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12 病みキャラには塩キャラ

更新が大きく遅れました。

申し訳ござません。

できる限り、早めの投稿を目指し整えていきますのでこれからもよろしくお願い致します。

「……」

「ーーこ、殺してやる!! お兄ちゃんなんて、刺し殺してやりんす!」



 ああ、もうキャラ設定がこじれている。

 俺がモブ史上最強のまま高校生活で認識できる人間のみに話し掛けられる生活が続いていると言うのに、何故お前はデレデレしたりツンツンしたり、挙げ句の果てには病んでいるのだ妹。



 まあ、それもこれも全ては如月と言う馬鹿の仕業だ。

 月野瀬入鹿を、膝に乗せて基礎を昼休みに引き続いて教えていた放課後ーー

 機嫌を損ねに損ねた結果、如月は盗撮していて家に帰ると林檎(色々な事情で堕天した)に見せたのだ。



 月野瀬は、とても可愛く小さなロリキャラだからだろうか林檎には妬ましかったのだろう。

 何故なら、自分は高身長で可愛げがあまりに無いと自覚しているからだ。



「先生! 浮気は良くないです!!」

「してねー」

「と、言うことで如月ちゃん。俺とーー」

「黙っていてください先輩。目が開いたら土の中にしますよ?」



 それはただの生き埋めだ。

 我が家の前にパトカーが沢山と停まり、科捜研やら何やらと動き出してしまう。

 かなり騒がしい嫌な朝になるので是非やめて欲しい。



 せめて埋めるなら近くの山にしてくれーー



「で、だ。林檎、包丁を仕舞え」

「い、嫌だ! 私は……私はお兄ちゃんを殺してその子も殺してやる馬鹿女も殺すんだからっ!!」

「お前が生きているなら、俺達に死ぬ理由は無いと思いんだけど……」



 まさかの自分だけ生きるつもりらしい。

 そうはさせないーー自分を殺した相手が妹な件については、まあ、良いとして。

 その後のうのうと生きていると言うのなら、俺はしっかりと極楽浄土から蜘蛛の糸を一本垂らしてやる。

 捕まったらーー切って、地獄に落としてやる。



「ねえ、林檎ちゃん。包丁じゃ簡単に殺せないわよ? せめて鉈にしないと」

「どこの村だよ」

「そ、そうだよ? 鉈も良くないけど、包丁も良くないよ林檎。お兄さんを殺すなんて、だめだよ?」

「五月蝿い五月蝿い五月蝿い!! 私はーー家族として、妹して、一人の女として、我慢ならない!」

「お前を一人の女として見たことは一度もない」



 俺がきっぱりと、塩対応で即答すると林檎は涙を浮かべた。

 言ってしまった……と、三人が言っている気がする。

 もちろん、はっきり言おうーー言ってやった。



 実の妹を、一人の女として誰が見るーー

 義理の妹ならまだしもーーである。

 義理の妹なら、何処かのやばい半吸血鬼兄貴のように言ってやるところだ。



 ーー義理の妹なんて、萌えるだけだろうがああああ!



 そう言った途端、各方面からアンチコメントが殺到しそうだ。

 そのうち人間不信になって明○川さんが如く自殺ばかり考えることになりそうだ。



 さて、涙目になったところで林檎の持つ包丁は腹部辺りから耳横まで振り上げられている。

 しかし、どうせ投げてくることはないと俺は堂々たる身替えでいる。



 我が家のリビングーー後ろに大事な電子機器『64インチ 4Kテレビ』がある。

 その盾になってこそ、十何年後の一家の主の姿だ。



「先生の背中から感じるこの気配……! もうすでに一家の主ーー大黒柱!?」

「私を養うつもりなのねっ!?」

「お前は一人で一生生きていた方が良いぞ。性格的に男の方が逃げる」



 如月が吐血して後頭部から倒れていく。

 ちなみに、今の俺は塩対応だがこれは演技だ。

 塩キャラを演じて、あえてそろそろこの馬鹿二人を一度は撃沈させたいと思っている。



「ーーそれで林檎。包丁を下ろせ。そろそろなまはげだぞ」

「ううっ……!! なんで私のことはいつも適当なのおおおお!!」



 と、俺の言葉に激怒した林檎から包丁が飛んでくる。

 ーーまじかよおいっ!!

 本当に飛んでくると思っていなかった俺は、驚き手で顔を守ることすらできず不本意ながら直立不動してしまう。



「お兄さん伏せて!!」

「なに!?」

「ーー捉えたああああ!!」



 後ろから未央ちゃんの声がして振り向きながら体を伏せることに成功した。

 すると飛び込んできた未央ちゃんに抱きしめられ、廊下の方へと転がる。



 次に、包丁を捉えたらしい如月がエアガンのUZIを連射する。

 馬鹿馬鹿馬鹿ーー包丁以外にエアガンの連射なんて、家に穴開くわああああ!!



 我が家は木造建築なんだ、壁も生木なんだから穴あくし凹むし、親になんて言い訳したら良いんだよ!?



