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激動の始まり
お久しぶりです、幾慧です。
ロングボウの弦をチェックしていると、静かさが嘘のようにかき消えた。
「おうおうシュネー! 持ってきたぜい! なんだ、いつも通りじゃねーか、心配して損しちまった。先程は失礼しやしたシュネー様ァー。」
「あら、ありがとうフロスト。…パンに…ポタージュまで!ふふっ、嬉しいわ。後でコックさんにお礼しなくちゃね。」
フロストの皮肉をスルーして、バスケットを受け取る。
パンや瓶に入ったポタージュだけではない。
なかなか豪華な朝食がぎゅっとバスケットに入っている。
「でも重かったでしょう?朝食なんて火さえあれば済んだのに。」
「火? ンなモン、食えやしねーよ、何かこさえるんで?」
「ええ、焼き鳥を。」
そう言って、私はさっきのお返しだとばかりに手入れの終わったボウをキリキリとフロストに向ける。
「鴉も鳥よ。鳥を焼けばそれが何であろうと焼き鳥になるわ。」
「待て待て待て待て!てめェ冗談だろ?な、冗談だろう!?ああそうだ、冗談に決まってる。」
「私はいつでも本気よ?」
いくら的を外さないといっても、フロストが空中をバタバタと逃げ回るため狙いが定まらない。
と、そこへ、フロストの声とは違ったバリトンが耳に届いた。
「こらこら、シュネー。部屋の中で弓を使っては駄目だろう」
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