どゆこと?
「あ…えーと…どちら様ですか…?」
紺色の髪をした12歳ぐらいの少年は聞こえているのかいないのか、ただ立ち尽くして固まっていたが、パーカーの裾をぎゅっと掴み、顔を上げた。
「兄さんっ!!」
「え?ええっ!?」
突然そう叫ぶと俺の胸元に泣きながら飛び込んできた。
兄さん…?兄さんとはいったいどういうことだ?
「あ…ごめん、わるいけど人違いじゃない?」
「…詳しいことは中で話してもいい?」
「おう…いいけど…」
なんだかよくわからないが、何かあるのかもしれない。
とりあえず家に上げ、ソファーに座ってもらうことにした。
「麦茶だけど、どぞ。」
「ありがとう…」
彼はガラスのコップを受け取ると、一気に飲み干した。
「で、俺が兄さんってどういうこと?生き別れの兄弟か何か?」
しばらくの沈黙の後、彼は応え始めた。
「兄さんの言う通り、僕と兄さんは生き別れの兄弟なんだ。小さい頃のことだから覚えていないかもしれないけど…」
「俺と君が兄弟?マジで?そんな話母さんから聞いたこともないけど…」
新手の詐欺か?と思ったが、彼が嘘をついているようにはとても見えない。
本当に兄弟だとしたら母さんはなぜこの事を俺に話さなかったんだ?
そんな俺の心を見透かしたかのように、彼は話を続ける。
「実は…父さんと母さんは離婚しているんだ。兄さんは事故死したと伝えられているらしいけど、あれは嘘でもあり本当でもあって…」
「ど、どういうことだ?だとしたらなんで母さんは俺に事故死って伝えたんだ?」
「えぇと…その、信じてくれるかはわからないけど、僕達は別の世界の火星生まれで、父さんは火星の王、母さんは火星の女王だったんだ。」
「…は?ちょっと何言ってるかわからん。」
どういうことだ?両親が別の世界の火星の王と女王?
全くもって意味がわからない。危険なクスリでも使用しているのではないかと疑うレベルだ。
しかしそれにしては目の焦点は合っているし、狂った行動はしていない…
「突然こんなこと言われても頭が追い付かないよね。でも、徐々にわかるから!」
「徐々にわかるってどういうことだ?」
「まぁ、見てて!」
そういうと彼は目を閉じ、ただならぬオーラを漂わせ始めた。
突然、彼の周りの空間が歪みだし、そこから3つほどのキャリーケースが出現し、ゴトッという音を響かせて床に落ちた。
「え…?なにソレ…」
「この世界の地球じゃ見ないでしょ?これが『魔法』だよ。」
「見ないでしょ?じゃねーよ!!」
「あ、ちなみに今日からお世話になりまーす!」
「なんかもう…なにが起きてもおかしくないって思えてくる…」
「そうそう、兄さんと仲間はさっきみたいに魔法で回復させて家に送っておいたよ。」
「お前だったんだ…なんつーか…ありがとな。」
ん?いや待てよ…なんでコイツは翔の家を知ってるんだ?
またもや俺の思考を見透かしたかのように話し始めた。
「兄さんの友達のことは二週間くらい前、この世界に来た時から見てたから家くらい知ってて当然だよー!」
「ちょ、それフツーにストーカー…って、しらなくてもおかしくはないのか…」
母さんが帰ってくるまで、ここの法律を教えねば。
そう思った俺だった。




