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影と誓いの冠  作者: 音


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第八章 終われないもの 1/2

「終わるべきものが終わらないとき、世界は歪む」 ——ヨルン・ヴォルンの手記より

アルンの報告書が上がったのは、巡回から戻った翌日だった。 俺たちはその内容を直接聞かされなかった。当然だった。候補生が任務報告の決 裁に関わることはない。ただ、アルンが朝一番でグレイムの執務棟に入っていく のを、中庭で見た。アルンの背中は、帰りの街道で見た背中と同じだった。余分 なものを持っていない人間の歩き方。ただ、足が少しだけ速かった。 それで分かった。報告が軽いものではなかった、と。

三日後、掲示が出た。 二つの任務が並んでいた。一つ目は正規騎士部隊による「先週巡回した村」への 再訪調査。二つ目は候補生による「近隣村への追加巡回」——同様の異常が他の 集落にも発生しているかを確認する任務だった。 一つ目には、俺たちの名前はなかった。正規騎士が行く。当然だった。 二つ目に、俺の名前があった。ラーシュ、ナイ、ブレンの名前とともに。引率は アルン・テス。 「また外に出るのか」とラーシュが隣で言った。声は嫌そうではなかった。ただ 確認していた。

「そうだ」

「前回と同じメンバーだな」 「そうだ」と俺は言った。掲示をもう一度見た。出発は三日後。目的地は前回の 村ではなく、そこから東に半日歩いた別の集落だった。

———

出発の前日に、ブレンが腹を壊した。

食堂で昼食を取っているときに顔色が変わった。「ちょっと待て」と言って立ち

上がって、そのまま出ていった。ラーシュが「大丈夫か」と声をかけたが、ブレ

ンは手を振っただけだった。

その夜、ブレンは暖炉の間に来なかった。部屋にいた。医務室で薬をもらったら

しかった。

翌朝、ブレンが俺を見つけて来た。顔色が悪かった。

「ヴォルン、悪い。俺、行けないかもしれない」

「腹か」

「たぶんあの村のシチューだ。ラーシュは平気だったのに、俺だけ当たった。情 けない」

「情けなくない。当たるものは当たる」 ブレンは少し笑った。笑うと腹が痛いらしく、すぐに笑いを止めた。「ああ、笑 えないな文字通り。アルン先輩に報告はした。代わりが来ると思う」 「そうか」 「気をつけろよ。何かあったら——俺は体で動ける方向なら力になれるって言っ ただろう。腹が治ったらすぐ行く」 俺はブレンを見た。顔色が悪いのに、言っていることは真剣だった。ブレンとい う人間の表面と深さの構造が、また少し見えた気がした。 「ありがとう」と俺は言った。二回目だった。 ブレンが「また聞けた」と言って笑おうとして、腹を押さえた。

———

代わりに来たのは、デイン・カルヴォだった。

出発の朝、正門前に集まったとき、デインが装備を整えて立っていた。完璧な装

備だった。革の手入れが行き届いていて、剣の位置が正確で、正装のときと同じ

ように何一つ間違っていなかった。

「ハウトが腹を壊したと聞いた」とデインは言った。俺にではなく、アルンに向

けて言った。「自分が代わりに参加する」

アルンは一秒だけデインを見た。「志願か」

「はい」

アルンが少し考えるような間を置いた。「よし」と言った。 デインが志願した。その事実を俺は処理した。ブレンの代わりが必要だった。デ インが来た。志願で来た。命令ではなく。なぜ志願したかを考えた。答えは出な かった。

ラーシュが俺の横に来た。「デインか」と小声で言った。

「そうだ」

「気まずくないか」 「俺は気まずくない。あっちが気まずいかどうかは知らない」 ラーシュは少し笑った。「お前らしい答えだ」 ナイが少し離れた場所に立っていた。デインを見た。俺を見た。何も言わなかっ た。辺境出身者のやり取りで——今日の状況を確認した、という目だった。 アルンが「出発する」と言った。 街道を歩いた。前回と同じ道を途中まで行き、分岐で東へ折れた。

