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エクストリアン  作者: バドライ
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窮地と救援

一時間ほど経っただろうか。辺りには夕日が差し込み、惨殺された人やモンスターの死骸が転がり、

未だ絶えず響き渡る剣の音。既に銃弾が尽きたのか、銃声はもう聞こえない。

疲弊しきった俺達に容赦なく襲い掛かるモンスター。

状況は、劣勢だった。


何とかコロニーの入り口は死守できているものの、相手にはまだオーク、コボルトが二百匹ほど残っているが、対するこちらの戦力は全員合わせてもたったの七十人ほどだ。

ギルドに所属する冒険者の中には、素材採取専門の者も少なくはないし、

今回のようなことが起きれば命の危険を感じて参加しない者だっている。

それでもこれだけ集まっているのなら、奇跡とも言える。


「翔!俺の方に来るコボルトの処理を!」

「おう…!」

「兄さん!前からナイフ!」

「…ッ!」


コボルトによって投擲された粗雑な刃物は、正確に俺の心臓を狙いながら勢いを緩めない。

しかし俺は長時間の戦闘により疲労が蓄積したのか、頭では理解していても体が動かなかった。

間に合わない。そう確信した。


「ボサっとするな!」


謎の声と共に現れた刀によって弾かれたナイフは、草むらへと飛んでいった。


「…!紅谷さん…!」

「まだ気を抜くな!…私から緊急任務を出させて貰おう。」

「え、今ですか?」

「ああ。内容は『死ぬな』だ。お前と同期の者は全員参加している。全員に同じ任務を出した。尚、この任務は一人でも失敗したら連帯責任で全員失敗扱いだ。」

「…!了解です!では、行ってきます!」


予備のナイフを装備したコボルトを斬り裂き、進む、進む。

単独で突進し、敵陣のど真ん中に入り込む。

それを追ってきた翔とアジュガは危険だから戻れと言うが、俺は戻るつもりはない。


「友樹…どうしたんだよ…なんかお前、おかしいぞ…?」

「…あとで話す。今はこいつらが先」


コボルトに囲まれ、奥にはまだオークが残っている状態ではあまりにも危険すぎる。


「グルォォン!!」


おたけびをあげながら飛び掛かるコボルトのナイフを弾き、剣で一突き。

苦しみながら絶命する仲間を見ても恐れないコボルト達は一斉に襲い掛かる。


「おいおい、ヤベーって!!」

「こうなったら魔法を使うしか…!」

「落ち着け!一体を踏み台にして脱出しろ!」


襲い掛かる10匹程のコボルトのうち一体を蹴破り、囲まれた状態を脱する。

が、しかし。周囲のコボルトが再び襲い掛かる。

これではほぼ無限に一方的な波状攻撃を喰らってしまう。

何か…何かないか。思考をフル回転させ、考えた時だった。


「ウルグォッ!?」


一体のコボルトが突如宙を舞う。

その下にいたのは…


「お、おじいさん…?」


そこには、サンダルを履いた老人が一人、ポツリと立っていた。

あの老人がコボルトを…?いや、俺が疲れてるだけか…?

答えの出ない自問自答に、彼が答えた。


「おっほー、間に合ってよかったわい。そこの若いの、だいじょぶか?」

「いや…多分大丈夫じゃないです…」

「そんじゃ、あとはワシに任せときなよ」

「へ…?」


直後。老人が消える。いや――他のコボルトを素手で瞬殺している。それも、凄まじい速度だ。


「オイオイ、あの爺さん何者なんだよ!」

「なんか僕、どっかでみたことあるようなないような…」

「とにかく、俺達は助かったのか…?」


気付くと周囲には屍の山が築かれており、他の冒険者もポカンと口を開けていた。


「お久しぶりです、(ろう)さん」

「お、桜ちゃん。久しぶりじゃのう。ワシと結婚しない?」

「いえ、結構です」

「ワシ、フラれた…」


何やら紅谷さんと仲のよさそうな狼と呼ばれた老人。

謎は多いが、後で聞けば良いだろう。残るオーク50体ほどを睨み、俺は一人で歩きだす。

しかし、後ろから何者かに腕を掴まれる。


「少年、ワシに任せなさい」

「え…でも…」

「あいつらはBランク。しかしオヌシ、属性武器(マテリアル・ウェポン)持ってないしBじゃないじゃろ?だからワシに任せな」


そう豪語した老人は再び凄まじい速度で地を駆け抜け、百メートルほど先にいたオーク達の前に立ちはだかる。


「グギ…」


羽虫程度にしか思っていないオークは、その手に持った肉切り包丁で老人を攻撃する。

しかし、老人は動こうともしない。


「ダメだ!避けっ…!?」


避けろ、という俺の言葉はそこで途切れた。カアァァァン、と刃物が折れる音が聞こえる。

肉切り包丁が折れ、武器をなくしたオークは素手で殴りかかろうとするが、老人のラッシュにより倒れる。


「さて…まとめて相手してやろうかの。ほれ、かかってきぃ」

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