⓵・・・それは突如現れた出来事の歯車
人物紹介
波雨輝輔:いつもなにかを食べている傭兵上がりの男の子。オッドアイのせいなのか、魔術が使える。両親は既に他界しており、家族は兄だけである。幼い頃から傭兵業に勤しんでいたため、感受性が少し乏しい。一応これでも主人公。
春原咲姫:中一で、輝輔と同じクラスのD組。魔術はサイコキネシス。無口気味でおとなしいが心優しく、仲間思いである。昔のとある一件でひそかに輝輔に思いをよせている。
架忍憂太:一年D組の生徒。いわゆる頭脳型男子であり、魔術は瞬間記憶・解読。頭の回転の速さを活かして人をまとめるリーダー気質。温厚で優しい性格で皆から好かれる。
喜努遥花:中一で、同じくD組。もの凄く陽キャで、明るく、活発だがたまに空気があまり読めない。魔術はバードトリック。鳥などと操れるらしい。みんなから好かれ、話しかけやすい性格。憂太と付き合っている。
想平欄渡:この子もD組。結構な頻度で眠気がおそってくるらしく、授業の時も半分以上は寝ている。魔術は付近強化。少し眠ると、周りと自分に大幅なバフがかかるようだ。いつも寝てるのはこのせい……?後述する芽鈴の彼氏でもある。
葉光芽鈴:同じく中一、D組。中一に対して平均身長より低いので、年下と間違われやすい。実際、輝輔にも年下扱いされている。魔術は天才発明。憂太とは違い、実際あるものを創造するのが得意。この子と話していると心なしか親心がわいてくるかもしれない。
魔法がありふれるこの世界を、英雄マサトらが救ってから二百年以上が経過した。主にこのアールシア大陸は、順調に成長していた。今この大陸には四つの国が存在する。龍の血脈は途切れず、今も王国として栄えている 「ホワイトナイト(白夜王国)」。帝国制度は一変し、住みやすい都市となり昔より戦力が向上した「ポーラー(極夜帝国)」。昔のアールシアの伝統文化と新しいギャラクシアの文明とを掛け合わせた新たな国「アルドエンペラー」。そして、マサトが作り上げたこの世に第二の革命をもたらしたその核「ギャラクシア神聖王国」。この四つに分断された。そして、ここ、『メージクラッフ』は、ギャラクシアの北部にあり、四つの国から優秀な人材が集まってくる。そんな中、今年も将来世界を担う萌芽がメージクラッフに入学してくるのである。
ある春の事……
「今日から担任になる飯島だ。」
背が少し高い担任はそう名乗り黒板に自分の名を書いた。
「ここは世界随一の魔法学校、メージクラッフだ。皆、初日だから緊張していると思うが、これからよろしくな!」
そう飯島が言い終わるとニッと笑った。生徒たちは少しソワソワしている。だが一人の少年が、さらに口を開いた。
「センセーは、何か魔法使えますか?」
その少年は、左目が白、右目が青のオッドアイだった。それに答えるように飯島は、
「ご質問だ。え〜と……」
飯島は名簿表を見ながら、その見たことある苗字に目を開きながらも、それを隠しながら名前を呼んだ。
「輝輔、いい質問だ……俺は、氷魔法が使えるぞ!まあ性格は真逆だけどなっ。ハッハッハッハッ!」
「(嘘じゃねぇ……みたいだな。)」
輝輔は魔術を駆使し読み取った。……魔術は、魔法とは別の一種の特殊能力のようなものであり、彼らの第二の武器になる。輝輔の魔術、『透視』は、体部や臓などだけでなく相手の弱点や、魔術、性格までもよめてしまう。LHRが終わり、下校時刻になった。その帰り、輝輔はクラスメート、四人と出会った。
「ん?何か用か?」
輝輔が、後ろについてきた四人に聞いた。そんな中、眼鏡の男の子がいた。
「こんにちは。僕は憂太。他の子は同じクラスメートだよ。」
「いや、それは分かるけど、俺何かしたか…?」
「えっ」
憂太の話に追いつけない輝輔だが、ここで憂太はまだ輝輔の知らないことを言う。
「決まってるじゃん。僕たちと君含め、六人のエリート組の会議だよ。」
「え、エリート組……?」