前回と違ったのは、空気だった。前回は訓練の延⻑だった。初めての学外任務

で、ラーシュが外の空気を吸って「懐かしい」と言って、ブレンが「いい村だ

な」と言った。今回はそういう声がなかった。目的が違っていた。

デインは黙って歩いた。歩き方が正確だった。ラーシュやブレンのように景色に

反応しなかった。農村の風景を通り過ぎるとき、視線は常に前か左右にあった。

観察ではなく、警戒だった。軍人の家で育った人間の歩き方だった。

ただ、時折、農村の生活圏を通過するとき、デインの視線が少しだけ変わった。

畑で働いている農婦を見た。子供が走っているのを見た。見て、視線を戻した。

表情は変わらなかった。ただ、見た、という事実があった。

俺はそれを記録した。デインという人間について、まだ分からないことが多かっ

た。

しばらく歩いて、デインが俺の横に来た。

「前回の村で何があった」と聞いた。前置きなしだった。

「原因不明で四人が亡くなっていた。夜に一人でいるときに、という共通点があ

った」

デインは黙った。処理していた。「病気の可能性は」

「アルン先輩が確認した。村人は原因が分からないと言っていた」

「辺境ではそういうことがあるのか」

その質問に、デインの意図を読もうとした。見下しているのか、純粋に聞いてい

るのか。判断がつかなかった。「ある」と俺は言った。「原因が分からないまま

人が死ぬことは、辺境では珍しくない」

「王都ではない」とデインは言った。事実として言った。

「そうだろう」と俺は言った。「ただ、ここは王都ではない」

デインは俺を一秒見た。何かを処理した顔だった。反論ではなかった。情報を受

け取った顔だった。

「そうだな」と彼は言った。それだけだった。

前に戻っていった。

ナイが俺の横に来た。「珍しいな。カルヴォがお前に質問するとは」と小声で言

った。

「俺も思った」

「辺境を見下してる人間が辺境について聞くのは、見下すことより必要なことが

ある、と判断したからだ」

俺はナイを見た。的確だった。いつも通りだった。

「あるいは」とナイは続けた。「見下しているものが、思っていたより複雑だと 気づき始めているか」 俺は何も言わなかった。どちらかを判断する材料が足りなかった。ただ、デイン が質問した、という事実を記録した。 街道が続いた。東へ。前回の村を迂回して、別の集落へ。 手のひらの冷感は、学院を出た瞬間から少し強くなっていた。前回と同じだっ

た。外に出ると、何かが近くなる。その何かが何なのかを、俺はまだ名前しか知

らなかった。

集落が見えたのは昼頃だった。前の村より小さく、街道が浅い谷間に沈む場所にあった。壁も門もない。暗い木材と野石で建てられた家々が、井戸を中心にゆるい半円を描いて並んでいた。煙が上がっているのは二本だけ。残りの煙突は冷えていた。

アルンが集落の端で足を止め、数秒間それを観察してから口を開いた。

「通常の接近手順だ。名乗り、目的を述べる。俺が先に話す。観察しろ、尋問するな」全員を順に見た。デインのところで視線が一瞬だけ長く止まった。「これは巡回であって捜査ではない。異常があったかどうかの確認。それだけだ」

「了解しました」とデインが言った。装備の留め具を嵌めるような声だった。

中に入った。

この村には名前が掲げられていなかった。前の村は街道沿いに木彫りの看板があった——風化して読みづらかったが、あった。ここにはない。辺境ではそれは珍しくなかった。正式な名称を掲げるには小さすぎる、あるいは古すぎる集落がある。人が住んでいるから存在し、住んでいる人間は自分がどこにいるか知っている。それで十分だった。

家は十一軒あった。歩きながら数えた。癖だった。建物の数を知れば人口が推測でき、人口が分かれば使える資源と対処できる脅威の規模が分かる。父がそれを教えたわけではなかった——父が初めての場所に入るたびにそうするのを見ていて、その行動が移っていた。

ナイも数えていた。目の動きで分かった——左から右、体系的に、俺と同じパターン。辺境の算術。ナイが俺の視線に気づいて、小さく頷いた。ああ。見えている。十一。

デインは家を数えていなかった。射線を見ていた。

頭の動きが違った——ナイや俺のような物資確認の走査ではなく、戦術的な読み取り。どこから攻撃が来るか。死角はどこか。どの建物が遮蔽物になるか。集落の読み方としては正しかった。ただ、読みの種類が違った。環境を潜在的な戦場として扱っていた。辺境の読み方は、環境を「駄目になりかけている可能性のある家」として扱う。

