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Splendours Season1  作者: Saki Tachimazaki
2nd Act - プリンス・オブ・アルファライン -
15/18

Scene Echo-1【Splendours Season1】

 静かな空間にドアの開く音が鳴り響いた。だが部屋の主は黙々とペンを動かし、侵入者などいないようだ。

「殿下、日を跨ぎました」

 蝋燭一本。薄暗い灯りに頼り薬草を吟味している。

「殿下——」

「邪魔」

 近くの本が一人でに浮かび上がり、ドアの方向へ飛んでいった。だが侵入者は避けることなく、それを体に受けた。

「——っと面倒だな、このクソガキ」

 めんどくさそうに軽くため息を吐きながら、ブレイクが睨む机の上に小さな箱を置いた。今度は手を止め、やっとフィルマンの方へ向き直った。

「陛下からの伝言だ。オーウェン殿下に渡して欲しいとな」

 箱の中には一枚の葉が入っていた。

「——フィルノア、ねぇ。どうやら最後の砦にもヒビが入っているみたいようだ」

「ブレイク、気休めだが効果がないわけじゃ」

「気休めじゃ意味ねぇんだよ!!!」

 ブレイクが机を叩いた跡は黒く焼け焦げていた。

「いいか、今のあいつを未来永劫必ず守ってやれるのは俺だけなんだ。お前やマルクも、陛下も、いつか裏切るかもしれない。生き物ってのはなぁ、そんなもんなんだよ所詮は。わかるだろ?」

 雲が晴れ、一気に光が差し込んできた。

「だから俺が城になってあいつを囲んで、内からも外からも守ってやるんだ! それにもう、堀に水が流れ込んでいる」

 そっとブレイクが立ち上がりカーテンを閉めた。だがいつの間にか蝋燭の光は消えていて、青とピンクの光だけが取り残された。

「いいかフィルマン。俺は気休めに頼るぐらいならこの手で命を刈り取る」

 フィルマンの胸には先程の箱が押しつけられていた。

「……陛下にもそうお伝えしておきます」

「好きにしろ」

 再び蝋燭に火が灯り、ブレイクは机に向き直った。

 ——つくづく歳を忘れさせる兄弟だ。

 フィルマンは身震いしながら部屋を出た。


「——やはり面白いですね、子供の考えることは」

 廊下ではパトリックが待ち構えていた。

「すまないねフィルマン。昔から君はこの手の分野が苦手だっただろうに」

 フィルマンが持っていた箱を取り上げ、入れ替わるようにドアノブに手をかけた。

「お力になれず、申し訳ございませんでした」

「……誤解しないでほしい。君のことは十分評価しているつもりだ」

 パトリックはドアを開け、中へ消えていった。

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