プロローグ
こんにちは。
「ん……もう朝か」
徹夜でゲームをしていた。俺、上野頼人は割とガチなゲーマーだ。
俺がやっていたのは、今最も人気のVRMMORPG、『ロストファンタジー・オンライン(LFO)』だ。
どのくらい人気かというと、クラスの全員がやっているくらいだ。
とりあえずログアウトして頭からVR用の端末を外す。
時刻は6時半。これから朝食を作る。
料理は俺の数少ない特技だからな。
両親は数年前に交通事故で他界した。親戚の家に行く途中で、一緒に叔父と叔母も亡くなった。
やむを得ず料理をできるようになったって訳だ。
俺が朝食を作っていると、同居人が2階から降りてきた。
「おはよう、頼人くん!」
「おう、おはよう」
こいつは西川楓。俺の従姉妹、つまり俺の両親と一緒に亡くなった叔父叔母の娘だ。
学年は俺と同じ高1。セミロングの栗色の髪と、天使のような笑顔が学校でも大人気の美少女だ。
だが、
「あの、動けないんですけど、離れてくれませんかね?」
「気にしないの〜」
全身密着して腕を拘束されてるのに気にするなってか?横暴だ。
「まぁいいよ。飯食べようぜ」
なんだかんだで可愛いから許しちゃうんだけどな。……学校だと俺が殺されかねないから絶対にやらない様に言ってるけど。
ピーンポーン
朝飯を食い終わると玄関のインターホンがなる。
ガチャッ
「おはよう、頼人」
1人の少年が玄関にいた。こいつは橋本悠斗。小学校の頃からの腐れ縁。ちょっと癖っ毛のある茶髪を揺らすイケメンだ。
イケメンな癖にオタクで、「2次元以外愛せない」そうだ。まぁ性格はめっちゃ優しくていいやつなんだけど、もったいない。
「おはよう、今日はちょっと早いな」
こいつらは毎朝俺の家に来る。朝一緒に登校するためだ。いつもなら悠斗はあと10分くらい後に来るんだけど、今日は早い。
「あはは、たまたまだよ。朝ごはんが早く食べ終わったから」
というわけでいつもよりも早く家を出た。
ちなみにこの2人とはLFOで小さなギルドを組んでいる。最近は、学校なクラスでギルドを組むのが主流なのだが、俺たちはかなりのガチ勢なので、個別のギルドを結成したのだ。
もちろん、申し訳程度にサブアカウントはクラスギルドに入ってるんだけど、そっちはほとんど育成してないため、クラスでは雑魚の位置付けになっている。
楓も悠斗も別のクラスなので別れて教室に入ると、
「おはよう、上野君。今日は早く来てくれて嬉しいな」
柏崎美穂。青みがかった長い黒髪が特徴のクラス一の美少女。こいつがなぜか毎朝声をかけてくる。
「おはよう、柏崎」
一応あいさつだけして席に着くと今度は、
「よう、オタク。昨日もアニメ鑑賞か?」
「うわキッモ。これだからオタクは」
「夜更かしすんならせめてキャラの育成でもしとけよ」
もちろんオタクというのは俺のことだ。悠斗は隣のクラスだからな。……本当はオタクじゃないけど。
いつもよりも早くついたから、なんて淡い期待をしたのは間違えだった。
こいつらは残念トリオ(俺命名)の山田、加藤、岡本だ。
こいつは色々あって俺によく絡んで来る。理由は大体、美少女と仲良くしていたり、キャラの育成をロクにしてない(本当はしてる)とかだろう。
そして、
「3人とも、上野君をあまり困らせてはいけないよ、あまり嬉しくは思ってないようだからね」
「チッ、勇者様かよ。おい、行くぞ」
残念トリオを片付けてくれたのはこのクラスの勇者様こと成宮和也。イケメンで女子から人気、人望も厚く男子からも人気の、まさに頂点に立つ男だ。
「悪いな、成宮。俺が自分でなんとかすればいい問題なのに」
「そんな事ないよ。クラスの仲間がいじめられているのを見て黙ってはいられないさ」
さすが勇者。器が違う。
そんなこんなでホームルームが始まって終わり、俺は眠りについた。
「起きて、頼人くん」
「んあ?」
起きた時にはもう昼だった。しまったな。今から購買行ってもパンないか……
「ほら、頼人の分も僕が買ってきてあげたよ」
そう言って隣のクラスから来た悠斗がパンを渡してくれる。本当にいい親友を持ったな。
などと考えていると、突然、バチンという音を立てて蛍光灯が消えた。
停電か、と思ったけど、廊下の電気はついてるから違うとすぐにわかった。
「魔法陣……?」
ファンタジー小説などでよく見られる魔法陣だ。そして、俺たち魔法陣から発せられたとてつもない量の光に呑まれた。
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