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結婚したら彼が変わった!?  〜婚活後に待っていた“理想と現実”のギャップ白書〜  作者: アレックス・フクリー
Case.6:子どもができたら、レスになった

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エピソード⑥

「うち、もう1年以上してないの。おかしいよね?」


 そう切り出したのは、2歳の女の子を育てているミサキ(34歳)。結婚5年目、産後しばらくは「それどころじゃないよね」と自分に言い聞かせていた。でも、気づけば娘はもうイヤイヤ期。自分の体もだいぶ回復してきたし、生活もある程度落ち着いてきた。なのに、夫とのスキンシップは減る一方だった。


「夜、一緒に寝てるのに、まったく触れてこないの。会話も"保育園どうだった?"とか"オムツもうなくなりそう"みたいな連絡事項ばっかり。女として見られてないのかなって、たまにすごく不安になる」


 かつては、手をつないで歩いたり、寝る前にハグをしてくれたり、自然と触れ合う時間があった。そういう日常のスキンシップがあったからこそ、「私は愛されてる」と感じられていた。だけど、出産を機にすべてが"子ども中心"になった。


「結婚前は週に2回くらいは自然と抱き合っていたのに、今じゃ記念日でさえ、『疲れてるから』と眠ってしまう。子どもが生まれて忙しくなったのはわかるけど、それでも、こんなにも変わるものなのかな」


 ミサキは言葉を詰まらせる。

 そういえば、出産後すぐに帰省した際、同級生から「うちなんて、赤ちゃん産んでからレスよ!」と笑い飛ばされて、「まさか私たちもそうなるなんて」と心の中で否定していた。でも気づけば同じ状況になっていた。


「もちろん、私だって毎日バタバタで余裕なんてないし、正直、自分の見た目にも気がまわらない。産後太りも解消できてないし、髪も切りに行けてない。でも、レスってただの"性の問題"じゃない気がするの。心の距離というか……どんどん"夫婦"じゃなくて"共同育児者"になっていってる感じがして、寂しくなる」


 ある夜、寝る前にテレビを見ていたとき、ミサキは勇気を出して夫の肩に頭をのせてみた。すると夫は何も言わず、ただ優しく髪を撫でただけ。そこにはかつての情熱はなく、まるで娘をあやすような優しさだけがあった。

 次の週末、義母が娘を預かってくれることになった。「久しぶりに二人の時間ができるね」と期待したミサキだったが、夫は「やっと休めるよ」と言って、その日の大半をゲームに費やした。

 ある夜、勇気を出して「最近、全然そういうことないけど、大丈夫?」と聞いてみた。すると夫は、ちょっと困った顔で「いや、ごめん。疲れててさ……そういう気にならなくて」とだけ答えた。その後、「子どもも壁が薄いから…」と言い訳めいたことを付け加えた。


「それって、私に魅力がないってこと?って思ったけど、怖くて聞けなかった。責めたくはないけど、なかったことみたいにされるのもつらい。夫婦っていうのは、ただ同じ屋根の下で子育てをする関係だけじゃないはずなのに」


 ミサキは友達に相談してみたが、「うちもよ」「産後はみんなそうだって」と片付けられてしまった。一方で、SNSでは「#夫婦円満」のハッシュタグでラブラブな投稿をする知人たちの姿を見ると、自分たちだけが取り残されているような気分になった。

 夫は育児にも家事にも協力的。文句を言えば、「わかった、やるよ」と行動に移してくれる。でも、こと「性」の話になると急に壁ができる。ミサキの中では、「それって、私を"女"として見なくなったってことなのかな」という疑念が、消えずに残っていた。

 そして最近、職場の男性から「きれいになりましたね」と言われたとき、ミサキは罪悪感と同時に、ほんの少しだけ嬉しさを感じてしまった。その気持ちに気づいたとき、「このままじゃ、いつか夫婦の形が崩れてしまうかもしれない」という不安が胸をよぎったのだった。

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