その差は重要だった。なぜ重要かは、まだ言葉にできなかった。

井戸に近づいたとき、家の一軒から老婆が出てきた。杖をついて、ゆっくり歩いた。杖が彼女の身長に対して短かった。別の誰かのために切られたか、杖を作った頃より背が縮んだか。老婆はアルンの紋章を見て立ち止まった。

「騎士か」疑問文ではなかった。

「ヴェルン学院からの巡回部隊です。近隣の集落を巡っています。最近、何か異常はありましたか」

老婆はアルンを見た。次に俺たちを見た——騎士の後ろに並ぶ四人の候補生。視線がナイに留まり、次に俺に留まった。理由は分からなかった。俺たちの立ち方に何かを認めたのかもしれなかった。辺境の人間は、辺境の人間を見分けられるのかもしれなかった——ナイと俺が煙突の数で集落の状態を読めるのと同じように。

「異常」と老婆は繰り返した。その言葉を口にするのに何かを消費したような声だった。

「死者、病人、普段と違うこと」アルンが補足した。声は忍耐強かった。温かくはない——アルンに温かさはない——が、急がず揺れない声で、それ自体が一つの敬意だった。

「死者はいない。病人もいない」

間があった。その先に何かが来る種類の間だった。

「しかし?」とアルンが言った。

老婆は背後の家々を見た。アルンに戻した。「家畜がおかしくなった」

老婆が家畜のいる場所に案内した。家々の裏手だった。納屋と呼べるものではなかった——差し掛け屋根の小屋と柵で囲った囲い。常設の畜舎を作るには小さすぎる集落に典型的な構造だった。山羊が七頭。別の小さな囲いに鶏が数羽。

山羊は生きていた。立っていた。一見して異常はなかった。

もう少し注意して見た。

七頭のうち三頭が、囲いの奥——差し掛け小屋からもっとも遠い柵際に寄っていた。動かなかった。小屋の方を向いて、微動だにしなかった。食べず、動かず、声も出さず。目は開いていて、一点を見つめていた——差し掛け小屋の暗い内部を。

残りの四頭は普通だった。歩き回り、地面にまかれた飼料をついばんでいた。分割は正確だった。三頭が凍りつき、四頭が通常。二つの状態の間に中間がなかった。

「四日前からこうだ」と老婆が言った。「食べない。動かない。ただ小屋を見ている」

「病気ですか」とラーシュが聞いた。何かが気にかかるときの声——少し低く、少し慎重になる声だった。

「隣の村の家畜医が一昨日来た。異常なしと言っていた。心臓も脚も目も問題ない。ただ動かないだけだと」

アルンが柵まで歩き、三頭の動かない山羊を見た。それから、山羊たちが凝視している差し掛け小屋を見た。「あの中に何かいましたか。動物でも人でも」

「見たことはない。ただ——」老婆がまた間を置いた。「朝になると、小屋の近くの地面がおかしい」

「どういうふうに」

「霜の溶け方だ。形がおかしく溶ける。何かがそこにいたような——温かいものが。でも人の温かさじゃない。動物の温かさでもない。ただ——跡が残る温かさだ」

アルンは少しの間黙った。前の村で見せたのと同じ処理をしていた——表に出さず、記録する。

ナイを見た。ナイは差し掛け小屋を見ていた。表情は変わっていなかったが、重心が移っていた——少し前に、つま先に。警戒の姿勢。戦闘のためではない。注意のため。

俺も小屋を見た。

暗い内部。地面の藁。目に見えるものは何もなかった。形も、動きも、視覚で識別できる異常もなかった。

ただ、手のひらの冷たさが一度、脈打った。かすかに。痛みではなかった——認識だった。何かが何かに反応していた。

手を閉じた。

デインは老婆が話している間に囲いの外周を歩いていた。戻ってきてアルンの近くに立った。「柵は無傷です。出入りした足跡もない。家畜を怯えさせているものは、通常の手段では侵入していません」

