⓶・・・作戦会議
飯島大斗:1年Ⅾ組…輝輔たちのクラスの担任。明るく責任感がある。輝輔の苗字、「波雨」に思うところがあるようだ。
ルビアス:メージクラッフの最高責任者(校長)。温厚でふわふわしているが、多くの人々から慕われている。輝輔を少し特別視している。
ラドル:メージクラッフ最高責任者ルビアスの補佐兼執務役。ルビアスとは対照的に厳格で表情がこわばっている。
翌日 メージクラッフ 中央広場
生徒は全員、広場に集められた。そうして真ん中の噴水の近くの台に上がった人がいた。美しい白のドレスに頭には飾りがついた女性だった。
「皆さん おはようございます。私はここの最高責任者、ルビアスです」
ルビアスは優しそうな声で挨拶をした。ルビアスはそのまま、話し始めた。
「皆さんもご存知だと思いますが、この学校は魔法学校、様々な行事があります。ですが、皆さんにお伝えしたい一番大事なことは、貴族と平民はここでの身分は全て等しい、ということです。そして、国を越えて、仲間と接し、活動することが、私たちの望みなのです」
ルビアスは静かに話し終えると、最後に、
「私からの話は以上です。全員、教室に戻りましょう。」
ルビアスはそう言い残し、台から下がり、自室に戻っていった。
「ルビアス様、やっぱすげー美人だよな。」
「そうだよな〜。男とかいんのかな。」
「やはり綺麗なお姿ですね。」
「そうですね。さすがはこの学校の最高責任者ですわ。」
周りは終始ルビアスについての話で盛り上がってた。こうして、朝の集会は終わった。
「そういえば、輝輔ってどこ出身なんだ?クラスで出身は別れてはいるけど一応ね。」
「あ、確かに〜。」
「俺は、いちおうギャラクシア神聖王国の生まれだけど、」
「え?生まれ、てことは今までは何をしてたんですか?」
「ん?兄貴と一緒に傭兵だった。」
「ええ……。小学校もいってないのか……。」
「あぁ、だから戦いだけは自信があるぜ。」
そうしゃべりながら輝輔たちは教室へ戻った。教室で先生を待ちながら、六人で話していると、
「輝輔〜、いるかー?」
「ん?どしたのセンセー?」
輝輔は座りながら飯島の顔を見上げた。
「ハァ……、お前に敬語は無理か……じゃなくて、」
飯島は一瞬会話の内容を忘れかけた。
「来い、波雨……。いや、来い、輝輔。ルビアス様の元へ向かう。」
「へ?」
輝輔は目をパチくりさせて驚いた。
「とりあえず来てくれ。そしたら分かるからな。」
「あ、わ、わかった。」
こうしてほぼ無理矢理連れて来られた輝輔の前には、少し笑顔のルビアスがいた。飯島は少しお辞儀をして、
「おはようございます、ルビアス様。ご指示通り輝輔を連れてきました。」
「ごくろうさまです、大斗。輝輔のためにも、この学校について少し話します。」
そういうと、ルビアスはニコッと笑い、話し始めた。
「この学校では、毎月、各学級に課題を出します。そのため、月の初めには、こうして先生と代表生徒が受けに来てください。」
「分かりました。」
輝輔はめずらしく敬語を使った。
「ですが、今月の1年生には全て同じ課題をしてもらいます。」
「ん?」
輝輔が少し不思議に感じた瞬間、ルビアスの表情は緩み、
「ウフフ、学級対抗戦です。」
「学級対抗戦…。」
「Ⅾ組も負けまいと励み、ルビアス様の期待に応えるように。」
奥の部屋から一人の男がでてきた。
「あら、ラドル。体調は大丈夫なのですか?」
「なっ、ルビアス様、恥ずかしいので言わないでほしいのですが……オホン!自己紹介が遅れてしまったな。ルビアス様の補佐役、ラドルだ。よろしく。」
