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結婚したら彼が変わった!?  〜婚活後に待っていた“理想と現実”のギャップ白書〜  作者: アレックス・フクリー
Case.4:私だけが“親”になった気がする

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エピソード④

 妊娠がわかったとき、彼は本当にうれしそうでした。


「マジで!? すごいじゃん、親になるのか…!」


 言葉をかみしめるように繰り返していて。私ももちろんうれしかったし、「この人と家族になれるんだ」っていう未来が見えて、安心したのを覚えています。

 その夜、2人でスマホを片手に「名前どうする?」「やっぱり健康が一番だよね」なんて話しながら、自然と笑いがこぼれて──あの時間が、妊娠期間の中で一番幸せだったかもしれません。明るい未来に胸を膨らませ、これからの子育てについて語り合った、あのひととき。「きっと私たちは素敵な家族になれる」そう確信していました。

 でも、そこからの日々は、思ったより過酷でした。つわりが始まると、ニオイだけでも吐き気がして、冷蔵庫を開けるのもつらい。寝ても覚めても気持ち悪くて、トイレにこもる日もありました。朝起きられない日も増えて、仕事に行くのも一苦労。妊娠って、こんなにつらいものなんだ……と身をもって知ることになったんです。

 それでも、彼は「大丈夫?つらそうだね」と言うだけ。心配してくれる気持ちはあるんだと思う。でも、じゃあ代わりに買い物行こうとか、ご飯つくろうとか、そういう行動にはなかなかつながらない。

「今日は家事無理かも…」って言うと、「いいよ、気にしないで」と返される。その"気にしないで"は、つまり「部屋が多少汚くても気にしないよ」って意味であって、「じゃあ俺がやるよ」ではないんだな、ってわかってから、なんだかもやもやするようになっていきました。

 最初は「言わなきゃわからないのかな」と思って、直接お願いしてみたこともあります。「今日、洗濯物をたたんでくれない?」って。そうすると「あ、わかった」とやってくれるんですけど、あくまで「手伝ってあげている」という空気感。まるで特別なお願いを聞いてくれている、みたいな。でも私からしたら「これからずっと二人の生活なのに、なぜ"頼まれた時だけ"やるスタンスなんだろう?」と疑問でした。

 さらに追い打ちをかけたのは、妊娠中期以降。お腹が大きくなってくると、階段の上り下りも苦しくて、重い荷物を持つのもつらくなってくる。靴下を履くのにも一苦労するようになり、正直、彼の手を借りたい場面が増えていったんです。なのに、彼は相変わらず「何か手伝おうか?」とは言わない。たとえば、スーパーから帰るときも、私が2Lのペットボトルを2本持ってるのに、手ぶらで歩いてることが何度もあって。「さすがにそれは気づいてよ……」と、思わずため息が出たことも。

 一度、勇気を出して「もう少し気を使ってくれると嬉しいんだけど……」と切り出したとき、「具体的に何をしたらいいのか言ってよ」と返されました。その瞬間、「なぜわざわざ"言わなきゃ"気づかないの?」という思いと、「それを説明するのも疲れる……」という諦めが入り混じって、結局泣き出してしまったんです。彼は慌てて「ごめん、ごめん」と謝ってくれましたが、その後も根本的な変化はなく……。

 私が「パパ向けのセミナーがあるらしいよ」と声をかけたときも、「うーん、オレ行ってもあんま意味ないかもな」って笑ってかわされて。"オレはまだ何も実感がないから"みたいなテンション。「生まれてから頑張るよ」が、だんだん"生まれるまでは他人事"に聞こえてきてしまって──。

 検診のときも、最初の2回は付き添ってくれたのですが、「赤ちゃんの様子が見えないし、先生と話すのも緊張する」と言い出して、それ以降は一度も来てくれませんでした。エコー写真を見せても「なんかよくわかんないね」と流す感じ。その度に「この子は私の子だけなのかな」と思わずにはいられませんでした。

 そして、出産当日。陣痛で苦しむ私のそばにいてくれるのはありがたかったけど、スマホばかりいじっている彼の姿に、正直「この人は今、何を思ってるんだろう」と不安になりました。立ち会い出産の予定だったのに、直前で「ちょっとやっぱ無理かも」とナースステーションの前で足がすくんでしまった彼を見て、「ああ、この人はまだ"父親"になってないんだな」と、ふと現実を突きつけられたような気がしました。

 産後も、育児は私がメインで、彼は"サポート"的な立場。オムツ替えもミルクも、「やろうと思えばできる」けど、なかなか自発的にやってくれない。こっちが頼めばやってくれるけど、それって"私が指示を出さないと動かない"ってことなんですよね。

 たとえば、夜中の授乳のとき。私がふらふらになっているのに、彼は隣でスヤスヤ寝ていて。「ねえ、起きて。赤ちゃん泣いてるよ」と声をかけても「ん、ごめん……」とまた眠りに落ちる。それを責めるつもりはないけれど、「私だけが"親になった"ような気がする」のは、確かなんです。

 休日も、私がずっと赤ちゃんの面倒を見ている間、彼は自分の趣味や休息を優先することが多くて。「少し代わってあげようか?」と言ってくれることもありますが、それも1時間もすれば「ちょっと疲れたな」とか言い出す。「私なんて24時間ずっとだよ?」と言いたくなる気持ちを、グッと飲み込むことも多くなりました。

 赤ちゃんの笑顔や成長に一緒に喜べるときは幸せだけど、それ以外の「大変な部分」が、なぜか私だけに降りかかってきている気がして…。そんな日々が続くうちに、彼への見方も少しずつ変わっていきました。「頼れる夫」から「私の世話に加えてもう一人面倒を見なきゃいけない大きな子ども」に。そんな感覚で彼を見てしまう自分がいて、それがとても悲しかったんです。


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