1話 自分の名前が大嫌い
僕の名前はツナグ
両親に
そう名付けられた
”すべての
人と人とを繋げますように”
そう
願いを込められて
僕は
ツナグになった
でも
ツナグって
どうしたらいい?
僕には
それが
わからない
鬱陶しかった
欠けている僕に
こんな
大層な名前を
もらったって
何ができると言うんだ?
通学路
”おっはよー”
”今日も良い天気だね~”
”そういえば
昨夜の歌番組さ~”
・・・
僕は
ああいう話に
加わる事ができない
中学時代
”ドラマの
あのバカ女
最悪だよな”
”すぐ
頭がおかしくなって
取り乱しやがって”
”あんな
女が居るから
女って
信じられなくなるんだよな”
そうかな?
”あ?”
苦しんでるんだと思う
悲しんでるんだと思う
”・・・”
苦しいって
悲しいって
伝えるのが不器用で
自分がおかしいって
表現するしか
伝える方法がなくて
”・・・・・”
だから
取り乱してるのは
不器用の表れで
”お前
もういいよ”
え?
”お前
いつもみんなと
ちがうこと言うんだよ
ズレてるって言うかさ”
・・・そんなつもりじゃ
”・・・お前さ
消えちゃえよ?
回想 おわり
きっと
僕は欠けているんだ
激しくズレている
こんな人間が
ツナグなんて
できるわけない
「ツナグ~」
カナデか?
「一緒に
学校に行こう?」
・・・
神社
まだ
学校まで
時間があるからって
「大丈夫 大丈夫
ねえ 見せてよ?
いつものやつ」
カナデに
ノートを渡す
・・・フムフム
夢に居るような
幻想に居るような
幸せな想いで溢れて来るの
想いに咲いたよ?
心に住んだよ?
貴女と私の想いたちが
壊れて居て良かった
そうじゃないと
出逢えなかった
この事に
心から感謝しよう
どうしてだろう?
こんなにも愛しい
どうか おねがい
一瞬だけじゃ
イヤだよ?
永遠が欲しい
「なるほどねぇ
これが恋をした事のない人間が
書ける恋の歌か」
・・・バカにしてる?
「誉めてるんだよ?」
そんなに楽しい?
僕の歌詞を見るのが?
「楽しいよ?
普通の人とは違った視点で
見ることができるんだもん
ツナグって何か斬新」
・・・
・・・欠けているだけだって
カナデの
その感性が理解できないよ
「皆にも見せれば良いのに」
誰に?
「(・・・あ
中学時代にツナグは)」
カナデも
ズレてるよね?
「なんで?」
僕に関わる物好き
カナデくらいだよ?
うつむいて
下を向いてしまった
・・・痛いって
両頬をつねらないで?
「ツナグは
卑屈だからな~
そこを直したら
ツナグは もっと
魅力的だと思うよ?」
・・・そんな事
「そうだよ?
どのくらいかと言うと
すべての人を
繋げるくらいに
・・・また
僕の両親から聞いた
僕の名前の由来で
イジって遊んでるでしょ?
ちがうってば~
・・・もう
やめてくれよ
・・・大嫌いなんだよ
・・・自分の名前が