「うん。僕たち六人は、クラスの優秀な魔法や魔術持ちの中でもぶっちぎりの生徒なんだよ」
「わかった、。と理解した。」
輝輔は理解したように、予知していたことを葉に出す。
「俺らはスゲー魔術持ちだから、このクラスのリーダーっぽく振舞わなきゃいけんから、これからの進路について話し合おうと?」
「えっ、よく分かったね。その通りだよ。」
憂太はすこしおどろきながらしゃべった。
「オッケー。んじゃ行こーぜ。とその前に。」
「??」と、その場にいた四人が首をかしげた。
「さっきから六人六人っていってるけど、俺ら合わせても五人じゃねーか。」
「あッ!」
「も〜、あのバカ〜、」
そうして輝輔含む五人は、会議室Dに向かい、走り始めた。
「むにゃむにゃ……」
一人の男の子が会議室Dの中で机にふせていた。
「欄トォォォーーー!!」
いきおいよく扉を開けたのは元気そうな女の子だった。
「んぅ……?」
男の子は顔を上げる。
「アンタさー、人誘うのに寝てるってどーゆーことよぉっ!」
「えー、だって待ってるって言ったじゃーーん。」
「言ってないわよ!」
「ちょ、落ちついて遥花。」
憂太は遥花の暴動に戸惑いながらも、他の子のことを話し始めた。
「この子は遥花。鳥を操れる魔術を持ってて…」
「憂太の彼女で〜す!」
憂太の話に入り込んで、遙花はそう言った。憂太は少し顔を赤くしながらボソッとこう言う。
「そ、それは秘密って言ったじゃん……///」
次に、小柄で後頭部に大きなリボンをつけている少女と、その隣にいた眠そうな少年が話始める。
「私は芽鈴と申します。化学部に所属しています!」
「んで、僕が欄渡…。ところで輝輔くん……帰っちゃダメかな……」
「ダメです!!」
芽鈴が欄渡のおでこをはじいた。そのやり取りを見たからか、はたまた透視の力かによって輝輔はこう言及する。
「お前ら付き合ってる?」
「おお~せーかい…。」
「な、なんでわかったんです!?」芽鈴はビックリして顔が紅色に染まっていた。
「だって俺、魔術透視だもん」
「な、なるほど…そうでしたか。」
「最後は……ん?俺たち会ったことある?」
「っ!う、うん、一回だけ森の中で…。わ、私は咲姫。魔術はサイコキネシスだよ。」
咲姫は緊張もあってか、恥ずかしそうにそういった。全員話し終えたのを確認した遥花は、
「ところで~透視って聞くとやっぱり…輝輔君さぁ……。ぶっちゃけ透視で女の子の体でも見たの~?」
「いやいや、んなことはしねぇよ。」
輝輔は呆れたようにそう言った。
「ま、それこそ好きな子ができたら考えるが…。」輝輔は持ってたガムを一個口に入れて食べ始めた。
「えっ!えっ!?それって輝君恋愛とか興味あるの〜!?」
「いや別に。それに輝君ってなんだよ。」
「友達だからいーじゃん!そっか~好きな子かぁ〜」
遙花はニヤニヤしながら輝輔のことをからかった。それを芽鈴が仕切りなおす。
「まぁまぁ、とりあえず本題にはいりませんか?」
「そうだったね。よしっ」
憂太が咳払いをし、場を整えた。
「これからの学園生活について……」
憂太がそうして話始めるも、輝輔が話をさえぎって
「ところでさぁ、別にこのままでよくね?学校まだよく分からんし、何か特別に動くこともないだろ。」
「さ、賛成!私もこのままの方が楽しそう。」
「ん?僕はそこまで気にしないから……寝れればそれでいいというか。」
「わたしも気にしません、全然大丈夫です!」
「あたしも〜。皆と仲良くいけたらそれでおっけ~って感じだし。」
「よかった。みんな考えてることは似てるね。それなら、しばらくは学校に慣れよっか。」
六人はまるで、以心伝心したかのように次々と声をあげた。
「じゃ、今日は解散〜。おつかれさんたさーん。」
遥花が帰ろうとするが、憂太が止める。
「待って、集まり記念と今後の連携も兼ねてで、みんなの魔術おひろめ会なんてどう?」
