灰崎正広(1)
0:廃工場前
灰崎:(M)移植コーディネーターの神木さんが、極秘で情報を提供してくれると連絡があり、ここで待ち合わせをしている。
灰崎:(M)大丈夫、班員と別の班の刑事も待機しているから。
灰崎:(M)しかし、移植コーディネーターって初めて聞いた。臓器だけでなく、血液にも関わりがあるなんて……命を救うって色んな職業があるんだな。
タキ:いやいや、すみません。お待たせしまして。刑事さんを待たせるなんて、公務執行妨害でつかまっちゃますかね、僕
灰崎:いえいえ、貴重な情報を提供していただくんですから。大丈夫ですよ
タキ:アハハ、良かった。では、こちらなんですが
灰崎:(M)神木さんは、俺にタブレットを渡した。そこには、スズの妹の伊音綾菜の情報がびっしりと詰まっていた。
灰崎:2013年、腎臓を提供したドナーは……!?
タキ:当時、お二方はもう刑事さんでしたね。その子はスズさんが参加する前の回のカラオケ大会で優勝したデビュー目前の可愛らしい10代の女の子でしたよ
タキ:翌年にチーズみたいな死体で見つかったあの子ですよ、ふふふ
灰崎:神木……さん?
タキ:2015年、綾菜さんが事故にあった時に投与した輸血パックは、高校生と40代の献血マニアの女性、2人のものです
タキ:あと、余分かもしれませんが、こちらの資料も提供しますね
灰崎:(M)次のスライドを見ると、そこには別のレシピエントの名前があった。しかし、心臓、小腸をそれぞれ提供したドナーの名前に見覚えがあった。
タキ:2017年、綾菜さんがアルバイトで働いていた時に、いじめをしていた同僚とパワハラをしていた上司の方が、偶然に脳死状態になり、この方の命を救いました
タキ:お二方とも、懺悔できて良かったでしょう。ふふふ
灰崎:(M)トウパイのマル害全員が、伊音綾菜に繋がった。つまり、スズはトウパイに助けられていた、ということなのか。
灰崎:こんな結末なんて……
タキ:(M)あまりのショックに打ちひしがれてる姿がとても滑稽だ。
灰崎:神木さん、ありがとうございました
タキ:お力添え出来て光栄です。あっ、忘れてました。灰崎さんだからこそ、お伝えしたい情報があるのですが、よろしいですか?
灰崎:もちろんです。ありがとうございます
タキ:こちらなのですが
灰崎:えっ、なんで赤江の……まさか、ぐっ!
タキ:(M)俺は灰崎さんのみぞおちを突いて、気を失わせた。
タキ:あっ、なんかイヤホンしてる。ちょっと借りるよ
タキ:あ、あーーよし!ご機嫌いかがですか?アホ警察官さんたち。俺は神のみぞ知るキラーですよ、ふふふ
タキ:さぁ、かかってきてください。俺は12歳から人を殺してますよ。それに、この廃工場はトウパイの作業場だから、みんな……抹消しちゃいますよ
タキ:もっとトウパイのことを勉強してから、来てください……これは警告です
タキ:(M)俺はイヤホンを踏み潰す。数分後、パトカーが走り去る音が響いた。
タキ:さてと、削除!あーあ、アホ通り過ぎてポンコツばかりだよ、刑事さん
タキ:パパに言っておかなきゃ。『部下の教育、ちゃんとして』って、もう。これだから、お飾り警視総監なんだよ
タキ:ふぅ。さぁ、マサさんにも狂ってもらいましょうか。あにさんの相棒なら、同じように愛してあげますから、ふふふふふふふふふ
灰崎:(M)廃工場に来る前、2匹の毛虫が坂を下っていた。俺は大の虫嫌いだから、2匹とも強く踏み潰した。
灰崎:(M)でも、1回じゃ死にきらないらしく、逃げようともぞもぞ動く2匹。イラついて、10回くらい踏み潰し、グリグリと踏みにじった。
灰崎:(M)それがスズと俺だと気付いた時には、もう遅かった。
0:了




