17 研修会2
とりあえず、荒茶加工を終わらせるところまで頑張った。
「手順としてはこれで終わりです」と、伝えて手を置いた。
後ろから、鑑定会社の社長さん、三島さんが出てきて、私の作った荒茶ポーションを鑑定した。
「回復魔法のレベル3、もしくは中級ポーションの3にちょっと届かないくらいです」
周りからどよめきが起きた。
「それってどのくらいの効果があるんですか?」と、よく分かってない私が質問したら、目の前でお茶ポーションの加工をしていた男性が「ドロップ品の中級ポーションと変わらない性能だ、ということですよ!」と怒鳴った。
多分、本人は怒鳴ったとか言う意識は無いと思う、興奮気味だっただけで。
「三島さん、この方の作られたお茶ポーション、鑑定していただけますか」と三島さんにお願いした。
別に嫌がらせじゃないよ。この研修会は、私が指導して他の人が使ったポーションに効果があるか、ってところが目的だからね。全員が作ったポーションを鑑定してもらう為に三島さんが参加してたんだと思うし。
三島さんは、その研修生のポーションを鑑定した。
「初級ポーションレベル1ですね」
ふむふむと言うことは、味見で飲める程度なら、ほぼダイバー講習のテキストで作れるポーションと効果は同じ、でも飲める分マシ、な感じかな。
私は手元にあったビーカーに自分で水を出して火にかけた。
沸騰しない程度に泡立ったところで火から下ろし、その研修生の作った荒茶に注いで飲んだ。
「味は悪くないですね、飲めるので、ドロップの初級ポーションよりは評価できます」
「田中さんが出した水を使ったので、効果がレベル3に上がってますよ」と三島さんが言った。
「ええっ?それじゃ、研修生の作った荒茶も使う水でレベル変わるんでしょうか」
「みなさん、自分で水出してお茶入れて下さい」と、試してもらった。
三島さんには鑑定数が倍になってしまったが、これは確かめてもらわねばなるまい。
結果として、水魔法と回復魔法のレベルの高い人の淹れたお茶は、レベルも高かった。荒茶加工の時点で多少レベルが低くても、水の含む魔力でカバーできることが分かった。
だから今のところ、私が作る荒茶を使い回復魔法のレベルが高い人の水を使って淹れたお茶ポーションが、一番効果がある、と言うことだ。
荒茶加工の際に「乾燥」を含む水魔法を使った方が効果があるのか〜。
でも、水次第で効果アップを見込めるなら、機械乾燥したものを使ってもイケるはず。普通のお茶みたいに薬草をお茶っ葉にしたものを売って、ダイバーが水魔法をレベルアップさせたら良いのだ。水魔法を使えないダイバーには、パーティー内で頼むなり、ちょっと高めでもお茶ポーションを買って貰えば良いのだ。元々安価で販売する予定だし。
選択肢は多いほうが良いハズ。




