魔法学校
わたしたちがミサトの家に着いた一カ月後、シュテファン様と侍従の皆さんが塔に入った。
シュテファン様とは一度軽く挨拶しただけで、交流はない。
塔は警護されていて多くの人たちに囲まれているし、会いに行く用事もないから。
わたしたちと違って大国①の王族は、気軽に近づく感じではないかな。
魔法学校に通い始めて二カ月過ぎた。
大国①の王子シュテファン様の方が後から留学してきたんだけど、すっかりなじんでクラスの中心人物になっている。炎の魔法使いでとても目立つし、大国①の王子に興味があるようでいつも誰かに質問されている。自然とシュテファン様のまわりには人が集まるのだ、明るくて優しい性格も大国①のイメージと違って好かれるのだろう。
「ナディーヤ、読み終わったら交換して」
ナナとわたしは買ってもらった本を毎日読んでいる。
ルパニアというきいたこともない国から来た、本ばかり読んでいる王族と思われているのかな?闇魔法が地味だから目立つこともない。
毎日授業以外はほとんど図書館にいるし。
「ナナ、理想の生活ってこれのことかな」
「そう、これがいつまで続くかわからないから、早くN国の本を読んでしまいましょう!冒険物語、恋愛物語、学園物語なんて帰ったらこんなにいろいろ読めないでしょう?」
「いつまで居られるのかな?シュテファン様と仲良くして長く居させてもらえるようにしたら……」
「ナディーヤには無理だわ、変なことしないで。現実をみないで早く本を読んで」
うん、わかった。
授業が難しいとか、特別成績に問題があるわけでもない。教科書はうれしくてもらったその日のうちに読んだし、闇魔法のヨボヨボのおじいちゃん先生は優しいから、すぐヒントをくれる。
「焼き魚とネギのスープ!」
「ほお、そうじゃ、ナナは利口じゃな」
闇魔法の授業は二人だけで、いつもおじいちゃん先生のきのうの夕飯を当てることになっている。先生!わたしもわかったよ。
そう言おうとして立ち上がったときに、外から大きな音がした。
「きゃー!」
誰かが叫んだ。
炎の魔法使いシュテファン様と同じクラスの実力者ナタリアさんが、校庭で炎を吹き上げていた。
「凄い!重なって輝いてる、ハート型に、これって学園物語みたい?」
「シュテファン様っておもしろいわー、ほんとに学園物語みたい」
キラッとナナの目が光った、もしかしてこれを?最近読むだけじゃなくて、学園物語を書いているナナはシュテファン様に目をつけた。




