15 おばちゃんは抜け目だらけ
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帰宅して諸々の雑用を片付けた。
ネットで最寄りの司法書士事務所を調べて、会社設立手続きを依頼した。
やる事はたくさんあるけど、任せられることはお願いすることにした。
夫のお陰で貯えもそれなりにあるし。
これで時間に余裕ができたので、中級薬草での荒茶加工を試してみたい。
前回、高橋くんに初めて会った時に採取してた中級薬草は、一応冷凍していたのだが、ちゃんと加工できるかわからない。試してもしダメなら、採取に行こう。この前は蜂の巣を見つけて断念したから、少々不安はあるのだが。
そのうち高橋くんに会ったら護衛を頼めるか、交渉してみよう。
冷凍していた薬草を水魔法の水で解凍してから、いつもの荒茶加工をする。
やっぱり簡易でもいいから鑑定スキルが欲しいな〜。加工しても効果があるのか全くわからない。仕方ないので、手っ取り早く指先を切ってみる。
ポーションを掛けると、一瞬で治った。一応の効果はあるみたいだけど、どの程度のケガに対応出来るのかが分からない。この辺りの確認の為にも、ダンジョン省に協力してもらえると助かるんだけど。
先日は意識が特許と鑑定に向いてたので、すっかり彰良に相談するのを忘れていたよ。
チャットアプリで、彰良に連絡した。
「ダンジョン省に作り方を教えてくれるの?すごい助かるんだけど。」
「ダイバーのケガを減らしたいから、ダンジョン省で作って、受付で販売して欲しいの。」
「それって、無償で?」
「そこまでは私もサービスできないかなあ。 お茶ポーションの効果とか調べてフィードバックが欲しいのと、売上の1%でどうかな?」
「1%?それで良いの?やり方によったらもっと儲かるでしょ」
「安く広めて欲しいから、販売価格にも口出ししたいの。その代わり儲けも低めに設定しておくわ」
せっかく帰宅したのに、また東京で話し合うハメになったのだった。中級薬草のポーションの効果も調べてほしいから、まぁ丁度良いかも。
今度こそ、抜けが無いように色々と考えておこう。
私が見たこともない上級薬草もフレッシュな状態で用意してもらおうかな。
それこそ、回復魔法を使える人に同じように荒茶加工もしてもらいたい。
息子と次回の東京行きの話し合いをして電話を切り、荒茶加工の続きに取り掛かった。ダンジョン省の人と話し合うのに、サンプルは必要だもんね。多めにいるよね。と、言うことで、翌日からダンジョンで薬草採取に励んだのだった。2階で。
中級薬草は、採取に行くのにちょっとだけ決意が必要なのだ。高橋くん、連絡くれないかなぁと、スマホを見つめた。流石に、鳴りはしなかったが。




