星の気持ちとナナの意見
「星の気持ちが知りたい」
いつものように給食を食べながらナナにきくと、一瞬ぽかんとしたものの、すぐに反応してくれた。
「また悪い魔物にだまされたの?」
ちがうって、ケント師匠の思いからみえた世界と、シャラナが言ったことを説明してみた。
「なんでそんな変なことになっているのよ、おもしろすぎるわ」
変な話をいつも探しているからだけど、すぐに理解できるなんてナナはすごい。
「ケント師匠は別の世界からなんのために来たのかな、この世界を救うとか?あんなにやる気のない救世主がいたらおもしろいけど」
ナナ、おもしろさで世界ができているなんて思っていないよね?
「ものすごくやりたくない人が救世主だったら、星の気持ちは、困ったな、だね」
そうかもね。
「魚に時を止められたり、大魔術師を普通の女の子にされたら怒るかな?」
「あんまり関係ないからどうでもいいんじゃない?」
どうでもいいなんて、それにしてはこの世界はうまくつくられていて、きれいに循環している。
「もし自分が星なら、表面の世界が暗黒の世界になるのは嫌だなあ、楽園であってほしいと思わない?」
「そうだね、星の気持ちは生きている者が不幸になればいいとは思っていないね、親切な気がする」
親切な星の気持ちはわかるかも、とてもうまくできているから。
白の塔で、最近わたしを避けたがっているようなケント師匠をつかまえた。
「ケント師匠は星の気持ちがわかるんですか?時間の流れってなんだかわかりますか?」
「はあああ、面倒なことが知りたいお年頃なの?」
「はい、だってシャラナが」
「わかった、俺より時間にくわしいはずの人を紹介するよ、ミサトかうちの母さんだけど、どっちがいい?」
ミサトが?ミサトはいつも会えるから。
「じゃあ、ケント師匠のお母さんに会いたいです」
「よし、わかった、全部母さんにきいてくれ」
「星の気持ちもきいていいんですか?」
「まかせろ、得意分野だ」
まかせろって、ケント師匠の得意分野じゃないのに急に元気になるのはなぜ?
「農作業できる服で来てね」
なんで?
明日はケント師匠の家で魔法の授業を受けることになった。
それで家に帰ってからミサトにきいてみた。
「ユキさんに会うなら農作業するからでしょう」
なんでそうなるの?しかもミサトは時間のことなんかわからないって言う。




