんだ、地の力を使って逆らわないで回転する」
回転する?
「ここは回転している、その風の音をきいて、地が回転する力から起こる風だ、よくきいて」
風の音?
「耳をすませて、地の音、その回転から起こる風の音、地上でうごめくものの音を消して、本当の回転の音」
「わからないよ」
「わかるさ、ナディーヤはずっと回転の中で生きてきたじゃないか、目を閉じて、立ち上がって、足を使って、手で感じて、回ってごらん」
立ち上がって、足を動かして、手を伸ばして、ゆっくり回転してみると、小さな風が起こった、それをそのまま受け流して、大きな回転に合わせて舞ってみる。
「そうだ、回転を合わせて、地の力と風の力をナディーヤがここで再現して舞うんだ」
自分でもわからないような力が、ふわっと浮き上がる。
「それでいい、今度野菜の妖精と踊ってごらん、喜んで一緒に踊るはずだ」
シャラナがそう言うし、なんだか特別な力が自分の回転から出てきた気がした。
「本当に力が出たの?」
「出ましたよ、多分」
翌日、ケント師匠の前で舞ってみたんだけど、回転するだけで何も起こらない。
「変ですね」
「何か呪文が足りないの?」
「なんだろう、星の力をですね、回転で感じるはずなんですよ」
「何を言っているんだ?」
「感じませんか、星の回転を」
「そんなの感じてる人がいると思うの?」
あれー?なんでかな。あると感じたものが、無くて当たり前になっている。
「でも、野菜の妖精と一緒に踊れるはずなんですよ」
それでまた、転移して、林を抜けて、薬草の花畑にいる野菜の妖精に会いに来た。
(ケントー!)
無視されたけど、ゆっくり回り始める。
(遊んでー)
「やだよ、うるさいから」
かなり回って、目が回る。
(あああ、遊んでー!)
「おい、どうなってるんだ?」
「目が回って……」
ふらふらしながらゆっくり回ると、変な手の動きと、楕円の回転になって。
(わー、これなあに、なあに?)
妖精が来てくれた。
「わああ」
でも、足がもつれて止まると、すぐに飛び去った。
(ケントー!)
「一瞬、何かが起こったぞ、それのことか?もう一度やってみてくれ」
「今ですか?」
こんなに目が回ったら、続けてはできない。
「たったこれだけで、もうやめるのか?」
そうですね。




