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異世界から来た魔術師  作者: ちゃい
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ケント師匠の秘密

 時を止めた友達の魚のことを考えていると、ケント師匠も同じことを考えていたようで、


 「魚も時を止めることができるんだなあ」


 なんていう、魚も?

 ケント師匠にもできるってことかな、なんて思っていると、さえぎる魔法を使っているのに強い思いが映像になってみえて、後ろに転がってしまった、なんだこれ?


 宇宙の中、でもどこだかわからない、くるくる回る星のかたまりが何重にも重なって回っている、いくつもの世界の一番端にある安定しない回り方をしているところから、誰かが橋を渡るように簡単にこちらへ歩いてくる。


 顔をみるとケント師匠で困っていた、ここにいる本人の顔と重なる。


 「何をしているんだ?」


 こっちがききたい、何ですかあれ、別の世界から来ましたか?なんてきいたらおかしいかな。

 同じ顔は重なって背景の宇宙も現実だと思える、今まで現実とははっきり違ってみえたのに、これはおかしい。


 「どこかぶつけて痛いなら今日は帰っていいぞ」

 はい、ずっと顔をみているけど、この顔だ、本人に間違いない。


 「別の世界が」


 「みえたのか、ああ、また面倒な」

 面倒な、っていうとそのまま立ち去った、逃げたのかな?それなら事実みたいだよ。


 最近毎日新しいことがあって、夜に話をしてくれるシャラナがありがたい。


 「シャラナ、ケント師匠は別の世界から来たの?」


 (ほほう、おもしろいことを言う、ケントがどこから来たかって?)

 今日ケント師匠の思いからみえた、重なって回る世界のことやそこから渡ってきたケント師匠のことを説明する。


 (なんだって?ケントは人ではないのか?)


 「なんだろう、でも本人だった」


 (ユーリもおかしなことを言っていたし、あれはケントのことだったのか)


 「魚も時を止めることができるって言ってた」


 (魚もね……時を止める術はあるが、そもそも人間と同じ時間なんてないと思うとわかりやすい)


 「難しいよ」


 (人間が勝手に作ったんだ、回転の違う流れがいくつもある、本当の時間なんていう規則正しいものはない)


 「そう、難しいね」


 (ナディーヤは頑固だ)


 「なんでー、わからないだけだよ」


 (本当のことを全部難しいことにしてしまって考えない、海で生活しなくなったせいかな)


 「海にいたらわかるの?」


 (わかるね、変な魚には)


 「魚の気持ちになって考えればいいの?」


 (どうだろう、この星の気持ちかな)

 どんな気持ち?







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