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風鈴
縁側に座っていた僕は、空を見上げた。
真っ青なキャンパスの上に、ぽっかりと浮かぶ白い雲。
どこへ向かっているのだろう。それはゆっくりと動いていた。
チリンチリン
近所の家の軒先に吊るされた風鈴の音が聞こえてくる。
僕は、冷えた麦茶を一口飲んだ。
早朝の涼やかだった空気は、じりじりと照る陽射しによって
いつの間にか消えてしまっていた。
後ろを振り返ると、畳の上では、彼が胡坐をくんで座っている。
『あちぃね~』
僕と目があって、上半身裸のその男は、団扇で扇ぎながら
愛嬌たっぷりに言った。
そしてグラスの中の溶けた氷を飲み、首にかけたタオルで滴る汗を拭いた。
僕は立ちあがり、その傍に座ると、男の手から団扇を奪い、彼を扇いだ。
彼はこっちを向いて目を瞑り、幸せそうな表情で言った。
『あ~、涼しい。』
彼の少し膨らんだ胸の周辺には、うっすらと汗が滲んでいた。
僕は、彼の胸に、ひたと顔をくっつけた。
ひんやりとした感触と柔らかな弾力。
『ちょっとぉ。暑苦しいですよ。』
彼は僕の頭を掴んだが、僕は彼にしがみついて離れなかった。
ざらついた畳の上に押し倒された彼は、僕をグイッと抱きしめた。
『しょうがないなぁ、もう。』
じりじりとした空気で僕たちの呼吸も温められ、
もはや風鈴の音は聞こえなくなった。
僕の服には、彼の汗が沁み込んでいた。