有用な観察だった。デインらしい正確さで述べられていた。物理的証拠を読み、論理的結論を出した。結論は正しかった。同時に、デインには分からない種類の不完全さがあった。その不完全さは、彼の訓練が含んでいないカテゴリーに存在していた。

「通常の」とナイが俺にだけ聞こえる声で繰り返した。抑揚はなかった。ただ、その言葉を確認していた。

午後いっぱい、村にいた。アルンは他の住人四人と話した——いた者たちと。住んでいる様子はあるが誰も出てこない家がいくつかあった。アルンは無理に呼ばなかった。閉じた扉を記録し、次へ行った。

証言は一致していた。死者なし、病人なし、目に見える脅威なし。だが山羊の異常は四日前から——常に同じ三頭だけ——そして差し掛け小屋周辺の霜の形がおかしいのは毎朝続いていた。他の住人より若い男が一つ付け加えた。自分の犬がこの一週間、家の中で眠ることを拒否しているという。村の一番端で、外を向いて眠る。背を向けて。

「何に背を向けている?」とアルンが聞いた。

男が肩をすくめた。「ここに。村に。何か見たくないものがあるみたいに」

デインは腕を組んだまま証言を聞いていた。表情は変わらなかった。若い男の話が終わったとき、デインがアルンを向いた。

「どれも特定の脅威の証拠にはなりません。家畜の行動は天候の変化、捕食者の存在、汚染された水源で説明できます。合理的な説明があります」

「あるな」とアルンは同意した。何も付け加えなかった。

「納得していないように聞こえますが」とデインが言った。

「否定もしていない。パターンが前の集落で観察したものと一致していることを記録しているだけだ。あの村では四人が死んだ」アルンの声は平坦だった。「家畜の異常行動が人的被害に先行している。パターンが成り立つなら、この村は同じ現象のもっと早い段階にある可能性がある」

デインがそれを処理した。処理の過程が見えた——目がわずかに細くなり、判断の枠組みが再構成される。新しい枠組みの統合が速かった。軍人の家で育った人間の利点がそこにあった——自我が邪魔をせずに戦術評価を更新できる。

「それなら、合理的な対応は今夜見張りを立てることです」とデインが言った。

「そうだ」とアルンが言った。「そうする」

日暮れの最後の一時間に、ひとりで村の外周を歩いた。命令されたわけではなかった——アルンは残りの時間に具体的な指示を出していなかった。ただ、地面を見る必要があった。

霜は午後にはほぼ溶けていたが、差し掛け小屋の周りの土には残像があった。足跡ではない。轍でもない。別のもの——土が少しだけ暗くなっている箇所。水分が地表に引き上げられ、日光や風とは一致しないパターンで蒸発したような痕。不規則な形で、だいたい人の胴体ほどの大きさで、小屋の入口付近に散在していた。

しゃがんで、指先で地面に触れた。土が冷たかった。晩秋の土の冷たさではない。別の質の冷たさ。見覚えがあった。手のひらの感覚と同じ質のもの——ただし外にある。地面そのものに埋まっている。

何かがここにいた。足のあるものではなかった。体重が土を押すものでもなかった。物理の隣に存在する何か——温度に影響し、霜のパターンを乱し、本能を訓練で消されていない動物たちの感覚に登録される程度には近いもの。だが、見えるほど、触れるほど、名前をつけられるほどには近くないもの。

まだ、と俺の中の何かが付け加えた。その思考がどこから来たのか、分からなかった。

ナイが横に現れた。反対方向から外周を歩いていて、小屋のところで合流した。

「感じたか」と言った。疑問文ではなかった。

「地面が冷たい。冷たさの種類が違う」

ナイが隣にしゃがみ、手のひらを地面に平らにつけた。三秒間そのまま。離して、自分の手を見た。

「火が消えた後の空気に似ている」とナイが言った。「火はもうないのに、空気がそこにあったことを覚えている」

的確だった。俺より正確だった。「ああ」

「山羊は分かっている。犬も分かっている。ここにいたものを感じている。今ここにいるものではなく——いたものを」

「残留物か」

「通り道だ」ナイが立ち上がった。「何かがここを通った。通過した。一度ではないかもしれない。留まらなかったが、空気と地面と動物の神経に跡を残した」小屋の入口を見た。「何であれ、この村を使っている。住んでいるのではなく——通過している。道のように」

