七夕の願い
いつものように、アーケード街を彼と手を繋いで歩いていると、僕達の足は止まった。
イベント広場に大きな短冊の飾りが掛けられていたんだ。
「あ。そっか」
『今日は七夕っすね』
「どんな願い事が書かれているか見てみない?」
『うん』
二人は飾りの前に立ち、短冊を手に取った。
「ニンジンが食べられますように。だって。可愛いね」
『こっちのは、九九が覚えられますように』
「近くの小学生が書いたのかな」
『っぽいですねえ』
「ねえ、小さい頃の七夕の思い出って、何かある?」
『う~ん。そうっすねえ。』
彼は少し考えると、目を輝かせながら言った。
『あ。そうだ。昔、クラスの子と……』
僕は得た猶予時間を有効に使おうと、掴んでいた彼の手を持ち上げ、彼の手の甲に何度かキスをした。
『ねえ、聞いてます?』
「え、うん」
僕は彼の顔を見上げ、悪戯がばれたような顔をしながらとぼけた。
『もお、人がせっかく喋ってるのに』
その仕草が彼にはお見通しだったようで、彼は僕からおやつを取り上げるように、僕の手もろとも、脚の横へ無理やり下ろした。
「ごめん、ごめん」
「でも、七夕ってロマンチックだよね。僕達も織姫と彦星だったら素敵だね」
『え~。そんなの嫌ですよ。だって、……』
「うん?」
『……』
「何?」
『さ、帰りましょ』
彼は少し慌てた様子で、僕を引っ張って歩き始めた。
「何? だってって」
『だって……、一年に一回しか会えないって寂し過ぎるじゃないですか』
彼は照れた顔を僕に見られまいとするかのように、足早に歩を進めた。
「うは! やっぱり寂しいんだ」
照れる彼を見るのが、僕の最大の楽しみなのだ。
『もお』
「たしかに僕達ってさ、毎日が七夕みたいなもんだよね」
『何言ってるんですかぁ』
彼はほとんど駆け足のようなスピードだった。
僕は彼に手を引っ張られながら、愉快に言った。
「帰ったらさ、布団の上で、ミルキーウェイ♪ だね」
『こんな所で、よく言えますね。そんな卑猥なこと』
後ろを振り向いた彼は、顔が真っ赤になっていた。
「何想像してるの? エッチだなぁ」
『それはこっちのセリフですよ』
今日はあいにくの雨模様。
でも、夜には天の川で二人が出会うのだろう。
みなさんの七夕の願いは、何ですか?
ロマンチックな二人は、きっと今日もミルキーウェイ♪
なのでしょうね。笑
こんな感じのピュアな二人、いかがでしたでしょうか。




