ソルトゥフの正体3
お久しぶりです
ソルトゥフという、初めて会った。それにしては「以前会った」という気がした人物。
「…私が、いけなかったんです。」
帰宅した後、ソフィンヌさんに事情を説明し、シャルルの治癒を行ってもらった。
幸い、命に関わるものではなかったが、しばらくは絶対安静。
ルウ君は攻撃をもろに受けてもけろっとしているけれど、誰かが自分のせいで傷付いた。
前の私は、シュネーは誰かが傷付いてるのを見ても、傷付けても何も感じていなかった。否、感じようとはしなかった。そんな事実も拍車をかけて胸が痛い。
「…ルウ君の言った通り。ソルトゥフは私と会ったことはない……架空の人間だった。」
「架空?」
弱々しくシャルルが聞いてきた。私は口をつぐんで頷いた。
「だとしても、私があの男と過去に会っていたのも正しかった。」
「ソルトゥフは架空の人物で会ったことがなければ会ったというのも正しい……?」
「うん」
「え、え?ルウクスくんもエイラちゃんも言ってる事正しかったって…どういうこと?」
「……彼は…、本人は気づいてないだろうけどー自分の正体のヒントを与えていたんです。あれは……。」
一回深呼吸して、一気に答えを出した。
「"シュネー"の相棒、白鴉のフロストです。」
早く気付いていれば。
銀髪も、光の角度で茶色に見えていた赤目も頭をペチペチと触る癖も、疑いさえすればわかるはずだった。
ソルトゥフという名前も、所詮あのトリ頭で精一杯の偽名。
ソルトゥフ…sortf……frost…単純すぎるアナグラムだったのに。
私が無くしていた記憶の中に、あたかも存在していたように一人の人物を創り上げ近づいてきた、こんな入れ知恵は恐らく父上様。
どうであれ、私は私の問題に周囲の人々を巻き込んでしまった。
狙いは私だけだったはずなのに…。
「…シャルル、お前、俺達が来るまで何してたんだ?」
ルウ君がシャルルに言った。
「えっと…エイラの事についてよく聞かれたの。それからルウクスさんの事も。…私はエイラの事もルウクスさんに聞いたらって言ったけど、やけに避けられている気がした…ような。」
「要するに、そのカラスとヴァイシュロスの標的は俺とエイラか。シャルルは標的の情報をわずかでも持っているから巻き込まれた、という訳か…」
「…それだけじゃない。ヴァイシュロスはフルーリュンヌの残党狩りをしている。私が今までしてきたようにね…。それに該当していたのも理由の一つのかもしれない。」
「その後、二人で散歩してたら急に寒気を感じて、だんだん意識がなくなって…」
「俺らがおびき出されたってことだな」
ルウ君は低く唸っている。
フロストが来たということは本格的に討伐する気なのだろう。
「あっ、そういえばあのビルで見つけたものが…」
私はポケットを探った。取り出したのはガラスの欠片の間に落ちていた、銀の小さな十字架だった。
ソフィンヌさんがそれをつまみ上げる。
「これは魔力が残ってるわねぇ。変身魔法の一種かしら」
「クソ銀髪」
「私のせいだ……私が関わらなければ…」
閲覧ありがとうございました。
9月中にもう一話アップします。
ストックがマジで無いので更新予定はTwitterに載せます。