俺も立ち上がった。手のひらの冷たさは安定していた——脈打つのではなく、ただそこにある。低く、連続した信号。

「今夜だ」と俺は言った。

ナイが頷いた。「もう一度通過するなら、見えるかもしれない」

「見えたらどうする」

ナイが俺を見た。辺境の目——飾りのない、劇的でない、ただそこにある目。「なら、他の人間が知らないことを俺たちが知る。その知識をどうするかは、そのとき決める」

他の者たちが夜の見張りの準備をしている家々の方へ歩いた。陽が沈みつつあり、十一軒の家の影が長く地面に伸びていた——差し掛け小屋の方へ、三頭の山羊がもういなくなったものを見つめて動かない暗い内部の方へ。

アルンが見張りを二交代で組んだ。前半はデインとラーシュ。井戸の近く、村の中心に配置。街道と家畜囲いの両方に視界が通る位置。後半は俺とナイ。夜の折り返し地点から。

理にかなった配置だった。デインとラーシュはどちらも規律正しく、会話に気を取られずに見張りを維持できる。俺とナイを組ませたのは、異常を感知する可能性が最も高い二人を、異常が最も起きやすい時間帯——深い時間、訓練された見張りの注意力も薄くなり始める時刻——に置くという判断だった。


このラインより上のエリアが無料で表示されます。


アルン自身はシフトに入らなかった。理由は言わなかった。老婆が床を貸してくれた家の中で、一晩中浅く覚醒しているつもりなのだと推測した。前回の巡回でもそうだった——存在しているが配置されていない、利用可能だが見えない。展開された戦力ではなく、予備としての上官。

簡素な食事を取った。持参した乾燥食料に、老婆が頼まれる前に出してくれた根菜を加えたもの。ラーシュが二度礼を言った。デインは無言で食べた。粗い食事だった。体を動かすためのもので、それ以上を装わない種類の食べ物。デインはすべてに対して見せるのと同じ正確で無表情なリズムで咀嚼した。味が気に障ったとしても表に出さなかった。王都の食事と比較していたとしても、比較は内側に留まった。

食事の後、前半の見張りが始まる前に、ラーシュが戸口の近くで俺の横に座った。夜の空気はすでに冷たかった。間違った種類の冷たさではなかった——ただの秋が仕事をしているだけだった。

「山羊のことだけど」とラーシュが言った。

「ああ」

「動かない三頭のことがずっと引っかかってる。一日中立ったまま、同じ方向を向いて、食べない」間を置いた。「動物は理由もなく怖がることを選ばない。あの小屋の中に何かがいる、あるいはいた。山羊はそれを知ってる」

「いたものを知っている。いるものではなく」

ラーシュが俺を見た。「違いがあるのか」

「残留物だ。何かが通過して痕を残した。だが今はここにいない。動物はその痕に反応している」

「それはもっと悪い」ラーシュが静かに言った。「本体がここにいなくて、痕跡だけで山羊三頭が動けなくなるなら——戻ってきたらどうなる」

答えなかった。助けになる答えがない質問だった。

ラーシュは答えのない問いと数秒間そのまま座っていた。それから言った。「ナイはこういうことを分かってる気がする。地面の見方とか、火が消えた後の話とか——俺には見えない言語を読んでるみたいだ」

「辺境出身だからだ。見え方が違う」

「俺は辺境の人間じゃない」とラーシュが言った。「でもここが何かおかしいことは感じる。辺境の感覚がなくてもそれは分かる。空気に重さがある。感じるか? 空気そのものが疲れてるみたいだ」

俺はラーシュを見た。ラーシュの感情的な感度は、いつものように分析的な枠組みの先を行っていた。自分が感じているものに名前をつけられない。分類もできない。だがグループの誰よりも先に感じていた。物理的証拠を探しているデインよりも先に。おそらくアルンよりも先に——アルンはデータが揃うまで結論を保留する方法論的な処理をしていた。