憂太が提案する。そして遥花が目をキラキラさせながら
「いいの〜!?私のことももっと皆に知ってほしくて〜!」
「了解。決まりかな?四人は?」
四人はそろって口をあわせた。
「異議無し!」
六人はこうして訓練場に向かったのである。
第三訓練場
「学校にこんなところがあるなんて……」
今いるのは中庭のとなりにある第三訓練場である。ここは魔道を高めるために作られた所。授業で使うことがあったりし、放課後は教師の許可を得ることで使用できる。
「誰からいく?」
少し戸惑いの表情を憂太はそう言った。
「ここは…じゃんけんよ!!」
やけにやる気な遥花につられ、みんなもその気になり
「「サイショはグー!ジャンケン・ポン!」」
しばらくして、六人も順番ずつ行い始めた。
「ハァー。ちょっとめんどくさいけど……。終われば寝れるならいいや。」
最初は欄渡の番で始める。欄渡はみんなにこうたずねた。
「僕の素の攻撃の強さはこれね。『ウインド』!!」
欄渡の撃った初級風魔法の球は的に当たり、大きく弾け散った。
「おお〜」
五人も観声を上げるが、欄渡は、
「いや、まだ。僕の魔術は付近強化。十秒だけ待ってくれる?」
そういって欄渡は眠りについた。十秒後、欄渡は目を開けこう叫ぶ。
「『ウインド』」
その話は先ほどとはくらべものにならないくらい大きくふくらみ、まとに当たった魔法は大爆発をおこした。
「おおーー!!」
五人は大きな観声を上げた。輝輔が、
「お前、強いな……めっちゃほしい人材だ。」
「そう?ありがとう。」
輝輔の腕をまだ知らない欄渡はそう言った。
「次はあたしでしょ~?じゃあさっそく行っくよー!」
遥花は元気よく言い、構えを始めた。
「まずは簡単なのから!『バードアタック』」
遙花の近くから急に鳥が現れ、的に直撃した。的は五つに割れ、鳥は遙花のもとに帰った。
「まだまだ行くよ〜!『ブリザードトリック』」
氷の鳥が多数出現し、的に当たり砕け散って、そのまま連続して何個の的をも直撃した。
「どう?私の必殺技っ!!」
「すごーいっ!!」
「おお!」
五人も声を上げた。お次に芽鈴が遥花に尋ね、
「次は私がやってもよろしいですか?、」
「全然オッケー!バリバリ本気だしていいよ!」
「ありがとうございます。では皆さん、何か要らないものありますか?、」
「あ、俺の炭酸の缶空いてるからそれでよければ。」
輝輔は芽鈴に向かって軽く缶を投げた。
「お任せください!!『天才発明』!」
芽鈴は金属の道具を六つほどとりだし、あきカンを改造しはじめ、わずか3秒で別の物へと化していた。
「これをー、えいっ!『スピーディングボンバー』!」
芽鈴はそれを的に向かって投げると、大爆発を起こした。
「範囲は半径7mと短いですが、コスパの良さが売りです!」
芽鈴は誇らしげに言った。
「おお〜すごい」
五人は声を上げた後、憂太がしゃべる。
「順番的には次は僕かな?」
憂太は前に少し進んで、首を傾げながら考え込んでいた。
「そうだなー、おひろめといっても僕は戦闘に向いてないからなー。あ、そうだ、誰か、長い文字とか文章持ってる?」
「あ、僕の教科書でよければ……。」
そういって欄渡は本を差し出した。
「じゃ、このページを3秒だけ見て暗記します。」
「え、そんなことできんの?」
輝輔は驚いたように見えた。憂太はフフッと笑いながら、こう言う。
「任せてよ!」
そうして3秒たつと、
「1.風の魔術について。まず、魔術とは、空気中にある魔力を取り込み……。」
そして、そのまま憂太は教科書の内容を一言一句違えずに言い切った。
「すごい、さっすが憂太!」
「ありがとう。」
「憂太すごいな…、よく寝落ちする僕とは違ってきっとテストも一番…zzz。」
「いや自分が終わったからって寝るなよ。」
欄渡の感想まがいの寝言は輝輔にすぐ突っ込まれてしまった。それを咲姫がおどおどしながら声をかける。
「私…やってもいい…?」
