野菜の妖精
ケント師匠にできないと言われてしまって、シャラナに相談している。
「そんなことをした事がないからわからないが、ユーリがよくないというのならそうなんだろう」
その世界にも管理者がいて救世主もいるはずだから、干渉してはいけない、計画があるかもしれないだろう、とユーリ宰相補佐に止められたそうだ。
「それでもケントは一番いい方法を探していて、いろいろ試しているようだ」
そうなんだ。
「しかし、その、野菜の妖精とはなんだ、関係あるのか?」
「なんだろう?」
翌日、ケント師匠に野菜の妖精についてきくと、
「自分でみたからわかるだろう、野菜から生まれた、ふわふわしている、あれ」
なんだそれ?
「いつもわらわらと集まっては、舞ったり、しゃべったりしている、小さい、花が好きな、あれだ」
なんですか。
「人の世界にはいない、見えない、でもいるものだ、野菜の命をはぐくむ?」
疑問文?
「そんな感じ」
そんな感じだあ。
「会えばわかる」
そう言ってケント師匠がわたしを連れて転移して来た所は、街外れの湖へ向かう途中の、小高い丘の斜面だった。
たぶんそう、でも草むらの中ではっきりしない。
しばらく歩いて、林の中を抜けると、日当たりのいい斜面にある薬草の花畑に出た。
(ケントー!何してるんだあ)
「ほら、あれだ」
花開いた薬草の上を、蝶のようにふわふわ舞っている。
「わあ、こんなところにいるんですね」
「ここにもいるんだ」
(ケントー!)
「なんだろうな、植物の育つ力になるもの、植物の濃い緑の群れから生まれた、小さな何か」
「すごくきれいですよね、はかなくて、柔らかい、大切な何か」
(ケントおお!)
「でもうるさい、わかったって、今日は遊びに来たんじゃない」
うるさい幼児のような、かわいいもの。
「それ以上のなんでもないだろう、インタビューしてみる?」
「遊んでやれ、って事ですか?」
(ケントー、遊んでやれよー)
「帰るか」
「はい」
(あああああ)
うるさくなってきたから、すぐに転移して白の塔に戻った。
「あれをどうやって、役に立てたらいいんだ?」
さあ。
「一緒に踊ってみたらわかりますかね?」
「一緒に踊る?それがシャラナ式なの?」
ちがいますよ。