ラーシュは犬がそうするのと同じように異常を感じていた——本能的に、身体的に、論理の仲介なしに。

「感じている」と俺は言った。

ラーシュが頷いた。何を感じているか、どう感じるか、何を意味するかは聞かなかった。確認を受け取り、そのまま座っていた。この数ヶ月で学んだラーシュという人間の一つだった——信頼するのに説明は必要としない。隣にいる人間が注意を払っているという認識だけでよかった。

「少し休め。見張りは前半からだ」

「ああ」立ち上がり、止まった。「ケイル」

「何だ」

「もし今夜何か起きたら——アルンへの報告では説明できない種類の何かが——後で教えてくれ。分からなくてもいい。分からないまま知ってる方が、知らないよりましだ」

俺はラーシュを見た。本気の頼みだった。同時に、うまく言葉にできない形で、危険な頼みでもあった——ラーシュにとってではなく、俺たちの間にある空間にとって。説明できないことを知ることには代価がある。父の手が暗闇で何をするか理解できる年齢になってから、俺はずっとその代価を払ってきた。ラーシュをその空間に入れることは——部分的にでも——代価を彼にまで広げることを意味した。

だがラーシュは頼んでいた。すでに決めたものを見るときの目で、俺を見ていた。

「分かった」と俺は言った。

ラーシュが中に入った。

眠れなかった。

老婆の家の床に横になり、荷物を頭の下に置いて目を閉じたが、眠りは来なかった。手のひらの冷たさは一定だった——家畜囲いで始まり、止まっていない低い信号。不快ではなかった。近さだった。周囲の闇の中にある何かが、体が感知できるほど近い。たとえ目には見えなくても。

部屋の反対側でアルンが起きていた。呼吸で分かった——眠りには制御されすぎている、エネルギーを温存しながら意識を維持する人間の計られたリズム。アルンは話さなかった。俺も話さなかった。

時間が来たとき、ナイが肩に一度触れた——交代の合図。目を開けた。ナイはすでに装備を整えていた。ナイフが定位置にあり、表情は村に着いてからずっと見せていた平坦な警戒のままだった。

外に出た。ラーシュとデインが井戸にいた。ラーシュの顔は、何も見えないまま何時間も見張っていた人間の少しくぼんだ表情をしていた。

「何もなかった」ラーシュが声を落として報告した。「動きなし。音なし。山羊の位置は変わっていない」

デインが少し離れて立ち、外周を走査していた。「異常なし」と言った。技術的には後続の見張りであるナイに向けた言葉だったが、視線が一瞬だけ俺に動いた。評価していた。この数時間、この村の暗闘と沈黙の中で過ごし、その間に感じたもの、あるいは感じなかったものが、状況の見方に何かを調整していた。何が調整されたかは読めなかった。ただ、調整が起きたことだけが分かった。

「休め」とラーシュに言った。

「ああ」ラーシュは迷った。家畜囲いを見て、俺を見た。中に入った。

デインが迷わず続いた。扉が閉じた。

ナイと俺が、村に二人だった。

ナイと俺は井戸ではなく、家畜囲いの近くに位置を取った。相談はしなかった。井戸は村の戦術的中心だった——視界が最も良く、すべての建物から等距離。だが異常が集中しているのは囲いの方で、俺たちが見張るものが射線に沿って近づくわけではないと、二人とも分かっていた。

夜は晴れていた。冷えていたが厳しくはなかった。半月が建物の輪郭、柵の杭、動かない三頭の山羊の姿を見せるだけの光を与えていた。普通の四頭は地面に伏せて眠っていた。三頭は動いていなかった。

ナイが柵の近くの低い石壁に座った。背筋を伸ばし、視線がゆっくり弧を描いて動く。俺はその横に立ち、柵の杭にもたれた。

最初の一時間は、何も起きなかった。

村は、犬のいない集落だけが持つ静けさで沈黙していた——吠え声も、鎖の音も、縄張りの呼び声もない。聞こえるのは、時折山羊の蹄が固い土の上でずれる音だけで、それも動ける四頭からしか出なかった。

差し掛け小屋を見ていた。暗い内部。藁。その中にある無。

手のひらの冷たさは一定だった。増えず、減らず。待っていた。

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