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覚めたのは夢じゃない
消灯時間ぎりぎりにベッドサイドテーブルを引き寄せた。その上で生徒手帳を広げて、空白ばかりのメモ欄にボールペンを走らせる。思いつく限り細かく、丁寧に。頁が足りなくなれば病院の案内図、それが文字でいっぱいになれば食事の献立表を次々と裏返して。
この作業はきっと退院してからも続く。苦じゃなかった。むしろわたしの中にありありと、生気や熱が満ちていく。
誰もが勘違いをしていた。わたしだって、気づいたのはついさっき。
どうして思い込んだんだろう。
もう二度と会えないなんて。




