表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
結婚したら彼が変わった!?  〜婚活後に待っていた“理想と現実”のギャップ白書〜  作者: アレックス・フクリー
Case.4:私だけが“親”になった気がする

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/27

男性心理④

 妊娠がわかった瞬間、男性は確かに"うれしい"と感じます。けれどそれは、「赤ちゃんができた」というニュースを"情報として"受け取ったに過ぎません。頭では「自分は父親になるのか」と理解していても、心や行動がそれに追いつくまでには、どうしても時間がかかるのです。

 多くの男性にとって、"子どもができる"というのは、「未来の話」であり、「まだ起きていないこと」です。それは抽象的で、現実感のない出来事なのです。だからこそ、妊娠の報告を受けた直後は喜びや興奮を表現できても、その後の日常では「何も変わらない」かのように振る舞い続けてしまう傾向があります。

 一方で女性は、自分の体に直接起こる変化によって、瞬時に現実を突きつけられます。つわりや検診、ホルモンの変化……身体を通して「母になる」という準備が強制的に始まるのに対し、男性側は傍観者になりがちです。女性の身体が日々変化し、違和感や痛みを感じ、少しずつ「母になる」感覚が育っていく間も、男性の身体には何も起こらない。この「身体的な実感の差」が、思いのすれ違いを生む最初のきっかけになるのです。

 彼らが「何をしていいかわからない」と戸惑うのも、ある意味自然なことです。女性が「もうすでに親である」という自覚を持ち始めているとき、男性は「まだ親ではない」という感覚で日々を過ごしている。このズレが、妊娠期における"温度差"として、女性側に強い孤独感や不満を与えてしまいます。

 男性は「具体的に何をすればいいのか教えてほしい」と言うことがよくあります。これは一見、責任回避のようにも聞こえますが、実は多くの場合、本気で「何が必要とされているのかわからない」という混乱から生まれる言葉です。自分の体験の中に「妊婦のケア」というカテゴリーが存在せず、親からの継承も少ない場合、彼らにとって「正解」を見つけるのは難しい課題なのです。「生まれてから頑張る」という言葉も、裏を返せば「今は何をすべきか自信がない」という不安の表れかもしれません。

 さらに、男性の多くは「自分が失敗したらどうしよう」という不安を、過剰に恐れます。


「オムツの替え方がわからない」

「抱っこの仕方を間違えたら怖い」


 ──そんな些細なことでも、"自信がないから動けない"という心理状態に陥ることがあります。このとき、彼らは「失敗して怒られるぐらいなら、最初から手を出さないほうがいい」と考えてしまいがちなのです。特に、妻が育児に対して高いスキルや明確なこだわりを持っている場合、その姿を見て「自分には無理だ」と初めから諦めてしまうケースも少なくありません。

 検診やセミナーに消極的な態度を取る男性も、実は「自分が場違いな存在に思われるのではないか」という不安を抱えています。職場では自信を持って振る舞える彼らも、「妊婦さんばかりの場所」や「育児の専門家が話す場」では、自分の立ち位置が定まらず、居心地の悪さを感じるのです。そして、その感情を正直に伝えられないまま、「意味がないから」「忙しいから」といった理由で距離を取ろうとしてしまう。

 また、妊娠中や出産後のパートナーの変化に戸惑う男性もいます。妻が急にナイーブになった、涙もろくなった、言葉に敏感になった……こうした"感情の揺れ"に対して、男性は対処の仕方がわからず、あえて距離を取るような態度を取ってしまうことがあります。それは決して「気にしていない」「冷たい」わけではなく、"向き合い方がわからない"という未熟さの表れなのです。ホルモンバランスの変化が女性の感情に与える影響について、知識がない男性も多く、「なぜ急に怒り出すのか」「なぜ泣き出すのか」が理解できず、混乱してしまう場合もあります。

 立ち会い出産の場面で足がすくむのも、決して「愛情がない」からではありません。むしろ、「大切な人が苦しんでいるのを見たくない」「何もできない自分が情けない」という感情から生まれる行動です。男性は問題解決思考が強い傾向にあるため、「解決できない苦痛」を目の前にすると、無力感や自己否定感に襲われやすいのです。

「生まれてから頑張るよ」というセリフの裏側には、「それまでは何もできない」という無力感がある場合もあります。しかし女性にとっては、「いま一番つらいこの時期こそ、寄り添ってほしい」と思うもの。そのすれ違いが、"私だけが親になった気がする"という感覚を生むのです。

 産後も、赤ちゃんが泣く理由や欲求を「直感的に理解できる」女性に対し、男性は「なぜ泣いているのかわからない」「どうしたらいいのかわからない」というストレスを抱えやすいもの。そして、自分でも気づかないうちに「妻なら上手く対応できるから」と、育児の主導権を妻に委ねてしまいがちです。また、自分の父親が育児に関わらない家庭で育った男性は、「父親とはこういうもの」というロールモデルすら持っていない場合もあります。

 男性にとっての「父性」は、"子どもが実際に目の前に現れてから育つもの"であることが多く、それまでは「備えること」や「想像すること」がどうしても苦手なのだ、と理解しておくと、彼の反応に少し冷静に向き合えるかもしれません。彼らの多くは、赤ちゃんと実際に触れ合い、関わり、反応を受け取る中で、少しずつ「父親」としての自覚が芽生えていくのです。それは女性よりも時間がかかるプロセスですが、決して「愛情がない」わけではないことを知っておくことが大切です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