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日本霊異記 現代語版  作者: はまゆう


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第二十二 仏教を学び、人々のために法を弘め、死ぬ間際に不思議な光を見せた話

故・道照法師どうしょうほうしは、船氏ふなうじという姓で、河内国(今の大阪府東部)の人だった。

天皇の命令を受けて仏法を学ぶため大唐(中国)へ渡り、そこで有名な玄奘三蔵げんじょうさんぞうと出会い、その弟子になった。

玄奘三蔵は他の弟子たちにこう言ったという。

「この日本人は、将来多くの人を導く人物になる。決して軽く見てはいけない。しっかり支えてあげなさい」

道照は見事に学業を終え、日本に帰国した。帰国後は禅院寺を建立してそこに住みながら、各地を巡って仏法を説き、多くの人々を救済した。

彼は戒律を守る心が清らかで、洞察力も優れていた。弟子たちを集めると、みんなが求めるお経の大切な意味を、わかりやすく丁寧に説いてくれた。

そして、命の終わりが近づいたある日——

道照法師は体を清め、きれいな衣服に着替え、西の方角を向いて端坐(座禅の姿勢)した。

すると、突然、部屋中にまばゆい光が広がった。

法師は目を開け、そばにいた弟子の知調ちちょうを呼んだ。

「知調よ、お前はこの光が見えるか?」

知調は答えた。「はい、はっきり見えます」

法師は静かに戒めた。「このことは、軽々しく他人に話してはならない」

その夜更け、光は法師の部屋から外へ飛び出し、寺の庭の松の木を明るく照らした。やがてその光は西の空に向かって、ゆっくりと飛んで消えていった。

弟子たちはみんな驚きと畏れで言葉を失った。

道照法師は、最後まで西を向いたまま端座した姿勢で、静かに息を引き取った。

これはきっと、法師が極楽浄土に往生した証に違いない。


讃(ほめ言葉)

船氏の道照は、優れた徳の持ち主だった。遠く唐の国まで仏法を求めに行き、多くの人々を導いた。まさに聖なる人であり、凡人ではなかった。死ぬ間際に光を放ち、西へ飛び去ったのだ。



解説

この第二十二話は、実在した高僧の往生譚です。

•道照法師は、実際に歴史上に存在した人物で、玄奘三蔵の弟子として唐で学び、日本に帰国後に華厳宗や禅の教えを広めた重要な僧侶です。

•死の間際に西を向き、部屋中が光に包まれ、最後に光が西の空へ飛んでいくという、非常に美しい「往生の奇瑞きずい」が描かれています。

•「西へ向かう光=極楽浄土への旅立ち」という仏教らしい象徴が美しく表現されています。


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