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第27話(3)

 ケイトたち4人が

 壊れた古の世界の移動式階段を上ると、

 正面に改札口が見えた。

 改札口の手前には右側に従業員用の扉と

 トイレの入口。

 天井から吊るされている看板は真っ黒で

 何も見えない。

「魔物はさっきの奴だけみたいね。」

 ケイトのその声の直後、

 ドールはディレクション(現在地確認)の

 魔法を唱える。

「城下町のちょうど南西に位置するエリアです。

 深さは西区の迷宮地下5階に相当します。」

 ケイトはライト(照明)の魔法で周囲を照らした。

 すると薄暗くて気付かなかった事が分かる。

「吹き抜け構造か。

 ……でも風が通ってないな。」

 階段の周囲が吹き抜け構造になっていて、

 見上げると地下4階まで見通せた。

 しかしここから上がれる階段が無い。

 時間的には夕方前だし、

 いざとなれば転移の魔法で地上に出ればいいし。

「もう少し地上に向かって探索してみましょう。」

 ケイトの意見に皆は同意した。

 未開の地を探索するというワクワク感は、

 冒険者でなくとも多少は抱いているものである。


 地上の南西区は、再開発エリア。

 西に冒険者ギルド、南に貿易センターと

 双方が賑わっている地域の中間地点だけに、

 商業ギルド関係者には人気の地と言えた。

 また、

 貿易センターでは仕入れた肉や魚などをさばく包丁、

 冒険者ギルド付近の武具店では剣などの武器類と、

 そういった需要が多い地区だからか鍛冶屋が多い。

 ところどころにある鍛冶屋の煙突から煙が上がるのは

 南西区の日常的な光景で、国としても

 その光景を壊さぬ様に再開発計画を進めていた。

 日常の風景とは、その街その国の風景でもあり、

 再開発を理由に強制撤去などすべきではない。

 人の心が離れていく行為に直結しかねないのだから。

 しかし地下にこんなモノ(遺跡)があると、

 再開発どころではなくなってしまう。

 コレが地下を一周しているなら尚更だ。

 他の地区にまで影響が出るのは必然。


 だからポーラが地下鉄遺跡調査を最優先でやっている

 んだろうけど、簡単に終わるわけないわよね。

 そう思いながら改札口を通り抜け、通路なりに右へ。

 壁にある券売機を過ぎると右手に階段が見えた。

 先程の吹き抜けの中間付近だ。

 上がっていくと、かすかにではあるが

 カン!カン!

 と焼いた鉄を打つ音が聞こえてくる。

「どこかの鍛冶屋にでもつながっていそうね。」

「確か30軒くらいあったと思います。」

 ケイトとドールは普通に話しているが、

 フィルとサイレンは黙ったまま周囲を警戒。

 しかしその警戒は杞憂に終わり、

 無事に吹き抜け上部の地下4階に着いた。

「西区の地下迷宮みたいな造りね……」

 賽の目状に歩きやすい通路。

 各小部屋を覗いてみても目ぼしい物は無かった。

 しかし階段から最も遠い位置の小部屋で

 ガチャガチャ

「え、この部屋だけ鍵が掛かっている?」

 しかしアンロックの魔法で難なく開錠。

 入ってみると、

 奥の角で壁に寄りかかっている骸骨の姿が。

「着ていた服はボロボロね。

 何でこんなとこで死んで……ん、何これ?」

 その骸骨の腰元、後ろの辺りに小さな置物を発見。

 隠すように置いていた感じだ。

「亀の彫刻の置物?」

 それにサイレンが近付く。

「私と同じ、水の魔力を感じるわ。

 もしかしたら、どこかに

 これを置く場所があるのかも。」

 いかにも冒険者が好みそうなネタだが、

 ケイトは迷うことなくフィルに手渡す。

「フィル、あとでポーラに渡してあげて。

 そっちの調査までやってらんないから。」

「うん、わかった。」

 フィルは軽く笑みを見せて受け取った。

 ケイト、意地でもポーラさんの仕事は

 しないつもりね。

 あとは部屋を出て地下3階へ上がる階段へ。

 探索して何も無いのを確認しながら進み、

 ようやく地下1階に着くと、

 音だけでなく焼けた臭いもしてきた。

 あとは地上に出るだけね、

 と思っていたのだけど……

「ゲ!うそでしょ!?」

 地上への階段があるであろう付近の通路は

 鉄くずなガラクタでギッシリと埋め尽くされていた。

 ここが地下遺跡の入口と気付かずに、

 鉄くず用のゴミ捨て場にしていたって感じ。

 え、ちょっとまって、これって……


 目の前が地上なのに転移の魔法を使えって事ぉ!?


 理不尽な思い全開のケイトであった。

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