異世界の回転
ユキさんが異世界から来たとしたら、ケント師匠はどうなるの?
時間の話はどう考えたらいいんだろう。
ケント師匠は回転している別の世界から、歩いて回転の違う世界に入ってきた。
どちらも時間は星のように違う速度でくるくる回っていたから、早い回転の縄跳びをしていたけど遅い回転の縄跳びを始めたみたいに、時間の流れが違う世界に来たらゆっくりするのかしら?
「ケントはこの世界で生まれた私の息子だけど、前の世界の弟の生まれ変わりらしいの、前の世界はこの世界より未来らしくて、地上は火山の噴火や公害で汚れて住みにくくなっていたわ、二人はとてもよく似ているの」
それはずいぶん困ったことになっていたんですね。
「でも、まだそれは起こっていないのよ」
ああそうか、ケント師匠の前世だけどここより回転が早い世界だから、回転が遅いこの世界はその世界の過去になるのかな、変な感じ。
「だからこの世界から前の世界をどうやって助けたらいいのか、ケントはずっと考えているみたい」
「ケント師匠は前の世界の救世主みたいですね」
「ケントはこの世界の人間なんだから、本物の救世主は滅亡する前に現れるように調整されているはずよ、うまくいっていれば」
「そんなに大変なことになってから来るんですか?すぐに救われないやり方なんですね」
「ケントはもっと早くに魔術で何かをするみたいなの、救世主もいるはずなんだけど、自分が公害を起こしたと思って責任を感じているのよ、本当の理由もやり方も予定もあるはずなのにね」
「まるでその世界のためにケント師匠がここに来たみたい、なんでそんなに親切なんだろう」
「同じ回転をする仲間だから?それぞれの回転も時間も違うのに落ちて来る人が多くいるなんて、この魔術がある世界は親切かもしれないわね、みたことも会ったこともない世界の人たちを守ろうとしているみたい」
「前の世界は早い回転で、別の世界の先頭を走ってくれているのかもしれませんね」
「この回転でこのままこの道をいくとこうなる、ってことを教えているのかしら、回転しながら行ったことのない未知の空間を今一緒に走っているんでしょうね」
ユキさんがそう思ったのなら、そうかもしれないですね。
親切なこの世界の親切なケント師匠は、ユキさんからきいてきた話を報告すると、困ったような顔をした。
「で、どうしたらいいと思う?」
「前の世界を救うんでしょう」
「そんなこと、普通できないよね?」
えーそうなんですか?