「……ふう。終わった」

「終わったよ、我が家が」



 林檎の投げた包丁は軌道を変えてソファーに幸い刺さっただけで済んだ。

 だが、如月は無闇矢鱈に連射したこで包丁の軌道を変えることに成功しただけで、実際問題エアガンの扱いに慣れておらずしっかりと壁や棚に凹みができてしまった。



 これはどうやってーー処理するべきか。



 ♡



「親には何となく誤魔化して言ったら、来月に張替えらしくて怒られなかった」

『そうですか……良かったです。ああ、お兄さん?』

「……うん?」



 夜も遅いからと帰らせた未央ちゃんが、心配して電話をしてきた。

 もちろん、家の中の惨状を見て一瞬両親は顔を顰めたがしかし、そもそも来月に生木の張替えがあったらしく怒られることはなかった。



 未央ちゃんは安心したのか、震えていた声が落ち着くと俺を呼んだ。

 反応すると、『あ、えーと……』なんて少しゴニョゴニョ口ごもらせる。



「……どうしたの?」

『お兄さん、明日……暇かなって、思って。また、ゲームセンターに行きたいです』

「ゲーセン? ああ、良いよ行こうか。学校終わりに」

『林檎も、連れて行ってあげたいんです』

「…………まあ、そうしようか。うんうん、別に俺も本気で塩キ対応してた訳じゃないし、唯一の兄を盗られたとかそんな程度の堕天から更に超堕天した程度だろうし」

『え、そんな軽い物だったんですか!?』



 うんまあーーと勝手に決めつけて返事しておく。

 もう一々林檎の堕天具合進行の度に原因究明していたら、某ホラー映画の原作のように長ったらしくなる気がするから適当に理由付けして済ませるのが楽だ。



 それに、今は如月がお姉さんらしグスングスン泣いている林檎を見ているしーー

 両親も、如月が居ることに全く違和感を持っていないし。

 それに、俺はこうして唯一の心の拠り所である未央ちゃんと二人の会話をできている訳だし結果全てオーライだ。



「そういや、未央ちゃん今日は泊まっていかなかったけど」

『それはーー親に今日は帰って来るように言われていたので』

「そっかあ。じゃあ仕方ないか」



 未央ちゃんが居てくれないと、俺の横に馬鹿二人が忍び込んでくるから嫌なんだよな。

 それに、今日は先輩も何故か泊まっていくとか言うから、広くもない部屋に四人が集まって寝ることになるし。



「じゃあ、明日の放課後かな」

『あ、朝にお弁当届けに行きます』

「お弁当?」

『はい。作りますから……明日からは、私がお弁当ちゃんと作りますから』


 ……なに?



 俺の脳が高速回転を始め、何十万の検索結果から的確な物を選択し、知恵袋にて質問して回答が来るところで全てが最高速で流れた。



「……もしかしてさ、気にしてくれてる? 」

『まあ、はい』



 ですよねーーとは言わない。

 如月が作るとか言っていたお弁当の件について。

 結論から言って俺の家に居る限り、手作り弁当など一回も食べていない。



 我が家でのルール上、林檎が俺の弁当を作る。

 だが、しかしーーどうにも作ってくれなくなった……いや前からだけど。

 つまり、俺はパンばっかな訳でーー



 それを知っているからか、未央ちゃんは俺にお弁当を作ってくれると言う。

 質問者K……『お弁当を作ってくれると言うのですが……。実はかくかくしかじかで』

 回答者A……『それは快く受取り、食べるべき!! あなたの心の拠り所である特別な子なら、特に』



「本当に!? ありがとう、未央ちゃん。やっぱり未央ちゃんだけだ俺を癒やせるのは」



 月野瀬も癒やしてはくれたが、あれは意味が違うのでスルー。



『そ、そうですかっ!? じ、じゃあ……私…………がんばりますね』

「ありがとう、本当に嬉しいよ! うんうん、そっかあ……久しぶりに手作り弁当食べられる」



 俺は嬉しさのあまり、外で大興奮した。

 そこで通話は終了し、家の中に戻るとーー



「……和樹」

「な、何だよ」



 如月が玄関で正座して待っていた。



「ねえ、私考えたの」

「何をだよ」

「……あの子、もう駄目よ」

「……」



 いや、その結論に至ったお前がもう駄目だろ。



「何で駄目なのか話せよ」

「あの子はーー堕天しているのよっ!!」



 ガバッと立ち上がって俺の両腕を鷲掴みにすると揺すってくる。

 何だこいつーーお前まで堕天している気がする!!



「あの子はもう天使に変えれないわああああ!!」

「お前は何だよ。一体誰だよ」

「私は女神アテナ!!」

「お前はどっちかと言うと……闇堕ちしたあかんヘラの方だろ」

「的確な突っ込みはこの際いらないのっ!! とりあえず林檎ちゃんを……林檎ちゃんの輪っかを綺麗に吹いてあげるべきよお!!」

「……なら、雑巾やるからバスマ○ックリンで綺麗にしてやってくれ。高い位置に輪っかがあるならクイックル○イパーも持ってけ。裏口の前に掛けてある」

「心の闇をよっ!!」



 どっちだよ……。

 心の中で俺は突っ込んだ。



「つまりお前は何をしたい」

「林檎ちゃんを森に返すの」



 突然ナウシカが俺の前に現れた。



「なら頑張れ。俺は知らない」

「塩対応過ぎない?」

「……はあ。あのな? お前達がいつまでもギャーすか言ってるから、俺は塩対応を決め込んで今日のところは一旦静かにしてもらう魂胆だったんだよ」

「……なーんだ。なら、とりあえず林檎ちゃんを元に戻してあげてよ一緒に寝るとか」

「言われなくても、寝るつもりだ。いや、寝る羽目に遭うつもりだ」



 なんて言って、今日の俺の塩対応はここまでで終わった。

 その後林檎の機嫌を取るため、あれよこれよとして、最終的に頭を撫でただけで幸せそうな笑顔に戻ってくれた。

 勿論、その次に如月がグイグイ来たがーーこいつにはいつまでも俺は塩対応すると決め込むのだった。

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