「というわけなので、がんばってくださいね。」
といってルビアスとラドルは奥の部屋に戻った。輝輔たちが戻る途中……
「あっ!てか輝輔、敬語使えんじゃねーか!!」
「な、何のことだ……?」
「お前なぁ……。」
そして教室に戻り、飯島が事を話した。飯島が職員室へ戻ると、輝輔のところに5人が集まってくる。憂太は、
「そっか、月末課題なんてもんがあるのか……。」
「楽しそうね。」
「「えっ?」」
五人は、いっせいに遙花の方を見た。
「怖くねぇんだ、遙花。死ぬかもしんねえぞ。」
輝輔は脅し気味に言った。しかし遙花はケロッとした顔でこう返す
「ん。だって、課題で活躍すれば卒業したら出世大成功間違いなしでしょ。」
「フッ、ハハハハハ。」
輝輔は度胸のある遥花の予想外のコメントに驚き、笑いをこらえきれなかった。
「いいね、そんな考え。心配事が吹っ飛んだ。」
「??……」
五人は、輝輔を不思議に思ったが、
「お前ら、死んでくれんなよ。全員そろって卒業だ。」
輝輔が拳を突き出しながら言うと、五人は意味がやっと分かって、拳を突きだした。
「もちろん私が大活躍してやるからね!」
「おっと、遙花だけに成績を上げさせるわけにはいかないよ。」
「生と死を実感してこそのメージクラッフですから!」
「僕は寝ていたいけれど……、まぁ、やる以上生き残るから。」
「私も、自分の命くらいは守らなくちゃ。」
六人はそれぞれ決意を固める。しかし、輝輔は
「ま、とりあえず今月は学級対抗戦だし、訓練してれば大丈夫っしょ。」
輝輔はもっていたガムを一つ口にいれた憂太は一つ気になり、声を上げた。
「対抗戦ってどんな編成なんだろう……?」
「ん〜と、なんだっけ。たしか、4クラスで全員敵だったような……。」
輝輔は少し思い出したように声をあげた。
「四つ巴か……。戦略をたてるのに苦労しそうだ。」
「なんなら下見する?」
輝輔がぽつんと放った一言に、皆は
「「え!!!ここから行けるの!?」」
と、一斉に口を開いた。
「おん。トロッコトレインで2駅先だ。」
「そ、それっ電車のこと……だよね??」
「あ。そうそう。」
欄渡がおそるおそる聞いた問いに、輝輔はケロッと答えた。
「皆は寮生だよな?」
「「うん。」」
「なら今日は早く学校終わってるから、このまま行かね?」
「「了解……。」」
輝輔の圧倒的な行動力に呆気を取られながらも、六人は駅へ向かった。六人は電車にのり目的地に向かった。
「へえ〜…白夜王国に入るんだ……。」
憂太は興味を表しながら先へ進んだ。検問を終えて、駅から徒歩2分ほどで戦地に着いた。
「ここが、‟エルアントル平原„だな……。中央にある魔法台がカギか……。」
輝輔が瞬時に情報を読みとる。だが憂太は、
「コレさ、作戦立てずに真ん中突っ込むとボコボコにされるから、左右どっちかからだな…。」
「じゃあ右だな。左のA組は奥のⅭ組に因縁もってる。恐らく突っ込むな。」
他クラスの意志さえも見透かしてしまう輝輔に、ビックリした遥花が、
「え、なんで分かるのよ……。あ!もしかして好きな人がA組に…。」
遙花が言い終わる前に、輝輔がキッパリと
「それはない。」
欄渡が寝そうになるのを起こした芽鈴が、
「すみません、中央の機械見にいってもよろしいでしょうか?」
「あ、悪い悪い、試し打ちぐらいなら好きにして良いそうだ。」
「ま、まさか芽鈴ちゃん、台に小細工を……」
「しません!」
頬を膨らませた芽鈴が、少し大きな声を出してそうツッこんだ。
「こういうとこが可愛いんだよな……。」
離れた場所で、欄渡と憂太、そして輝輔が話をしていた。
