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ブルマ部  作者: 焼肉一番


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イエス! マイ! ブルマ!!

「あいててて……気付かないうちに俺すげぇ痣だらけなんだけどー?」


 帰り道で友城が体中をさすりながらそう言った。


「慣れてないとすぐ痣が出来ちゃうんだよね、サラちゃんは大丈夫?」


 幾瀬はもう髪を解いていて、あの時のアクティブさが嘘みたいである。どっちの幾瀬も可愛いと思う。


「サラはブルマはいてれば怪我しないデスヨ~! おっとっと……」


 普段からハイテンションのサラだが、さすがに今日はそのテンションに身体の方が付いていけないのか、おどけて見せた決めポーズは決まらず足元がフラフラだ。


「ははっ、さすがのサラもこれだもんな。俺ももうヘトヘトだし痣もすげぇよ」


 みんなに合わせたワケじゃなく本当にそうだったから言った事だが、何故か友城が張りあって来る。


「いやいやそんなん軽いだろ。俺なんかこんなとこも紫なんだぞ」


「待てって俺のここ見ろって。この色ヤバいだろ」


「甘いね、ヤバい色ってのはこう言うやつを言うんだよ」


「ごめん実は友城引くと思って隠してたけど一番酷いのはこっちなんだわ」


 争う様に友城と名誉の負傷を見せあっていると、早くもそれに飽きた友城が次の話題を提供する。


「それにしてもよ、妹の事があったにしろ、あの会長が本当にブルマ部なんてもんを許可してくれんのかね?」


「ナンデスト?!」


 サラがピリッとして友城を振り返る。


「だって結局あの場で許可するとは言ってくんなかったしよ、全校生徒の前でとりあえずカッコ付けただけとか……」


「大丈夫だよ」


 友城の言う事ももっともだと、俺も不安になってサラと目を合わせたが、幾瀬だけはけろりとそう言ってのけた。


「会長はそんな、その場限りの嘘を言う様な人じゃないよ」


「随分自信満々だな、何か根拠でもあるのか?」


 きっとなんとなくなんだろうなと思いつつ、俺は幾瀬にそう尋ねた。しかし幾瀬は意外にもしっかりと頷いたのである。


「私ね、ずっと前に、手芸部があったら良いのになって思って部活動の設立条件を調べた事があるの」


 なるほど手芸部か、俺の股間が無事だったのも幾瀬の縫い付けてくれたファールカップ付き改造ブルマのお陰だしな。実に、手先の器用な幾瀬らしい。


「でもすぐに諦めたわ」


「何でだ? ブルマ部の次にピッタリだと思うけど」


 俺の言葉にサラも友城もうんうんと頷く。


「設立条件は、まず部員が十人以上居る事、なんだよ」


「ホワッツ?!」


「でも会長は、全校生徒の前で条件は四人だと言った。きっと早急に条件を書き換えるか、あるいはブルマ部だけ特例になる様なルールを上手く作るのか……どうするか分からないけど、ブルマ部を最初から認めるつもりでみんなの前で敢えてあんな事を言ったんだと思う」


「ほえー、安池の奴……マジか、良いとこあるじゃん」


 ああ、それなら確かに安心だ。この挑戦を受けてくれたのも、全校生徒の信頼を勝ち取る為だと挑発したら乗って来た様なもんだからな。その全校生徒の前で言った事だ。幾瀬の言う通りかも知れない!


「だったら! 早急にあと六人集める必要があるデスネ!」


 おっと、サラだけ違う方向へ思考が走り出してる。


「違うよサラちゃん……えっとね、こう言う分かりにくい気持ちの伝え方って、もしかしたら日本人ならではの感覚なのかなぁ……」


「ノーノー! サラ理解してマス! 日本人の美学理解した上でこう言ってるのデスヨ! お情けムヨウ!」


「はあぁっ?! 何言ってんだよサラ! 貰えるもんは貰っとこうぜ!」


「そうだよサラちゃん! こういうのを謹んで受けるってのも、また日本人の美学なんだよ?」


「そうだ幾瀬! 良い事言った! 今良い事言ったぞ!」


 またもや選んで茨の道を進もうとするサラを俺達は口々に止めた。だけどみんながみんな、きっと言いながら思っていた。たぶん、言い出したら聞かないんだろうなぁと。


「また明日から忙しくなるデスヨー!」


「しゃーねぇな、まぁ今日ちょこっと声掛けてたみたいだけどよ、明日改めて亜子誘ってみるか」


「そうだね、生徒会の亜子ちゃんが入ってくれたらイメージも違うだろうし……」


「そうだ! 顧問も必要だよな? 顧問いっそ校長に頼んだらどうだろうか?」


 いつの間にか俺達は、サラを宥める事を諦め、明日からのブルマ活動についてあれこれと相談していたのだった。やっぱりこうなるよなぁと思いながら。


「絶対にブルマ部を現実のものにするデス! そうだ! 景気付けにしりとり、するデス!」


「なんで景気付けにしりとりなんだ……」


「サラからデス! ブルマ部!」


 俺の言葉を掻き消して、サラが勝手にしりとりを始めた様だ。ブルマ部……部……ぶ、か。


「じゃー次俺! ブルマ部!」


 どうやら先に気が付いた友城が言葉を繋ぐ。


「ははっ! 次は俺だ! ブルマ部!」

「私の番かぁ~、う~ん、じゃぁ~ね~、ブルマ部!」

「またサラですネ?! ブルマ部!」

「俺だ! ブルマ部!」

「ブルマ部!」

「ブルマ部!」


 サラの提案通り、このしりとりは俺達にとって良い景気付けになった様だ。ブルマ部ブルマ部と繰り返していると気持ちが高揚して来て、何でも出来る様な気がして来るではないか。


「作ろうぜ、ブルマ部」


 気付くと、俺はしみじみそう言っていた。


「お情けじゃなく、十人集めてさ……」


「ムロン!」


「俺はまぁ、最後まで付き合うつもりだったし?」


「うん、私も! 私も最後まで頑張りたい! 人数多い方がうんと楽しいって、気付いちゃったもん」


 気持ちが一つになり、俺達は何度目かの円陣を組んだ。

 お互いの手を重ねて、今日までの事、明日からの事、お疲れさまとこれからもヨロシクと、色んな気持ちをこの言葉を通じて分かり合うんだ。


『イエス! マイ! ブルマ!!』

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