「ごめ〜ん!ささっどうぞどうぞ〜。」
遥花は咲姫を皆の前に押した。
「私は、サイコキネシスが使えるの。やってみます。」
そういい、咲姫は訓練用人形を持ち上げた。
「おお!!」
五人が一斉に声をあげた。
「あ、相手の魔力が低ければ、自由自在に動かせるの。」
そういった咲姫はサイコキネシスで人形を元の位置に戻した。
「すごいな咲姫、かっこいいじゃん」
輝輔がほめると、咲姫は恥ずかしそうに言った。
「あ、ありがとう…」
「フ~フ~暑いですな〜。二人共」
遥花のニヤニヤした顔が輝輔たちを見つめる。
「ててて、輝輔君が最後だね……。」
「ああ、そうだな。んじゃやるか。」
輝輔はそういって前に出た。少し歩きながら辺りを見渡していると、
「ん?おぉ、こいつよさそうだな。」
そうして向いた方向には、上級者の訓練用『ゴーレム』があった。
「輝輔、本気か!?そのゴーレムはとても固く、先生の中でも一部しか倒せないんだぞ!?」
憂太はあたふたしながら輝輔に聞いた。
「ああ。本気だ。これくらいなら倒しがいがある。」
こうして輝輔はゴーレムの前に立った。輝輔がコアの起動装置を触れながら、優しくこう言う。
「よろしくな、ゴーレム。」
ゴーレムは静かに動き出した。そしてそのまま攻撃を始めた。輝輔は『透視』を使い、機械の部品の細かな動きにに注目し、攻撃をよけていった。
「(少しでもスキができたら技をたたきこむ!)」
そんな考えをもった輝輔に、勝負のかけか、ゴーレムが大技を出してきた。
『クラッシャー』
広範囲でせまる大技。素早く繰り出されるその大技にこれまで敗れた者も多いのだろう。輝輔は、ギリギリのところをかわし、隙を晒したゴーレムの弱点を透視で把握し、技をぶち込む。
「『クアッドホップドロップ!!!』」
輝輔の放った足技の一撃は綺麗に決まった。たった一発で弱点に命中し、ゴーレムの機能を停止させた。
「勝った……。」
五人は勝った喜びよりも先に驚きが来ていた。
「勝った!勝った!勝った!勝ったよー!!!」
遙花のその声によって一同は我にかえった。
「輝輔!お前本当すごいな!」
「輝君…!秘められし力を持つ男の子ってモテるわよ!」
「え、すご……。どうやったらそんなことができるんだ……。」
「私たちは……。輝輔君を甘く見ていたようですね……。」
「輝輔君……。かっこいい……。」
勿論、大爆発の音は学校中に響き渡った。騒ぎを聞きつけた飯島に輝輔は捕まっていた。
「はぁ……。お前は本当にすごいな……波雨。」
「確か、コレ倒せるの、飯島センセーと、ファルスセンセーだけだったよね?」
「ですよね?だ。あぁ、そうだ。波雨、放課後なだけマシだったな。パニックになりかねないぞー。これからは気を付けてくれよ、お前なら訓練場を壊しかねん……。」
こうして飯島の説教でこの日の学園生活は幕を閉じた。
これは、輝輔とその仲間の6人が出会いや別れを経験し、卒業するまでの物語。青い春を繰り広げる若人に容赦なく降りかかる世の情勢をどう乗り越え、生きてゆくのか。そんな彼ら彼女ら一人一人の成長を客観的に描いた。今、そんなハチャメチャな学園生活が、始まる。
魔法学園物語…長いので『マジスト』は、理不尽な社会構造や支配階層に巻き込まれる子供たちが、それに立ち向かい心身ともに成長していくファンタジー戦記物です。主要キャラクター6人はもちろん、登場するほとんどのキャラが自身の信念を持ちながら、協力や対立していきます。一見味方に感じても何を目指しているか、腹の奥底が見えず敵対することもあるかもしれませんし、逆もしかり。それでも、物語が進むにつれて徐々にキャラクターのことも、そしてこの世界のことも分かってくるでしょう。中一のころからノートに書いていたものを手を加えながらちょっとずつ投稿させていただきます。そのため、拙いところも多いでしょうがご容赦ください。よろしくお願いいたします。