「うん、なんか守りたくなるわ。」
「確かに、ギャップ?だっけ。普段は真面目っぽいけど、たまに出てくる可愛いヤツ。」
二人も、うなずきながら眺めていた。そんなことを話していると、ドゴーンと爆発音が聞こえた。
「おいおい、大丈夫かー?」
三人は驚きながら中央の台まで向かった。そこで、芽鈴たちが、
「すみません……、暴発してしまいました。でも威力が知りたいので、もう一度!」
芽鈴は台に乗り、銃口を輝輔たちとは反対の方に向けた後、ダミーの人形を設置した。
「いきまーす。せいやっ!!」
芽鈴が持つ、雷属性の色の魔法の弾が銃口から放たれた。その弾が人形に当たった瞬間、ドガコーンと巨大な爆発音と同時にダミー人形が壊れた。
「「おおおー!」」
芽鈴以外の五人は歓声を上げた。しかし芽鈴は苦笑いをしながら、
「この人形、魔防が0ですがHPはハート35個分あって、それを一瞬で……。」
「「あ……。」」
その場が、シーンと静かになった。
D組の食堂
「…なんか分からないけど疲れた…。」
「ね。輝輔の行動力が化け物ってことだけ分かったよ。」
「わ、悪かった…。」
六人は寮に帰って、食堂で夜ご飯を食べていた。D組は魔法台の話で盛り上がっていて、
「てか波雨~あの魔法台って使用者によって威力ちゃうん?」
となりの机に座ってた男子二人がこちらを向いた。それに対して輝輔は、
「そうだな。使用者の魔力によるだろ。だから、芽鈴ちゃんが使ったら化け物になるわけだ。35ハート、ワンパンだからな。」
「「エッ!マジ!?」」
D組の寮の食堂はさわぎだした。エリート組の六人は魔力がものすごく大きいのだ。
「こりゃ、真ん中つっこむしかないだろ!!」
「そうだな!中央の台とれば勝ちだ!」
「いや、それはオススメしない。」
憂太が口を開き、皆にきかせた。中央にいけば全面対決となり、負けてしまうと。
「ってことは先にB組からつぶすわけか……。」
「Ⅽにはあの‟たつや„がいるからな。」
「まぁⅭとちょいトラブったAもこりゃ突っこむな…。」
「でもよ、Bにいくのもいいけどあっちはあっちで龍の力があるからな…。」
食堂が静かになった時、一人の女子が、
「……でもでも、あの六人なら余裕でしょ!!」
「……それもそうだな!」
「おいおい、そんなに俺ら強くねぇって。」
食堂に再び活気があふれたその時、食堂担当の先生が、
「アンタたち、食事終了にするわよ。早く食べなさい。」
「「ハイ…スミマセン…。」」
再び静かになった食堂を後にした六人は、寮のロビーで会議をしていた。
「……という感じだ。みんな分かった?」
「分かったけど、後一週間なんだろ?」
「そうだね。私たちも準備しなきゃ。」
「あ!魔力回復ポーション買い足さなきゃ!!」
「んぁ?僕余るほどもってるから大丈夫……。てかもぅ僕寝るね……。」
欄渡はそう言って自分の部屋に戻った。
「なっ、欄渡……、まだそんな時間経ってな……エッ!?もう十時!?早くないですか!?」
「確かに早いな…。俺らも解散するか。」
「そうだね。おつかれ様。」
「「おつかれ(様)〜。」」
一週間後 エルアントル平原
「ただいまから!一年生の学級対抗戦を始める!大ケガと殺しをしないかぎり何をしようが構わん。ハート5個以内になったら強制退場だ。」
ラドルは大声出してルールを簡単に説明した。四クラスが立ち位置にスタンバイし、皆武器を取る。
「優勝したクラスには豪華賞品もでるぞ〜〜。」
「「オオーーーー!!!」」
一斉に観声をあげる生徒たちの間、ラドルは戦線の火蓋を切った。
「対抗戦。始め!!!」




