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異世界から来た魔術師  作者: ちゃい
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ナディーヤの旅

ここからは、ナディーヤの話になります。

 「ナディーヤ!私たちN国の魔法学校へ行くことになったのよ」

と神官長の娘で友達のナナが教えてくれるまでは、郊外の母さんの屋敷でのんびり暮らしていた。


 一応ルパニアの隠された姫ということになっているけど、隠されすぎて普通の学生として生活していて、自分でも姫ってなんだかよくわからない、13年も生きているけどそれで困ったこともなかった。


 急に魔法大国のN国へ行くことになるまでは。


 「気をつけてねー」

 のんきな母さんとおじいちゃんに送り出された。

 なんの説明もない、うちの母さんにきいてもわからないだろう、いつもこんな感じでわからないこともなんだか大丈夫ならそれでいいことになっている。


 ナナと二人でネーデリア行きの船に乗ったときはすごく不安だったけど、親切なネーデリアのおじいさんに案内してもらって、どうにか転移魔法陣に乗ったらあっという間にN国に着いた。


 「魔法ってすごい!」

 興奮してN国の転移魔法陣施設の前でうろうろしていたら、城の門番のお兄さんがアレクシスさんの家を教えてくれて、ナナと二人だけでアレクシスさんの家まで来ることができた。


 「意外とやればできる子なのよ、きっと」

 そうかもね、短く切りそろえた黒い髪と賢そうな顔をしたナナをみていると、一緒にいたらなんでもできる気がする。


 親切なミサトと、会ったことなかったけどかわいい弟のデルネヘルがいて、わたしとナナの家の塔が用意されていた。


 「なにこのお化け屋敷?」

 ナナがそういうだけあって、真っ暗な塔の中はガランとしていてものすごく怖い、見たことない飾りがついた家具も、よくわからない人たちが描かれた絵も。


 二人でぎゃあぎゃあ騒いでいたら、ミサトがデルネヘルの部屋をあけてくれて、白くてかわいい家の方に住んでいいことになった、よかった。


 「それでナナはN国に来たかったの?」


 「そうなんです、N国にしかない本がたくさん売ってるじゃないですか!ルパニアにはそんなに本がないんです、変な呪術の本ばっかりでうんざりなんです」


 しばらくしたら落ち着いて、お茶を飲みながらミサトとルパニアの話をしている。

 やっと出会えたわたしとデルネヘルは、ぴったりくっついてナナとミサトをみている。


 「私とナディーヤはいつもN国の本を少しだけ買ってもらって読んでいたんです、でも!これからは好きなだけ読めるんですよ、そのためにここまで来たんです」


 ナナ、わたしのためじゃなかったの?


 「ナディーヤと私は本を読むためだったらなんでもしますよ」


 まあそうなんだけど。

 ナナが宣言すると、ミサトが笑い転げた。

 




 

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